山の日とは? なぜできたのか由来なども知ろう
「山の日」がいつで、どんな日なのかご存知ですか? 日本の国民の祝日ではありますが、その意味や由来については詳しく知らないという方もいるはず。今回の記事では、「山の日」とは一体どんな祝日なのか、由来や、国民の祝日となった経緯についても詳しくご紹介します。
◆山の日の由来
「山の日」とは、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」という趣旨の国民の祝日です。しかし「山の日」は、他の祝日とは異なり、山に関する特別な出来事や明確な由来があったわけではありません。「山の日」が新たに制定されたのは、「海の日」が国民の祝日となったことがキッカケとなっています。
日本は国土のおよそ6~7割が山地で、国土が海に囲まれていますよね。そのため、私たち日本人は、昔から、山や海に畏敬の念を抱きながら生活し、それらの恵みに感謝しながら、自然とともに生きてきました。1995年に「海の日」が国民の祝日になると、山梨県をはじめ複数の府県で「山の日」ができ、2002年の国際山岳年に「山の日」を国民の祝日とする構想が本格化しました。
その後、2010年に日本山岳協会など山岳5団体が、山の日制定協議会を設立します。そして、2013年に超党派の山の日制定議員連盟が発足すると、「山の日」を国民の祝日にしようとする運動が、一気に全国に広がりました。
◆山の日はいつから国民の祝日になったのか
2013年の6月30日に、山の日制定議員連盟が開いた総会にて、「6月上旬」、「海の日の翌日」、「お盆前」、「日曜日」のいずれかを「山の日」とする案の中から、お盆休みと連続させやすい利点があるとして、お盆前の8月12日を「山の日」とする案が採用されました。
しかし、8月12日は、日本航空123便墜落事故が発生した日であり、それに加え123便が墜落した場所も群馬県の御巣鷹山、つまり「山」であったということから、日付の見直しが検討されたのです。今でも、毎年この日に慰霊祭が行われているため、「JAL123便事故が起きた日をお祝いするのは違和感を覚える」という懸念が相次ぎ、山の日制定議員連盟は11月22日の総会で、最終的に8月11日を山の日とすることと決めました。
そして、翌年の2014年の5月23日に、参議院本会議において「改正祝日法」が賛成多数で可決し、成立。「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第43号)」が、2016年1月1日に施行され、同年の8月11日より、「山の日」が国民の祝日となりました。
◆8月11日が山の日
「山の日」は当初、祝日のない6月にする案や、「海の日」(7月第3月曜日)の翌日にする案などがありました。色々な考案のもと、8月11日と定められた「山の日」ですが、8月11日には山にまつわる意味もあるようです。
「山の日」が、国民の祝日になる前から全国各地には、独自の山の日があり、その日付も府県によって様々でした。8月8日は「やまなし山の日」「ぎふ山の日」、11月11日は「かがわ山の日」「えひめ山の日」「こうち山の日」など、「8」や「11」を用いる傾向があったようです。
また、「八」の字が山の形にみえるため「8」、木が立ち並ぶイメージから「11」というふうに、山を連想させる数字であるとも言われていますが、これらの理由は後付けのようで、本当の理由はハッキリしていません。
◆山の日はハッピーマンデーの対象ではない
「『山の日』は、どうしてハッピーマンデー制度の対象にはならないの?」と、疑問に思っている方も多いかもしれません。しかし、そもそもハッピーマンデー制度というのは、「国民の祝日の一部を特定の週の月曜日に移動させる法改正」のことです。
将来的には、ハッピーマンデー制度を適用させる可能性もある… と言われていますが、「山の日」の後のお盆休みとの兼ね合いや、元々の候補日であった8月12日と重なる可能性などを考慮すると、難しいのではないか? とも言われています。
山の日・2025年はいつ?
2025年の「山の日」は、8月11日(月)です。
8月9日(土)〜11日(月)までは三連休。続く8月12日(火)〜8月15日(金)がお盆休暇になる企業も多いでしょうから、仕事のやりくり次第では、結構長く休めそう、という人も多いのではないでしょうか?
山の日のイベントが全国で開催
全国各地で「山の日」にちなんだ、イベントが開催されます。毎年、「山の日記念全国大会」が開かれていますが、その他の「山の日」関連イベント開催の有無についての日程等については、全国山の日協議会のホームページで確認することができます。
◆山の日記念全国大会、2025年は福井県で開催
2016年の8月10日、11日の2日間、「山の日」が国民の祝日になったことを記念して、長野県松本市で第1回「山の日記念全国大会」が開催されました。
大会の理念は、「山の日制定の趣旨を国内外に浸透を図ること」、「山に関する歴史や文化、環境、観光、安全、教育等の『山と人』との関わり方を見つめ直し、様々な課題の解決につなげる契機するとともに、次代を担う子どもたちと一緒に豊かで美しい『山の未来』を想像する第一歩とすること」、「世界で初めて『山』を対象とした祝日であることを国内外へ発信するとともに『山』に関する国内外の幅広いネットワークを構築する機会とすること」となっています。
第5回「山の日記念全国大会」は、2020年の8月11日(火)、大分県九重町での開催を予定していたところ、コロナ禍の影響で延期され、2021年に開催されました。第6回は2022年8月10日(水)〜11日(木)に山形県 山形市・上山市(蔵王地域)で開催。2023年は沖縄県 国頭村・大宜味村・東村・竹富町で第7回が、2024年は東京都で第8回が開催され、2025年は福井県で開催されることが決まっています。
他に「山の日」関連のイベントとして、コロナ禍以前に開催されていた群馬県 谷川岳「山の日イベントin谷川岳」も再開されています。
アウトドアブーム真っ只中の今、夏休みと重なる「山の日」にまつわるイベントはさらに活発になっていきそうですね。気になる人はイベント情報などをこまめにチェックしてみてください。
最後に
以上、「山の日」の由来や、国民の祝日となった経緯について、理解が深まったことと思います。山や海に囲まれた日本ならではの、国民の祝日「山の日」。比較的、新しい祝日ということもあり、まだ馴染みのない人も多いかもしれません。
幼い頃は、学校行事や、夏休みの家族旅行など、自然と触れ合う機会がありました。しかし、大人になると日々の生活に追われ、自然に感謝することさえも忘れてしまいがち。「山の日」のように、あらためて自然の尊さを思い出させてくれる日は、これからも大切にしていきたいものですね。
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