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2025.03.07

紅蓮(ぐれん)とは? 意味はひとつじゃない? 使い方や例文、類義語をチェック

紅蓮とは紅色の蓮の花のことを意味します。花にはさまざまな種類があります。また、燃え盛る炎の色を表すこともあり、仏教用語で「紅蓮地獄」という意味でも使われる言葉です。本記事では、紅蓮の意味や使い方・例文、よく似た表現を解説します。

紅蓮とは?

紅蓮は「ぐれん」と読み、紅色の蓮の花と燃え盛る炎の色という2つの意味があります。

ここでは、紅蓮の意味を解説します。

紅色の蓮の花

紅蓮は、紅色の蓮の花という意味があります。人気アニメの主題歌を連想する方も多いのではないでしょうか。

蓮の花は植物の中で最も古い種類で、およそ1億4000万年前には存在していたともされています。

7月頃に咲く花で、早朝に咲きはじめ、お昼には閉じてしまうのが特徴です。花が咲くサイクルは4日間で、4日目は夕方まで咲き続け、そのまま花びらを落として散ってしまいます。

紅蓮
(c)AdobeStock

紅蓮の種類

紅蓮は花びら全体が紅色やピンクの蓮のことで、花びらの数が25枚以下の花を「一重」と呼び、26枚から49枚は「半八重」、50枚以上を「八重」と呼びます。

紅蓮には数多くの種類がありますが、代表的なものは次の5種類です。

  • 大賀蓮(おおがはす)
  • 蜀紅蓮(しょっこうれん)
  • 和蓮(われん)
  • 桜蓮(おうれん)
  • 即非蓮(そくひれん)

大賀蓮は、昭和26年、蓮の権威である大賀一郎理学博士が発見した種子から開花した一重咲きの蓮です。千葉市にある東京大学検見川農場で、弥生時代(約2000年前)の地層から発見されました。

蜀紅蓮は、日本の蓮の中で最も濃い紅色が特徴です。

和蓮は、古くから日本にある蓮を指します。これに対し、中国から入ってきた唐蓮(とうれん)もあり、いずれも一重咲きの紅蓮です。

桜蓮は、咲きはじめは濃い紅色で、そのあとすぐに桜色になります。

即非蓮は、江戸時代はじめに隠元禅師の弟子「即非」が、中国から持ち込んだとされる八重咲きの品種です。

仏教用語では「紅蓮地獄」

紅蓮は、仏教では八寒地獄のひとつである紅蓮地獄を指します。八寒地獄とは、寒さと氷で苦しめられる8種類の地獄のことです。

紅蓮地獄は、7番目の鉢特摩(はどま)地獄を指します。鉢特摩は、「蓮華」を意味するサンスクリット語の「padma」の音を漢字で当て字した言葉です。

鉢特摩地獄に落ちた者はひどい寒さにより皮膚が裂けて流血し、紅色の蓮の花のようになることから、紅蓮地獄と呼ばれています。

8番目の地獄は八寒地獄で最大の広さの摩訶鉢特摩(まかはどま)で、「大紅蓮地獄」と呼ばれます。八寒地獄の中で、最も過酷とされている地獄です。

炎
(c) Adobe Stock

燃え盛る炎の色

紅蓮には、「勢いよく燃え盛る炎の色」という意味。火が激しく燃えている様子を表す際、「紅蓮のような炎」という使い方をします。

燃え盛る炎という意味で、地獄の炎の色にもたとえられる言葉です。歴史小説の戦いの場面でも取り上げられることが多く、「あたり一面が紅蓮のような炎に包まれた」という表現が使われます。

ぐ‐れん
1 紅色の蓮 (はす) の花。紅蓮華 (ぐれんげ) 。
「—白蓮の香 (におい) ゆかしく」〈露伴・五重塔〉
2 「紅蓮地獄」の略。
3 燃え盛る炎の色のたとえ。「—の炎」

出典:小学館 デジタル大辞泉

紅蓮の使い方・例文

紅蓮という言葉は実際にどのように使うのか、例文を通して確認しましょう。

  • 夜になると温度が急激に下がり、まるで紅蓮地獄を思わせるような寒さだった
  • 天を焦がすような紅蓮の炎が舞い上がり、あたり一面を焼き尽くした
  • 紅蓮の花が開花する様子を見るため、多くの人が早朝から蓮池の周りに集まっていた
  • 紅蓮地獄に落ちないよう、正しく生きたいと心がけている

紅蓮の類義語・言い換え表現

紅蓮には、次のような類義語・言い換え表現があります。

  • 灼熱(しゃくねつ)
  • 猛火(もうか)
  • 焦熱(しょうねつ)

これらは、紅蓮の「燃え盛る炎の色」という意味によく似た言葉です。それぞれの意味をみていきましょう。

青い炎と赤い炎
(c)AdobeStock

灼熱

灼熱は、焼けつくように熱いという意味です。「灼熱の太陽」という使い方をします。「灼熱の恋」など、物事の程度が最高潮であるという意味で使われることもあります。

紅蓮は炎の色を表す言葉ですが、灼熱はおもに「熱さ」に着目した言葉です。

(例文)

  • 今年の夏は猛暑で、朝から灼熱の太陽が照らしつけている
  • 若いころに灼熱の恋に陥ったのも、今では懐かしい思い出だ
  • 灼熱の候、長かった梅雨もようやく明け、夏本番を迎えました(時候の挨拶)

猛火

猛火(みょうか/もうか)とは、激しく燃える火という意味です。「猛火に包まれる」という使い方をします。火の勢いを表す言葉ですが、激しく燃え盛る様子を表す点で紅蓮の類義語といえるでしょう。

(例文)

  • 猛火に包まれた木造家屋は、懸命な消火活動にかかわらず、あっという間に焼失してしまった
  • 猛火は凄まじい勢いで街中に蔓延し、人々は避難するだけで精一杯だった
  • 猛火の中に人が取り残されていたが、駆けつけた消防隊員により無事に救助された

焦熱

焦熱は、焦げつくように熱いという意味です。「焦熱の砂漠」という使い方をします。

熱や炎で苦しめられる仏教の八大地獄のうち、6番目にあたる焦熱地獄を指す場合もあります。

「焦げつくように熱い」ため、熱さの度合いでは「焼けつくような熱さ」の灼熱よりもさらに熱い状況を指すともいえる言葉です。

(例文)

  • 例年にない猛暑の日が続き、外は焦熱の砂漠のようだった
  • 仏教では、5つの戒めを破った者は焦熱地獄に落ちて苦しむらしい
  • 温暖化が続き、焦熱と呼ばれるような暑さになる国もある

紅蓮には複数の意味がある

紅蓮は紅色の蓮の花や燃え盛る炎の色という意味があり、アニメの主題歌にも使われている言葉です。仏教では八寒地獄のひとつである、「紅蓮地獄」という意味でも使われます。複数の意味があり、覚えておけば表現の幅が広がるでしょう。

紅蓮の花は初夏に咲き、開花が見られるのは午前中だけです。7月は早起きして、鮮やかな紅色の花を鑑賞するために蓮池を訪れてみてはいかがでしょうか。

メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock

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