雀の涙の意味は?
「雀の涙」は「すずめのなみだ」と読み、ごくわずかしかないものを例える言葉です。少ないことを大げさに伝えたいときに使います。小さい鳥の代表格である雀の涙はほんのわずかであり、それほどまでに少ないということを強調したいときに使う言葉です。
ここでは、雀の涙という言葉の由来や使う際の注意点について解説します。
言葉の由来
雀の涙の語源は、雀という鳥が小さいことに由来します。雀という名前は「スズ」と「メ」に分けられ、「スズ」は小さいことを表す「ササ」が転じた言葉とされています。「メ」は鳥を表す接尾語です。
実際に雀の体長は14〜15cmほど、体重は約18〜27gほどと小さく、そのような小さい鳥の流す涙はごく少量であることから、わずかなものの例えとして雀の涙という言葉が生まれました。
使う場面には注意
雀の涙はビジネスシーンや日常会話など広い範囲で使われる言葉ですが、使うシーンには注意しなければなりません。「わずかしかない」「必要な量にはほど遠い」といった意味合いで、ネガティブなニュアンスになりやすいためです。
自分のことを例える場合は問題ありませんが、人に対して使うときは失礼にならないよう配慮が必要です。
雀の涙の例文
雀の涙の例文をみて、意味や使い方を確認しましょう。
・会社の業績が下がって、今年のボーナスは雀の涙ほどしかない
・雀の涙ほどの募金しかできないが、何かの役には立つと信じている
・例え雀の涙ほどであっても、幸せを感じられるようにしたい
・毎日残業しているのに、給与は雀の涙ほどしか上がらない
・遅れてバイキングの会場に行ったら、好きな料理が雀の涙ほどしか残っていなかった
雀の涙の類義語
雀の涙には類義語もあります。次のような言葉です。
・猫の額(ねこのひたい):非常に狭いこと
・蚊の涙(かのなみだ):非常に少ないこと
・姑の涙汁(しゅうとめのなみだじる):非常に少ないこと
・九牛の一毛(きゅうぎゅうのいちもう):ほんの一握り、取るに足らない
・片言隻語(へんげんせきご):ほんのわずかで短い言葉
これらの類義語も一緒に覚えておけば、シーンごとに表現を使い分けることができるでしょう。
このうちの3つの類義語をご紹介します。
猫の額
猫の額とは、猫の額が狭いことから、土地や建物などの場所が狭いことを例えた言葉です。「猫の額のような庭」といった使い方をします。猫の額のように狭い庭であることを表しています。
猫は顔の大きさに対して額の割合が少ないことから、このような言葉が生まれました。
(例文)
・新しい住まいのリビングは猫の額ほどの広さだが、狭い方がかえって落ち着いた気分になれる
・マイホームを都心など立地条件で選ぶとすると、自分の予算では猫の額程度の広さしか選べない
蚊の涙
蚊の涙とは、「ごくわずかな量」という意味です。雀の涙とほぼ同じ意味ですが、蚊は雀よりもはるかに小さいため、より少ない量をイメージする言葉です。少ないことをさらに強調したいときは、蚊の涙を使うとよいでしょう。
(例文)
・蚊の涙ほどの金額であっても、今の自分にはとても助かる
・もはや雀の涙ではなく、蚊の涙までに金利が低下してしまった
片言隻語
片言隻語とは、ちょっとした短い言葉という意味です。「片言(へんげん)」と「隻語(せきご)」を組み合わせた四字熟語で、「片言」はわずかな言葉、「隻語」は「短い言葉」という意味があります。
片言隻語は否定のニュアンスで使う場合が多く、「片言隻語も理解しない」といった使い方をします。
あまり日常的に使う言葉ではありませんが、雀の涙の類義語として覚えておくとよいでしょう。
(例文)
・片言隻語までチェックして揚げ足を取ろうとする人には注意が必要だ
・片言隻語も聞き漏らすことのないよう、講義の内容に集中しなければならない
雀の涙の対義語
雀の涙には対義語もあり、主に次のような言葉があげられます。
・広大無辺(こうだいむへん):広く果てしない
・枚挙にいとまがない(まいきょにいとまがない):多すぎて数えきれない
・掃いて捨てるほど(はいてすてるほど):あり余るほど非常に多い
ごくわずかで少ないという意味である雀の涙とは反対に、多い・広いといった意味の言葉です。
ここでは、雀の涙の対義語について2つ紹介します。
広大無辺
広大無辺とは、果てしなく広く大きい様子を表します。「広大」は広くて大きいこと、「無辺」は限りのないことを表し、同じような意味合いを持つ言葉を組み合わせ、無限に広いことを強調した言葉です。ただ距離的な広さだけでなく、将来への可能性という意味でも使われます。
(例文)
・船はゆっくりと広大無辺な海原を進んでいった
・親になってから、子どもの成長と将来の可能性は広大無辺だと感じている
枚挙にいとまがない
枚挙にいとまがないとは、数えきれないほど多くの事柄が存在し、それらをすべてあげるのには時間がかかるという意味です。「枚挙」は「いちいち数え上げること」という意味で、「いとま」は「暇」と書き、「ある物事をするのに空けられる時間」という意味があります。
そのため、「枚挙にいとまがない」は、「数え上げる時間がない」→「多くありすぎて、いちいち数え切れない」という意味になります。
良い事柄・悪い事柄が多数存在する場合に使われます。
(例文)
・あの店はテレビで紹介されて以来、訪れる人が枚挙にいとまがない
・プロジェクトの成功に対し、ネガティブな要素となることが枚挙にいとまがない状況だ
雀の涙を正しく覚えよう
雀の涙は、非常に少ないことを表す言葉です。小さな鳥である雀が流す涙はとても少ないことを例えにしています。量がわずかであることを強調し、ネガティブな意味合いになりやすいため、人に対して使うときには注意が必要です。
複数の類義語や対義語があり、この機会に合わせて覚えておけば語彙も広がります。雀の涙の意味を正しく覚え、適切な場面で使いましょう。