「専売特許」という言葉、実は1885年(明治18年)に制定された「専売特許条例」にその起源があるのをご存じですか? 特許制度の始まりとともに登場したこの言葉は、独占的な権利を持つ技術や製品、さらにはその人ならではの得意技を指す表現として定着しました。
この記事では、「専売特許」の成り立ちから現代での活用方法、類語や英語表現までを紐解き、わかりやすく紹介します!
「専売特許」の読み方と意味とは?|由来も紹介
まずは、「専売特許」の読み方と意味、そして由来を確認していきましょう。
読み方と意味
まずは、「専売特許」の意味を辞書で確認しましょう。
せんばい‐とっきょ〔‐トクキヨ〕【専売特許】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 特許の旧称。
2 その人だけが得意とする技術・方法など。特技。おはこ。「古い歌謡曲なら彼の―だ」
「専売特許」の読み方は「せんばいとっきょ」で、古くは特許のことを指しました。今では「ある人物が特に得意とする技術や方法」として広く用いられています。
由来は?
「専売特許」という言葉の起源は、1885年(明治18年)に制定された「専売特許条例」にあります。当時、明治政府は西洋の特許制度を日本に導入し、技術革新を促進するために「専売特許」として特許を受けた発明品の独占権を与える制度を確立しました。
「専売特許」の「専売」とは「独占的に販売すること」を意味し、「特許」は政府が認可した独占的な権利を指します。「専売特許条例」が存続したのはわずか3年余りでしたが、「専売特許」という言葉は、特許権のみならず、特定の分野で優れた技術や方法を持つ者を表す言葉として今でも使われ残っています。
「専売特許」の具体的な使い方を例文で確認
「専売特許」という言葉は、適切に使用することでビジネスから日常会話に至るまで、表現の幅を豊かにする役割を果たします。ここでは、実際のビジネス場面や日常での具体的な使用例を通して、「専売特許」の多様な使い方を探りましょう。
ビジネスにおける使い方
ビジネスシーンでは、特定の企業や個人が有する技術的な優位性や独自の製品を強調する際に用いられることが多く、「専売特許」は「他社には模倣できない独自性」をアピールする言葉として機能します。
例文:
「この製品は当社独自の専売特許であり、他社が模倣することはできません」
「彼のプレゼンテーションスキルは、まさに彼の専売特許で、顧客の関心を引きつける技術を持っています」
日常会話での使い方
日常の会話では、特定の個人が持つ特徴や得意とするスキルを強調する場面で用いられ、話し手のユーモアや親しみやすさを添える言い回しとしても機能します。
例文:
「お母さんのカレーは家族の専売特許みたいな味だよね。外じゃ絶対に食べられないよ」
「佐藤さんのふんわりしたタッチのイラストは、専売特許って感じだよね」
「専売特許」の類語と言い換え表現は?
「専売特許」という言葉の類語や言い換え表現を知ることで、ボキャブラリーが一層豊かになります。以下では、類語と使用例を紹介していきましょう。
独擅場(どくせんじょう)
「独擅場」は、特定の人物が最も力を発揮できる場面や領域を指し、「専売特許」に近い意味を持つ表現です。主に、個人の優れた能力が際立つ状況で使用されます。
なお、「独壇場(どくだんじょう)」という言葉もありますが、じつはこの言葉は、「擅」を「壇」と誤り使われ始めた言葉なんです。今では、「独擅場」と同じように使えます。
例文:「このプロジェクトは彼女の独擅場であり、誰もが彼女の専門知識に頼っています」
お家芸(おいえげい)
「お家芸」とは、特定の家系や組織が代々伝承し、特に得意とする技術や芸能のこと。「専売特許」と同様に、個人または組織の持つ独自の特徴や技術を強調する場面で使われます。
例文:「繊細なデザインは、あのブランドの長年の伝統であり、お家芸ともいえる技術が施されています」
得意技(とくいわざ)
「得意技」は、その人が特に優れた技術やスキルを示す表現です。元々は相撲などで得意とする技を指していましたが、転じて使われるようになりました。個人が得意とする分野や、卓越した能力を表す際に適しています。
例文:「料理は彼の得意技であり、いつも安心して任せられます」
「専売特許」を英語で言うと?
海外の方とのコミュニケーションや、ビジネスシーンでも使える英語表現を知っておくと便利です。「専売特許」は英語でどのように表現するのでしょうか?
patent
“patent”は、特許のことを指します。「特許出願中」と言いたいときは“Patent pending”と表現します。「特許を取る」と表現したいときは、“get a patent for an invention”を使いますよ。
例文:“She got a patent for her invention.”(彼女は発明品の特許を取った。)
monopoly
“monopoly”は、独擅場であったり、独り勝ちの状態を表現できます。
例文:“This technology is A Corporation’s monopoly.”(この技術は、A社の専売特許だ。)
run the show
“run the show”もまた、独擅場であったり、牛耳ること、仕切ることを表します。
例文:“He runs the show when it comes to karaoke.”(カラオケは彼の専売特許だ。)
最後に
「専売特許」という言葉を知るだけで、日常やビジネスでの会話がちょっと楽しく、豊かになるものです。普段のコミュニケーションに、少しユーモアやネタを加えたいとき、この言葉が活躍する場面があるかもしれませんね。
言葉の背景や使い方を知ると、自然と表現の幅も広がります。機会があったら、ぜひ「専売特許」を会話に取り入れてみて、ちょっとした話のスパイスとして楽しんでみてください!
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