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「山開き」の意味や起源

山開きの意味
夏が近づくとニュースで「山開き」という言葉を聞くことがあると思います。この「山開き」が、一体何のことかわかりますか?
山開きとは、その年に初めて登山や入山が許されることを指します。富士山の浅間神社など、有名な山にある神社は、この時期になると毎年お祭りを開催しています。
また、山開きは毎年決まった日に行われるものではありません。登山道の状態など、安全に登山を行える状態であると判断されてから行われる場合が多いのです。
山開きの起源

元々日本人にとって、山は信仰の対象でした。人々にとって山は、自然の恵みをもたらしてくれるもの…そんな山に感謝し、畏怖や畏敬の念を抱き、神様が住む神聖な場所であると考えたのです。その中でも、神聖視され崇拝の対象となる山を〝霊山〟と呼びます。
神仏が住む神聖な場所とされる、霊山。そこへは修行者や徳の高い僧侶しか入山を許されておらず、一般の人々は決して入ってはいけない「聖地」でした。
一般の人々が入山を許されるようになったのは、江戸時代中期。当時の一般の人々は、修行僧や徳の高い僧侶のように、神様を拝むために登山をしたいと思うようになったのだそう。その願いが通じて、決められた期間のみ山に登ることが許されたのです。
さらに、一般の人々の入山が許されたころから、登山の開始と登山者の安全を祈願する儀式が行われるようになりました。これが現代にも続く「山開き」の始まりです。この儀式としての山開きは、現在でも日本各地の霊山で行われています。
登山は山開きの期間内に行うのが鉄則

実は、山開きの期間外にも登山を行うことはできます。しかしながら、山開き以外の時期に登山を行う際は大変危険な点がいくつも存在します。
それは山小屋やトイレ、さらには登山道も閉鎖をしているということです。富士山など、標高の高い山では休憩が必須。登山の際、山小屋やトイレがあるのとないのでは大きく差があります。加えて登山道が使用できなければ、初心者にとって難易度は大きく跳ね上がることにもなるんです。
また、山開きは基本的に夏から初秋にかけての暖かい時期に行われます。期間外は気温も下がり、気候も寒冷です。防寒対策も万全に行った上で登山をする必要があります。ですから、山開きの期間外の登山は絶対にやめましょう。初心者なら尚のことです。
遭難などの事故を防ぐために、山開き以外の時期には登山計画書の提出が必要な山もあります。登山を行う際は、山開きをしている期間内に行うようにしましょう。
富士山の山開きの期間・2025年はいつ?

日本一有名な山である、富士山。富士山の山開きは、ほかの山と少々形式が異なります。なぜかというと、富士山が山梨県と静岡県にまたがっていることにより、登山ルートが複数あるためです。富士山の山開きは、この登山ルートごとに行われます。
富士山の山開きの日と期間「山梨県」
山梨県から登るルートは、吉田口の1つ。こちらのルートの山開きの時期は7月1日に行われることが多く、富士山の登山ルートの中でも最も早くに山開きが行われます。閉山は9月11日からで、11日は午前中に下山ルートのみ通行可能です。
この吉田口の起点は、浅間神社。ですので、浅間神社では毎年6月30日に、山開きのお祝いと安全祈願のための前夜祭が行われます。
富士山の山開きの日と期間「静岡県」
静岡県から登るルートは、富士宮口、須走口、御殿場口の3つ。この3ルートは主に7月10日に山開きが行われ、閉山は9月11日となります。また、富士宮口は5合目~6合目のみ、6月13日に開通されます。
初心者にオススメの登山ルートは、富士宮口。4つの登山ルートのうち、この富士宮口は出発点の標高が最も高く、山頂までの距離が短いことからおすすめです。また登山口と下山口が同じため、初心者でも間違えにくいルートになっています。
どちらの県の登山口も、2025年の山開きについて詳細な日付はまだ決まっていない(4月下旬時点)ようですが、例年どおり7月上旬に開山予定とのことです。
富士山へ山開き初日に登る際の注意点

富士山の山開き初日に登山をする際は、最も山開きの早い吉田口から登ることになります。この山開きのタイミング、そして吉田口ならではの注意点をご紹介しましょう。
天候に注意する
吉田口の山開きは例年7月1日ごろですが、この時期は梅雨の真っ最中であることがほとんど。そのため、初日は天候に恵まれない可能性が高く、雨に備える必要があります。初日に登山を行う場合は雨具の用意に、そして防寒対策を整えましょう。
7、8合目の救護所が利用できない可能性が高い
吉田口の7合目と8合目にある救護所が利用できるようになるのは、開山日よりも少し後である場合が多いよう。(2024年の開設日は、7合目救護所が7月13日~8月21日、8合目救護所が7月5日~9月10日でした。)登山を行う上で注意する必要がある高山病などの症状は、7、8合目から出やすくなります。安全に登山するためにも、富士山初心者は7、8合目の救護所が利用可能となってからの登山がおすすめです。
下山ルートが吉田口になる
ほかの登山口、下山口が閉鎖しているため、下りも吉田口を目指すことになります。この吉田口は、ほかのルートに比べ岩場が多いのが特徴。下山の際も、その岩場が多い道を利用することになるため、注意しなければケガをするおそれがあります。時間や体に無理のない登山計画を立てるようにしましょう。
山開き・2025年の各地の時期もチェック

◆福島県
福島県には、登山のできる山が多く存在します。その中でも会津にある「鳥屋山(とやさん)」や「高寺山(たかでらやま)」の山開きは、4月19日ごろとほかの地域に比べて早めです。2025年も4月20日、4月19日にそれぞれ山開きが行われました。
そのほかの山も5月中、6月中に山開きが行われるところばかり。いち早く登山を楽しみたい方には、オススメの地域となっています。
◆神奈川県
神奈川県の中でも人気登山スポットである「大野山(おおのやま)」。この大野山は毎年4月29日に山開きが行われる、家族連れや子供たちにも人気の山です。2025年も、例年どおり4月29日に開催される予定となっています。
また、山開きの日には山頂で山菜や農作物の販売が行われます。関東に住んでいてGWに登山をしたい、という方にオススメです。
◆徳島県
徳島県にある「剣山」(つるぎさん)の山開きは4月29日。当日、この剣山では山開きの神事に加え、餅投げなどの行事が行われます。こちらも、2025年も4月29日に「お山開き祭り」が開催される予定です。
また、剣山は富士山とは少々異なり、山開きの時期よりも早い4月初旬ごろから各施設が営業を開始します。山開き前と山開き後の時期で異なる景色の下、登山を楽しむことができますよ。
体を動かす楽しさを、登山で満喫してみよう

山開きについて理解できたでしょうか? 山開きをしている期間の山は、それ以外の時期に比べ、初心者でも気軽に登山を楽しむことができます。
登山の経験がない人も多いかもしれません。しかし、日本人にとって山は古来より守られてきた神聖なもの。たまには休みの日に登山をしてみるのもいいかもしれないですね。
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Oggi編集部
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