「渾名」何と読む？ 「こんめい」ではなく…｜呼び方で変わる関係性に目を向けてみる

「渾名」という言葉を見て、すぐさま読むことはできるでしょうか…？ 読み方を知ると、とても身近な言葉なので驚くかもしれません。意味や使い方を見ながら、言葉の奥にある感覚をたどってみましょう。

「渾名」とは？ 読み方と意味を紹介

まずは、「渾名」の読み方と意味を確認しましょう。

渾名の読み方と意味

「渾名」は「あだな」と読みます。読み方を聞いて「な〜んだ！」と思った人も多いかもしれませんね。辞書で意味を確認しましょう。

あだ‐な【×渾名／×綽名】
《「あだ」は他・異の意》本名とは別に、その人の容姿や性質などの特徴から、他人がつける名。ニックネーム。あざな。

引用：『デジタル大辞泉』（小学館）

「渾名」は、ニックネームのことです。名前の一部をもじったり、特徴をとらえたりしてつけられる呼び名のことですね。

「あだ」には、「他」、「異」という意味があります。

「渾名」と「綽名」、「仇名」との違いとは？

ここでは、「渾名」と「綽名」、「仇名」との違いを見ていきましょう。

「綽名」との違い

「綽名」は、「あだな」と読み、「渾名」と同じ意味を持ちます。ただし、「綽名」は「しゃくめい」、「しゃくみょう」とも読みます。いずれの読み方でも「呼び名」や「あだな」を意味しますよ。

「仇名」との違い

「仇名（あだな）」は「徒名」とも書き、「男女関係についての噂」や「事実無根の評判」のことを指します。「渾名」と読み方は同じですが、意味はまったく異なることを覚えておきたいですね。

渾名の使い方を例文で確認

実際にどのように使われるのかを確認すると、「渾名」という言葉の理解がより鮮明になります。ここでは、具体的な例文を紹介していきましょう。

「彼は“鉄人”という渾名で呼ばれていた」

努力家として知られる人物に対して、尊敬や親しみを込めた渾名が使われている様子が伝わってきます。

「渾名の由来には、その人の人柄がにじみ出る」

渾名を通して、その人がどんな存在としてまわりに受け止められているのかを示しています。

英語で「渾名」を表すと？

「渾名」を英語で表す場合、意味の近い言葉はいくつかあります。文脈や相手との関係性に応じて使い分けることで、ニュアンスをより自然に伝えることができますよ。

nickname 

“nickname”は、もっとも一般的な表現です。親しい間柄での呼び名や、カジュアルな紹介で使われることが多く、軽やかな響きがあります。普段の会話や自己紹介などにもなじみやすい言い回しです。

epithet 

“epithet”は、少しかしこまった場面や文章で使われる表現です。人物の特徴や印象を表す別名として用いられることが多く、文学的・歴史的な文脈で見かけることもあります。

参考：『小学館 ランダムハウス英和大辞典』（小学館）

「渾名」に込められた感情や距離感

今、あらためて「渾名」について考えてみましょう。

呼び名で変わる関係性へのまなざし

日常の中で何気なく口にしている渾名には、その人との関係性や感情がにじむことがあります。ときに親しさの証として使われ、ときに受け取る側の心に触れることもあります。渾名をつける、呼ぶという行為の中に、少しの優しさや配慮があると、もっと心地いいものになるのかもしれません。

最後に

「渾名」という言葉には、ただの呼び名という以上の奥行きがあります。呼ぶ側の気持ちと、呼ばれる側の印象。そのあいだにある目に見えない距離や感情を、ひとつの言葉がそっとつないでいるのかもしれません。そう思って見直してみると、呼び方ひとつにも、少し丁寧なまなざしを向けたくなります。

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