【月経のしくみ】生理のサイクルや量に不妊は関係する?
生理は子宮内膜がはがれ、血液と一緒に身体の外へ排出されます。生理の量が少ないということは子宮内膜の量が少ない場合と、子宮内膜が十分にはがれない場合の2つの理由が考えられます。ほとんどは子宮内膜が少ない場合です。
子宮内膜は、主に卵胞ホルモンに反応して厚くなります(増殖期)。その後、黄体ホルモンに反応して、着床のために変化します(分泌期)。十分な卵胞ホルモンと黄体ホルモンがあれば、通常は子宮内膜の量も多いのでふつうに生理もあるはずです。
胞の発育が不十分な場合や、うまく排卵していない場合などは、その結果として、生理の量が少なくなります。排卵がうまくいかなければ不妊の原因となります。
◆月経血が多い場合
月経血の量には個人差がありますが、1時間ごとにナプキンを替えないとモレてしまったり、経血のなかにレバー状のかたまりがたくさんまじるときは、子宮内膜症などが原因となっていることも。早めに婦人科へ行った方が良いでしょう。
◆生理のサイクルが長い
生理のサイクルが長い方は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合があります。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方は、卵巣の中に同時にたくさんの発育途中卵胞が残ってしまい、そのうえなかなか卵胞が成熟せず、排卵できる大きさに育たないままになってしまうので、排卵が困難になります。普段の生活は問題ありませんが、妊娠できないなと感じたら、不妊専門クリニックへ相談しましょう。
ホルモンバランスの乱れで排卵できなくなる人も
若い女性でも、排卵がしにくい「排卵障害」の人はたくさんいます。けっして珍しいことではありません。まず、若い女性の場合、ホルモンバランスがくずれやすいので排卵しにくくなっていることがあります。
また、無理なダイエットなどで一時的に月経がストップすることもあります。これは、ホルモンの司令塔である脳が「こんなに痩せたら生命の危機だ! こんな状態で子どもができたら大変!」と排卵をストップさせるのです。そのまま放置して月経がない期間が長くなると、元の月経周期に戻りにくくなります。これはまさしく排卵障害の状態といえます。無理なダイエットには気をつけましょう。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
浅田レディースクリニック 理事長 浅田義正(あさだ・よしまさ)
日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果“を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。