「干将莫耶(かんしょうばくや)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 中国の伝説の中に登場する剣に由来します。今回は、伝説の背景とゲームの「Fate」シリーズでの使用理由を見ていきましょう。
「干将莫耶」とは? 名前の意味と伝説の起源
まずは「干将莫耶」の定義を確認していきましょう。

「干将莫耶」とは?
「干将莫耶」は「かんしょうばくや」と読みます。意味を辞書で確認しましょう。
かんしょう‐ばくや〔カンシヤウ‐〕【干将×莫×耶】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
《中国の呉の刀工干将が呉王の命で剣を作るとき、妻莫耶の髪を炉の中に入れて初めて会心の作を得た。その二振りの剣のうち、陽を「干将」、陰を「莫耶」と名づけたという「呉越春秋」闔閭内伝の故事から》名剣のこと。
「干将莫耶」は「名剣」のことを指すことがわかりました。
「干将莫耶」の伝説
「干将莫耶(かんしょうばくや)」の起源は『呉越春秋(ごえつしゅんじゅう)‐闔閭内伝』という歴史書に記されています。
伝説によれば、呉の王である闔閭(こうりょ)は、名匠として名高い刀工・干将(かんしょう)に剣を作らせました。しかし、なかなかうまく剣を鍛えることができず困り果てていました。
その時、干将の妻である莫耶(ばくや)は夫を助けるため、自らの髪と爪を炉の中に切って投じたといいます。すると、不思議なことに鉄がうまく溶け合い、見事な二振りの剣が完成しました。この剣は「干将」と「莫耶」という名前で呼ばれ、それぞれ陰と陽を象徴する対となる存在として語り継がれることになります。
この伝説は、中国において古くから知られる有名なエピソードであり、夫婦の絆や犠牲、そして剣に込められた特別な力を象徴するものとして扱われています。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)

干将莫耶と「Fate」シリーズ
「干将莫耶」という名前は、「Fate」シリーズ(2004年発売のPCゲーム『Fate/stay night』からはじまるシリーズ作品の総称)を通じて知名度が高まったといっても過言ではないでしょう。二本一対の陰陽の夫婦剣は、『Fate/staynight』に登場するエミヤ(アーチャー)が好んで使用しています。
干将・莫耶の「オーバーエッジ」とは?
エミヤは「干将・莫耶」を強化し、巨大なオーバーエッジ形態に変化させることができます。鶴翼三連(かくよくさんれん)というエミヤ唯一のオリジナル技のフィニッシュ時に使用しますよ。
物語中での戦闘シーンにおいて、視覚的にも強いインパクトを与える技です。

「干将・莫耶(拳銃)」とは?
「干将・莫耶(拳銃)」とは、『Fate/Grand Order』においてエミヤオルタの絆レベル10でもらえる絆礼装のことです。こちらは二丁で一対の拳銃になっていますよ。
最後に
「干将莫耶」という言葉は、伝説的な剣としての意味だけでなく、現在では「Fate」シリーズを通じて多くの人々に親しまれる存在となりました。歴史的な背景を知ることで、物語の中での役割や意味をより深く理解できるかもしれません。物語をより楽しむ手掛かりともなるでしょう。
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