【妊娠のしくみ】赤ちゃんがうまれるまで
男女が愛しあって、子どもができる。その過程には排卵があり、射精があり、卵子と精子が出合って受精。受精が成立すると子宮の中で大きくなり、ついに出産を迎え、赤ちゃんとして誕生します。
学校の授業で教わる妊娠は受精がクライマックスで、その後の段階は省略されていることが多いようです。
ですが、不妊治療に長年携わっていると、実際の妊娠は「受精卵が子宮の中で赤ちゃんに育っていくこと」そのものだと感じています。
1. 卵子と精子が出合う
妊娠の舞台は、“卵巣・卵管・子宮”です。
卵管とは、子宮の両側から伸びている細い管のこと。卵管の先端は手のひらのようにヒラヒラとしていて、その部分を卵管采といい、その先に卵巣があります。
卵巣の中には原始卵胞が貯蔵されていて、いずれ卵子を排卵する卵胞が育っています。膣内で射精された精子は、子宮を通過し、卵管へ泳いでいきます。普通、子宮口は雑菌の侵入を防ぐために、粘り気の強い粘液で塞がれていますが、排卵期になるとそれがサラサラとした水っぽい粘液に変わるので、精子は通り抜けることができます。
一方、卵巣ではいくつもの卵胞が育っており、そのなかで最も大きく育った卵胞の袋が破れて卵子が飛び出します。これが排卵です。
飛び出した、たったひとつの卵子を、卵管采のヒラヒラした部分がキャッチして(実はほとんど科学的に確認されておりません)卵管に送り込みます。そして、卵管の中で精子と卵子が出合い、受精卵ができるのです。
2. 着床して妊娠が成立
受精卵は、卵管上皮の繊毛の働きで子宮のほうに運ばれます。その間にも、細胞分裂を繰り返して胚盤胞に成長しています。
子宮に到着すると、ここで胚盤胞は透明帯という卵の殻から飛び出して、子宮内膜に潜り込みます。これを着床といって、この着床が成立した段階で「妊娠」となるのです。
3. 子宮で育つ胎児
妊娠に気づくのは、生理が遅れているなどで(前の月経開始からかぞえて)妊娠5週目頃が多くなっています。
このころの赤ちゃんは2ミリほどですが、心臓などの主たる臓器は既につくられはじめています。そして受精して2週間ぐらいで、女の子であれば卵子のもととなる細胞ができはじめていきます。
・8週目:頭や胴、手足がはっきりしてきます。赤ちゃんの大きさは3センチほど。
・11週目:子宮の中で動きはじめています。
・16~19週目:耳や鼻、口が形づくられ、髪や爪も生えてきます。
・24~27週目:外の光を感じるようになります。
・28~31週目:耳も発達して音が聞こえるようになります。
4. 出産
受精してから266日後、最後の生理がはじまってから280日頃が予定日となります。2週間くらいの前後は問題ありません。
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浅田レディースクリニック 理事長 浅田義正(あさだ・よしまさ)
日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果”を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。