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2023.11.16

「お見えになる」は敬語として正しい?言い換え表現は?例文を使って詳しく解説

「お見えになる」は「来る」の尊敬語で、二重敬語ではありません。「お越しになる」や「いらっしゃる」といった言い換え表現もあります。本記事では、「お見えになる」の正しい意味や使い方を解説します。例文やよく似た表現もご紹介するため、ぜひ参考にしてください。

「お見えになる」の意味とは?

「お見えになる」とは、動詞「来る」の尊敬語です。目上の人が来たことを、敬語で表しています。立場が上の人に対して使い、主にビジネスシーンで利用される言葉です。

「お見えになる、は二重敬語となり、間違いではないか」という疑問をもたれることがありますが、二重敬語ではなく、正しい敬語です。

ここでは、「お見えになる」の意味や二重敬語について解説します。

ホテルスタッフ
(c)Adobe Stock

「来る」の尊敬語

「お見えになる」は「来る」の敬語で、誰かが来たことを丁寧に表す言葉です。たとえば、「お客様がお見えになります」「社長がお見えになりました」という使い方をします。

尊敬語であり、目上の人に使う言葉で、自分や目下の人には使いません。ビジネスシーンで、上司や取引先、顧客などが来るタイミングで使うことが多いでしょう。

二重敬語ではない

「お見えになる」は、二重敬語ではありません。二重敬語とは、ひとつの言葉で同じ種類の敬語を重ねて使うことです。たとえば、「ご利用になられる」「ご覧になられる」などがあげられます。これらは、「ご利用になる」「ご覧になる」が正解です。

「〇〇社長様」など、役職に「様」をつけるのも二重敬語になるため、注意しましょう。

一方、「お見えになる」の尊敬語は、「お見え」だけであり、二重表現ではありません。

「お見えになられる」は間違い

「お見えになる」が、二重敬語ではないかと勘違いされるのは、「お見えになられる」と混同してしまうためです。「お見えになられる」は、尊敬を表す「お見え」と、「なられる」とが重なる二重敬語です。

二重敬語は丁寧にしようと考えすぎて使ってしまいがちですが、日本語として誤っているだけでなく、丁寧すぎるためにかえって嫌味で誠意が感じられなくなります。誤用しないように、十分注意してください。

「お見えになる」の例文

「お見えになる」の定文をいくつかみてみましょう。文章で使い方を把握し、正しく使うようにしてください。

・本日は〇〇様がお見えになる予定です

・社長がお見えになるまでに、準備を整えてください

・当日は多くのお客さまがお見えになると予想されます

・〇〇様がお見えになるのは2時ごろと伺っています

・今日は大切なお客様がお見えになる予定です

「お見えになる」とよく似た表現

来客シーン
(c)Adobe Stock

「お見えになる」には、よく似た表現があります。一例として、次のような表現があげられます。

・お越しになる

・いらっしゃる

・おいでになる

・来られる

どれも「お見えになる」と同じく誰かが来ることの敬語ですが、使うシーンや意味のニュアンスは微妙に異なります。

それぞれ、使い方や使用するシチュエーションを詳しくみていきましょう。

お越しになる

「お越しになる(おこしになる)」は、「お見えになる」と同じく「やって来る」という意味の敬語です。「お見えになる」はただ来ることを表現しますが、「お越しになる」はわざわざ来てくれるというニュアンスがあります。

たとえば、「お客様がお見えになりました」は単純に来たことを表す敬語表現ですが、「お客様がお越しになりました」はさらに丁寧で、来てくれたことに感謝する意味合いが込められている使い方です。

(例文)

・このような場所にお越しになるとは思いもよらず、失礼いたしました

・本日は遠くからお越しいただき、ありがとうございます

いらっしゃる

「いらっしゃる」も「お見えになる」と同じく「来る」の敬語ですが、「お見えになる」よりも砕けた表現です。

目上の人に使うことに変わりありませんが、直属の上司などより近い存在に対して使います。また、「来る」のほかに「行く」「居る」の尊敬語としても使われます。

(例文)

・もうすぐ課長がいらっしゃいます(「来る」という意味)

・〇〇様がいらっしゃいましたので、準備をお願いします(「来る」という意味)

・どちらへいらっしゃいますか?(「行く」という意味)

・向こうに座っていらっしゃるのが〇〇様です。(「居る」という意味)

おいでになる

「おいでになる」は、「来る」のほかに「行く」「居る」の意味でも使われる尊敬語です。古語の「出づ」が語源で、尊敬を表す接頭語の「お」と「になる」をつけた表現が、「おいでになる」に変化しています。

(例文)

・〇〇様がおいでになりました(「来る」という意味)

・またおいでいただくことを楽しみにしています(「来る」という意味)

・来月のミーティングは、先方においでになりますか?(「行く」という意味)

・〇〇様はすでにご到着されており、応接室においでです(「居る」という意味)

来られる

「来られる(こられる)」は、動詞「来る」の尊敬語に助動詞「られる」をつけた言葉です。「られる」には「尊敬」のほかに「可能」「受け身」の意味があり、「来られる」という表現には、文脈によって尊敬以外に「可能」や「受け身」の意味でも使います。

(例文)

・お客様は10時に来られる予定です(尊敬の意味)

・明日は何時までに来られますか(可能の意味)

・こんな遅い時間に来られては迷惑です(受け身の意味)

なお、「来られる」のほかに「来れる」という表現もあります。「来れる」は「ら抜き言葉」といわれるもので、誤った表現です。

ただし、「来られる」を使う場面では「尊敬」と「可能」のどちらの意味なのか判断しにくいこともあり、あえて「来れますか」と「ら抜き言葉」にして「可能」の意味であることを示す場合もあります。

「お見えになる」は正しく使おう

「お見えになる」は、誰かが来たことを表す敬語表現です。「お見えになられる」という使い方は二重敬語になるため、気をつけましょう。

「お見えになる」には「お越しになる」「いらっしゃる」「おいでになる」「来られる」などよく似た表現がありますが、それぞれ使い方やニュアンスは異なります。

とくに「いらっしゃる」「おいでになる」は「来る」以外の意味もあり、「来られる」は尊敬語以外の使い方もあります。例文も参考に、正しい使い方を覚えておきましょう。

TOP画像/(c)Adobe Stock

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