日々の仕事や人生の中で、目標を達成するためには単なるスキルだけではなく、心の持ち方が大きな影響を与えることがあります。そこに関係してくるのが「エフィカシー」という心理的な力です。このエフィカシーを高めることが、あなたのビジネスシーンでの成果を大きく変えるかもしれません…。
この記事では、エフィカシーとは何か、その具体的な向上方法について、深く掘り下げていきます。
エフィカシーとは? ビジネス成功に不可欠な心理的要素
「エフィカシー」という言葉を、初めて耳にする方も多いかもしれませんね。まずは「エフィカシー」が何を意味するのか、基本的なところをおさえていきましょう。
エフィカシーの基本概念
「エフィカシー」を辞書で確認しました。
エフィカシー【efficacy】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
効力。効能。薬などの有効性。
エフィカシーとは、一般的には「効力」や「有効性」を意味する言葉だとわかりました。薬などの有効性を示す場合に使われることが多いですが、ビジネスや心理学の分野では、ある行動や施策が期待された結果をどれだけ達成できるかという「効果の確かさ」を指します。
エフィカシーの心理学的概念
心理学におけるエフィカシーとは「自己効力感(セルフエフィカシー、self-efficacy)」を指し、自分が特定の状況で成功できるという信念を意味します。アルバート・バンデューラによって提唱されたこの概念は、個人が目標を達成するための動機づけや行動の持続に深く関わるとされています。
自己効力感が高い人は、困難な課題に対しても自信を持ち、前向きに挑戦し続ける傾向があります。これは個人の成長や成功にとって非常に重要な要素です。
この記事では、「自己効力感」の意味を持つ、「エフィカシー」について掘り下げていきます。
エフィカシーと職業スキルの関係
エフィカシーは、職業スキルを効果的に活用し、成長を促進するカギとなります。エフィカシーが高い人は、自分のスキルに自信を持ち、新しい知識や技術を習得する際にも積極的です。
また、挑戦的なタスクにも前向きに取り組むので、さらにスキルが磨かれます。つまり、エフィカシーが高いほど、職場での成果やキャリアアップが期待できるのです。
エフィカシーを高めるための実践的なステップ
エフィカシーが高いほど成果が得られるのであれば、エフィカシーを高めたいですよね。ここでは、エフィカシーを高めるために、日常生活や仕事に取り入れやすいステップを紹介します。
日常の成功体験を意識する
エフィカシーを高めるためには、日常の小さな成功体験に注目することが大切です。「朝のルーティンを予定通りこなす」、「週の始めに立てたタスクをすべて終える」といった一見些細だと思えることにも達成感を意識してみてください。
小さな成功を記録しておけば、自分の進歩を振り返ることができます。こうした行動が、自己効力感を自然と高めることになるのです。
具体的で達成可能な目標を設定する
エフィカシーを高めるには、具体的で達成可能な目標を設定することも重要です。例えば、「1か月で5キロ歩く」、「毎週1冊の本を読む」というように無理のない現実的な目標を立てましょう。
このように具体的な目標を設定すると、達成する過程でも自信をつけることができます。さらに、目標を細かく分けて進捗を確認することで、小さな達成感を積み重ねることができ、エフィカシーをさらに強化する助けとなるでしょう。
ポジティブなフィードバックを活用する
ポジティブなフィードバックを活用することは、エフィカシーを高める上で非常に効果的です。たとえば、「今回のプレゼンでは、複雑なデータを分かりやすく整理してくれて、クライアントがすぐに理解できたよ」というフィードバックを受けたとします。そうしたら、自分の分析力に自信がつきますよね。
「チームの進行状況をしっかりと把握して、スケジュール管理をしてくれたおかげで、納期に間に合ったね」などといった具体的な称賛が、さらに努力を続ける原動力となります。
このようなフィードバックを積極的に受け入れ、次の行動に反映すれば、自己効力感を一層高めることができます。
エフィカシーを高めるためのコーチングテクニック
あなたがリーダーとなったときに、チームメンバーのエフィカシーを高めることは、プロジェクトや業務の成功に直結します。ここでは、リーダーがメンバーのエフィカシーを高めるために実践できるコーチングテクニックを紹介します。
明確な目標設定とフィードバック
まず、メンバー一人一人に対して、明確で達成可能な目標を設定することが重要です。何を目指すべきかを明確に示し、その進捗に対して定期的にフィードバックを提供することで、メンバーの自信とモチベーションを高めることができます。
具体的な数値目標や期限を設定し、それに基づいて進捗を確認しながら、達成度合いに応じた称賛や改善点の指摘を行うと効果的です。
たとえば次のような声がけが考えられます。
「山田さん、先月の締め切りまでに目標の80%を達成したのは大きな成果ですね。ただ、残りの20%をクリアするために、もう少し具体的なアプローチを見直してみましょう。例えば、次回は〇〇を試してみてはどうでしょうか?」。
この声がけは、達成度に応じた称賛と、改善点の提案をバランスよく含んでいます。メンバーのエフィカシーを高めつつ、次のステップに向けた建設的なアドバイスを提供しているのがポイントです。
成功体験の共有と振り返り
コーチングの中で、成功体験の共有と振り返りを行うことは、エフィカシーの向上に効果的です。
リーダーが具体的な成功事例を挙げ、メンバーとその成功要因を一緒に振り返る場を作ることで、メンバーの自信を高め、次のチャレンジへの意欲を引き出すことができます。
そのとき、「先月のプロジェクトで、鈴木さんの提案がクライアントから高く評価され、契約に結びついたことは素晴らしかったですね」といったように具体的に事例を挙げるとわかりやすいですね。
こうした場で、何が成功を導いたかを具体的に分析し、次のプロジェクトにどう活かすかを議論することが、さらなる成功へと導きます。
チャレンジングなタスクの提供
リーダーとして、メンバーに適度なチャレンジの場を提供することは、成長促進のために欠かせません。
たとえば、経験豊富なメンバーには、次期リーダー候補として新しいプロジェクトの立ち上げを任せることで、自らの能力を試す機会を与えます。新人には、少しハードルが高いけれどサポートがあれば達成可能なタスク(チームプレゼンの一部を担当させる等)を経験させることで、成功体験を積ませます。
このように、メンバーのスキルや経験を考慮しながら、達成可能な範囲でチャレンジを設定し、それぞれの自己効力感を高めていくことが重要です。リーダーの適切なタスク配分が、メンバーの成長とチーム全体のパフォーマンス向上に大きく寄与します。
最後に
エフィカシーは、ビジネスシーンでの成功に不可欠な心理的要素です。自己効力感を高めることで、困難な課題にも果敢に挑戦し、目標を達成する力が養われます。この記事を一つの参考にして、エフィカシーを意識して日々の仕事に取り組んでみてください。あなたのキャリアアップにきっと役に立つはずですよ。
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