クォーターライフ・クライシスの経験者、アーティスト・家入レオさんにインタビュー
「悩みなんて、あって当然! 苦しんだぶんだけ、自分を知ることができました」(家入レオさん)
10代でデビューを飾り、現在は29歳になった家入さん。20代前半にもがき、悩んだ日々をどう乗り越えたのでしょうか。率直に語っていただきました。
【アーティスト・家入レオ】
高校在学時の17歳のとき「サブリナ」でデビュー。その年の第54回日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞。バラードからバンドサウンドまで、独特の感性と歌詞でファンを魅了し続けている。
「クォーターライフ・クライシス」とは?
20代中盤~30代前半にかけて陥りがちな〝幸福低迷期〟のこと。女性は結婚、出産などのライフイベントと重なり、焦りや不安感を抱く人が多いのだそう。2001年ごろからイギリスなどで浸透し始め、近年は日本でも話題に。
Oggi読者に聞いた「あなたが現在、不安や悩みを感じていることは?」
(複数回答)
お金 ── 67%
仕事・キャリア ── 63%
将来・老後 ── 59%
健康・美容 ── 54%
出産 ── 52%
私自身、5~6年かけてみっちり迷走しまくりました(笑)
でもそれは必要な時間でした
家入さんがクォーターライフ・クライシス(以下QLC)を知ったのは20代前半のころ。
「私は17歳でデビューしたこともあって、仕事や社会の壁にぶつかるのも早かったんです。
最初の3年間を必死に駆け抜けて、やっと周りを見る余裕ができた…というときに『私は何を歌いたいんだっけ』『私、空っぽだな』と思ってしまって。グルグル悩んでいるときに友達がQLCについて書かれた記事を送ってくれて、『この状態には名前があるんだ、悩んでもいいんだ』と前向きになれた。
今思うと、最初の3年でそれまでの経験や伝えたいことを使い切ってしまったんでしょうね。それからはあらゆることを試しました。ドラマに出演させていただいたり、本を読んだり、子供が好きなので保育園にボランティアに行ったり。簡単に言ってますけど、それが5~6年続きました(笑)。
もがくうち、自分が『曲をつくるために経験を積まなくちゃ』『必要とされる人間にならなくちゃ』と、歌に目的や評価を求めすぎていることに気づいて。本来歌は、歌いたいから歌うもの。〝好きだから歌いたい〟と思えるようになってようやく、抜け出せました」
今回、読者からも「結婚の目的って?」「今の仕事でいいのか」などの悩みが寄せられました。
「それも同じな気がします! 意味を見つけようとするから苦しくなる。
一緒にいたいから結婚する、この仕事が好きだから働く、そのくらいシンプルなこと。QLCって、自分にとって何が大切か見極める時期なのかも、って思います。私も30歳を前にして、悩みや葛藤はあります。『またちゃんと好きな人ができるかな』とか。
私の歌詞見てみてください、ずっと暗いから(笑)。行き詰まったときの逃げ道や楽しみを用意しておけばいいんじゃないですか。サウナに行く、友達と飲み明かす、おいしいものを食べるなど…悩むことは悪いことじゃないと知っていれば、ちょっとだけ楽になる気がします」
家入さんの〝幸福低迷期〟を支えた心に響く4冊
●愛着障害
幼少期の体験が今の言動に与える影響を解説。「自分のルーツを辿りたくて手に取った一冊で、〝腹落ち〟の連続。QLC以外の悩みにもきっと役立ちます」
●アミ 小さな宇宙人
愛とは何かということを、優しい言葉で綴った物語。「物事を難しく考えすぎてしまうときに。絶版ですが、図書館などで借りられるはずなのでぜひ」
●アルケミスト 〜夢を旅した少年〜
人生の大切なものを教えてくれる、世界的ベストセラー。「自分の原点を気づかせてくれます。QLCを抜け出せたかな? というときに読むと沁みるはず」
●チーズはどこへ消えた?
ビジネス書として大ヒットとなった作品。「怖くても、突き進んだ先にしか成功はないということに気づかされます。仕事を頑張るOggi世代に読んでほしい」
Information:New Single「ワルツ」
ABCテレビ・テレビ朝日系連続ドラマ「ミス・ターゲット」の主題歌としてリリース。10月からは全国11都市12公演を回る全国ツアー「家入レオ TOUR 2024」がスタート。
Colourful Records VICL-37738 ¥1,400(通常版)
2024年Oggi7月号「悩んで上等!これが働く私の生きる道」より
撮影/為広麻里 構成/佐々木 恵・酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部