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「科白」という漢字を見て、すぐに読めるでしょうか? 「かはく」とも読みますが、一般的に使うのは、違う読み方です。早速、読み方から確認していきましょう。
「科白」とは? 読み方・意味・台詞との違いを解説
気になる「科白」の読み方から確認していきましょう。

「科白」の読み方と意味
「科白」は「せりふ」、「かはく」と読みます。辞書で意味を確認していきましょう。
せりふ【台=詞/科=白】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 俳優が劇中で話す言葉。「―をとちる」
2 人に対する言葉。言いぐさ。「気のきいた―を吐く」「そんな―は聞きたくもない」
3 きまり文句。「頼み事をするときのお得意の―だ」
4 理屈や言い分を並べること。談判すること。
「これ半七、お花はこちの奉公人、親仁との―なら、どこぞ外でしたがよい」〈浄・女腹切〉
5 支払いをすること。
「今夜中に―して下さんせにゃなりませぬ」〈伎・五大力〉
「科白」とは、「劇中で役者が話す言葉」や「決まり文句」のことです。「台詞」とも表記しますよ。合わせて覚えておきたいですね。
「科白劇」とは? 普通の演劇とどう違うのか
演劇にはさまざまな表現形式がありますが、「科白劇」は特に台詞のやりとりを重視する特徴を持っています。音楽やダンスを取り入れた演劇とは異なり、言葉と動作によって物語を展開するのが特徴です。
では、一般的な演劇とどのような違いがあるのでしょうか?
「科白劇」の特徴
「科白劇(せりふげき/かはくげき)」とは、純粋に科白と仕草を主体とする演劇の形式です。音楽やダンスを伴わず、役者の語りや表情、身体の動きによって物語を表現します。
これに対し、ミュージカルやオペラは歌や音楽を取り入れた演劇であり、科白劇とは異なる特徴を持っています。
「外郎売の科白」とは?
「外郎売の科白(ういろううりのせりふ)」は、日本の伝統的な演劇である歌舞伎の演目の一つ「外郎売(ういろううり)」に由来するものです。以下で紹介していきましょう。

「外郎売の科白」とは?
「外郎売」は、歌舞伎十八番の一つに数えられる演目で、江戸時代に成立。初演は享保3年(1716)、江戸・森田座での『若緑勢曾我(わかみどりいきおいそが)』において、二世市川団十郎によって演じられました。
物語の中では、小田原の名物である薬「外郎(ういろう)」を売る商人が登場し、商品の効能を誇張しながら巧みに売り込む場面が描かれます。このときに発せられる早口言葉を主とする長科白が「外郎売の科白」といわれるものです。
この長台詞は、滑舌や発声練習のために、俳優や声優、アナウンサーが練習することで知られています。
参考:『新版 歌舞伎事典』(平凡社)
「決め科白」とは? 作品を象徴する言葉の力
物語の中には、登場人物が放つ印象的な言葉があります。それが「決め科白(きめぜりふ)」です。キャラクターの個性や作品のテーマを強く印象づけるものであり、観客の記憶に残るフレーズとなります。
映画やアニメ、舞台などで使われ、物語を盛り上げる重要な役割を果たします。

決め科白の役割
決め科白は、キャラクターの信念や成長、物語の展開を象徴する役割を持ちます。物語のクライマックスや重要な場面で用いられることが多く、視聴者に強い印象を与えます。また、繰り返し登場することで、そのキャラクターのアイデンティティとして定着することもあります。
有名な決め科白
決め科白には、時代を超えて親しまれるものが数多くあります。例えば、「お前はもう死んでいる」(『北斗の拳』原哲夫作画、武論尊原作/集英社)は、主人公・ケンシロウの圧倒的な強さを表現するセリフとして広く知られています。
「真実はいつもひとつ!」(『名探偵コナン』青山剛昌/小学館)は、探偵としての信念を貫く江戸川コナンの象徴的な言葉です。
こうした決め科白は、作品を象徴するフレーズとして、多くのファンに愛されています。
最後に
「科白」は、舞台や映画、小説などの世界で独特の使われ方をする言葉です。その歴史や表現の違いを知ることで、演劇や物語をより深く味わうことができるでしょう。
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