カジュアルな顔合わせ食事会とは
一般的に「両家の顔合わせ食事会」と言えば、両家が料亭やホテルなどのフォーマルな場所に集い、コース料理などを食べながら交流するイメージが強い方が多いのではないでしょうか? 顔合わせ食事会は「結納」ほどの厳密なルールは存在しませんが、お互いが初対面なこともあり、会場の格式高い雰囲気にのまれて緊張から「なかなか打ち解けられなかった」というケースも。最近では「もっと気楽に打ち解けたい」との想いから、カジュアルなスタイルの顔合わせ食事会を希望する方が増えつつあります。
「食事会をカジュアルにする」とは、会場や料理のスタイル、服装や手土産など、堅苦しい要素を取除いた気楽な食事会のこと。食事会をカジュアルにしたい場合、一方的に意見を通すのはNGです。こちらがカジュアルにしたいと思っていても、相手側が礼儀を重んじるタイプの場合、カジュアルな食事会にするのは難しい可能性もあります。一番重要なのは、両家の親の意見を聞くこと。親の考えを尊重して、顔合わせ食事会のスタイルを決めましょう。
カジュアルな食事会のメリットは、緊張せずに気楽に交流できることです。格式高い会場で行われる場合は、場の雰囲気に委縮してしまいがちですが、カジュアルな会場であれば、その雰囲気で早めに打ち解けれられる可能性もあります。
デメリットは、気楽すぎて単なる食事会になる可能性があること。ある程度の流れやちょっとした演出を盛り込んでおくと、メリハリのある会になるのでおすすめです。
ここでは、顔合わせ食事会をカジュアルにしたいなら知っておきたい、会場選びや当日の服装マナー、食事会の進行などを紹介していきます。
カジュアルな顔合わせ食事会の会場選び
顔合わせ食事会をカジュアルにしたいなら、雰囲気作りのためにも会場選びは重要です。高級料亭や格式高いホテルなどのフォーマルな会場は避けて、リラックスできる雰囲気のレストランや、馴染みのお店を選びましょう。
両家が遠方同士なら、お互いの中間地点で会場を選ぶケースが増えています。かっては両家が集う場合、遠方であっても男性側が女性宅まで訪問するのがしきたりでしたが、最近では男性側に負担が偏らないように、配慮されることがほとんどです。
自宅
どちらかの自宅を会場にして、仕出し弁当などの出前を利用するケース。お酒を飲まない家族なら、わざわざお店に行かなくても自宅でリラックスして親睦を深められそうですね。
居酒屋
お互いの家族全員がお酒好きの場合、近所の居酒屋などお酒の種類が豊富なお店で行われることも。お酒の話で意気投合できそうですが、飲みすぎて単なる飲み会にならないように気をつける必要がありますね。
レストラン
一般的なレストランでOKですが、騒がしい場ではなかなか会話にも集中できないことも…。個室のあるレストランをおすすめします。
顔合わせ食事会の服装のマナー
顔合わせ食事会当日、両家の服装に格差が出るとお互いに気まずいもの。事前に双方の親に「カジュアルな食事会で」と伝えていても、「片方の父親はスーツでもう片方の父親はポロシャツだった」というような事態を避けるためにも「スーツはなし」などのドレスコードを決めておくか、事前にどのようなスタイルで出席するのかを両家ですり合わせておくことが大切です。服装に関しての注意点は、具体的に説明しておくこと。人によって「カジュアルの基準」が異なることもあるので、ふんわりした表現は避けてくださいね。
カジュアルな顔合わせ食事会といっても、ほとんどの親御さんにとっては初対面の場となるので、基本的にはキレイめなテイストにするのが無難です。しかし、顔合わせに厳密なルールは存在しないので、両家が納得済みであれば「全員が普段着」で参加しても問題はありません。
女性
女性の場合は、母親と子ども共にワンピースやセットアップ、ブラウスなどの清潔感のあるシンプルなファッションがおすすめです。色はダークカラーより、優しい雰囲気のものを選ぶと場も華やかになりますね。ワンピースは素材によってフォーマルにも見えるので、光沢感のないものを選ぶなどカジュアルな素材のもの取り入れるのがポイント。
気楽な会だからといって、露出度の高いものや派手すぎる柄物などは避けましょう。アクセサリーは派手で大きなものより、控えめなデザインのものを選び、上品にまとめると好印象です。
男性
男性の場合は、父親と子ども共に襟付きのシャツにノーネクタイのスタイルでも構いません。ジャケットを着用しておくと、よりきちんとした印象を与えてくれます。
スーツスタイルにネクタイをつけるなら、ネクタイはおしゃれなデザインのものを取り入れると少しカジュアルダウンします。ズボンは、チノパンなどのきちんと見えるものを選んでください。半ズボンや足首の見えるズボンは、避けた方が無難です。
当日の進行
いくら食事会をカジュアルにしたいといっても、当日の進行は、ある程度一般的な顔合わせ食事会と同じようなものを考えておきましょう。顔合わせ食事会の成功の鍵は、 当日までに「お互い手土産はなし」「服装はノーネクタイで」など、具体的な情報交換をして統一しておくことがポイントです。そうすることで、親同士も気まずい思いや後悔をすることなく、安心して食事会を楽しめます。
集合
それぞれの親と共に会場入りします。「男性側は全員揃っていて、女性側の両親だけが先について相手との会話に困った」など、親が気まずい状況になることもあるので、それぞれの家族で集まってから、会場に向かうのがベストです。
始まりの挨拶
食事会にメリハリをつけるためにも、開始の挨拶は進行に入れておくことをおすすめします。両家の親が、わざわざ二人のために集まってくれたことへの感謝の気持ちを述べましょう。挨拶は男性単独でも、二人でもOKです。
自己紹介タイム
それぞれの家族を紹介し、自己紹介します。顔合わせ食事会用のしおりがあると、プロフィールが分かりやすく、会話が盛り上げるきっかけになるのでおすすめですよ。
食事と歓談
ゆっくりと食事しながら、歓談して交流を深めます。一般的な顔合わせ食事会では、コース料理が選ばれることが多いですが、それぞれの好みのものを一品ずつ注文するスタイルだとよりカジュアル。注文をきっかけに、好みの食べ物やお酒について会話が生まれるきっかけになるかもしれませんね。
演出
食事会の終盤で、親の前で婚約指輪などの婚約記念品を披露したり、全員で写真撮影をしたり何らかの演出を取り入れておくと、だらだらと食事をすることもなく、テンポ良いスケジュール進行になります。順番が食事と前後しても構いません。
締めの挨拶
最後に、締めの言葉を述べると場が締まります。時間をとってくれた両家の両親に感謝の気持ちを伝えたいですね。きちんとした挨拶をすることで、両親も「これからも二人を応援していこう」という気持ちになってくれるでしょう。
最後に
カジュアルな顔合わせ食事会は、リラックスした雰囲気が魅力の食事会ですが、ただの飲み会ではありません。今後の両家のお付き合いのためにもマナーを守って、家族同士の絆が深まる食事会になるといいですね。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
執筆/吉川沙織(よしかわさおり)さん
結婚式場内の衣装室や路面店にて衣装スタイリストとして勤務。挙式当日の着付けや、前撮り撮影などに携わる。趣味はピクニック。海外・国内ウエディングの流行チェックも好きです。
ライター所属:京都メディアライン