「山姥」という漢字、読むことはできますか? 昔話や伝承では、人を助ける存在として登場することもあれば、恐ろしい妖怪として描かれることもあります。また、実在する刀剣の名前や、ゲームのキャラクター名としても知られていますよ。
そこで、この記事では、山姥の読み方や意味、刀剣やゲームとの関係について見ていきましょう。
「山姥」とは? 読み方と意味、伝承について紹介
まずは、読み方と意味から確認していきます。

「山姥」の読み方と意味は?
「山姥」は「やまうば」もしくは「やまんば」と読みます。どちらの読み方も、意味は同じです。辞書で意味を確認しましょう。
やま‐んば【山×姥】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 深山に住んでいるといわれる女の妖怪。山に住む鬼女。やまおんな。やまんば。
2 能面の一。「山姥」の後ジテが使う鬼女の面。やまうば。
山姥は、山に住む女の妖怪を指します。
「山姥」の伝承には、どんなものがある?
山姥の伝承は、日本各地でさまざまな形で語り継がれています。その姿は、荒々しい妖怪としての側面と、母性的な存在としての側面を併せ持つものがありますよ。
例えば、『三枚の護符』では、口が耳まで裂け、鋭い眼光を放つ恐ろしい人食いの妖怪として描かれています。一方で、山の石に子どもを産み、乳を与える母としての姿も伝えられており、箱根山で金太郎を育てたという伝承や、応神(おうじん)天皇の誕生を助けた話などがその代表例です。
また、山姥はときに里へ降り、年の市などに姿を現し、心清らかな者に思いがけない幸運を授けるともいわれます。
さらに、山の生活に密接に関わる者たちの間では、山姥は突然山小屋を訪れ、酒を飲み、焼き餅を食べ、火にあたるという伝承が残っています。炭焼きや木こり、木地師、漆かきなどの人々が、その姿を語り継いできたのです。
壱岐(いき)では、12月20日を山姥の洗濯日とし、その日は水を使うことを避ける風習がありました。この日は「山の神の洗濯日」ともされており、山の神信仰と深く結びついていることがうかがえます。
こうした伝承から、山姥は単なる妖怪ではなく、山で生きる人々の暮らしや信仰と深く結びついた存在であることがわかります。
参考:『日本大百科全書』(小学館)

「山姥切」とは? 刀剣の歴史とゲームキャラの関係
「山姥切(やまんばぎり)」は、桃山時代につくられた日本刀のことです。「山姥切」は、歴史的価値が高いだけでなく、現代の人気ゲーム『刀剣乱舞』においても重要なキャラクターとして描かれていますよ。それぞれ紹介していきましょう。
「山姥切」とは?
「山姥切」とは、桃山時代につくられた堀川国広作の日本刀のことです。長尾顕長が北条氏政から賜った長船長義の刀を写した刀だとされています。国の重要文化財にも指定されていますよ。
参考:『デジタル大辞泉プラス』(小学館)
『刀剣乱舞』に登場する「山姥切国広」と「山姥切長義」
『刀剣乱舞-ONLINE-』は、歴史的な名刀を擬人化した刀剣男士を育成し、戦わせるシミュレーションゲームです。このゲームでは、「山姥切国広」と「山姥切長義」が個性的なキャラクターとして登場します。

山姥切国広(やまんばぎりくにひろ、CV:前野智昭)
霊剣「山姥切」を模して造られたとされる打刀であるため、オリジナルでないことにコンプレックスを抱いています。色々とこじらせていますが、実力は十分。
山姥切長義(やまんばぎりちょうぎ、CV:高梨謙吾)
備前長船長義作の打刀。自分に自信があるため、臆することがありません。
これらのキャラクターは、多くのファンに愛され、展示会やコラボ企画などを通じて実際の刀剣にも関心を持つ人を増やしています。
最後に
恐ろしい山姥は広く知られていますが、幸運を授ける山姥のことは知らない人も多かったのではないでしょうか? 山姥は、妖怪としての伝承から実在する刀剣の名前、ゲームキャラクターなど、さまざまな形で知られています。この記事をきっかけに、興味を広げていただけたら幸いです。
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