月経とは?
月経とは、子宮内膜(子宮の内側の膜)が血液とともにはがれ落ち、体の外に排出されるのが月経で、生理という言い方もあります。
月経は思春期に始まり、月経があった日から次の月経が始まる前の日までを1回の月経周期とし、その日数は25~38日間であるのが一般的です。月経周期は、排卵を境に卵胞期と黄体期に分かれます。もう少し細かく分けることもでき、その場合は、卵胞を育てる卵胞期、卵巣から卵子が出ていく排卵期、子宮を妊娠しやすい環境に整える黄体期、妊娠しなかった場合、子宮内膜が血液とともに体外に排出される月経期の4つの時期に分けられ、月経期は卵胞期のはじめのころの5日間ほどと重なります。
どうして毎月痛い月経があるの?
実は我々の細胞は高酸素(※)に弱く、大きな卵胞である卵子には低酸素環境が重要です。ですから体外受精の現場では酸素5%、二酸化炭素6%、窒素89%の空気で卵子を培養しています。子宮は血管のかたまりですので、ほっておくと高酸素になります。それで毎月内膜を厚くして血管からの距離をとって低酸素環境を作っています。
子宮内膜は低酸素環境を作るための血管が少ない組織になりますので、長持ちしません。したがって、着床が成立しなければ毎月作りなおすことになります。月経は不快かもしれませんが、人類が獲得した命をつなぐ大切な進化の結果なのです。
※地球の大気は、酸素が約21%で、細胞にとって高酸素環境といえます。
基礎体温表を知っていますか?
みなさんのなかで基礎体温表というものをつけたことがある方もいるかもしれません。女性は、排卵を境にして卵巣から分泌される卵胞ホルモンよりも黄体ホルモンの分泌量が増えることから、卵胞期には低温期、黄体期には高温期になり二相性を描くといわれており、これは黄体ホルモンが体温を上昇させる働きがあるためです。
基礎体温表から排卵日を知り、バースコントロール(妊娠や出産の時期を調整すること)をするために用いられてきました。しかし、基礎体温表から排卵日を特定することはできません。できるのは、黄体ホルモンによる基礎体温の上昇があったか、ないかを知ることです。
一般的に排卵は、低温期よりもガクッと体温が下がった日とか、ガクッと下がってから高温期へ移行する間などといわれてますが、実際にはこれに限らず排卵は起こりますし、または起こらないかもしれません。もともと体温はちょっとしたことで変化しますので、限界があります。
より正確に排卵を判断するためには、超音波検査で卵胞の大きさをはかる、または血液検査などで排卵時に一過性に放出されるホルモンの値などが必要です。
あなたの月経周期は何日型ですか?
月経周期は、25~28日の間が正常範囲とされています。毎月28日とか、30日に決まって月経があることが正常で良いこととは考えず、25~38日の間に月経が訪れていればOKと考えましょう。
ホルモンの環境、体調、ストレスなどの影響で、月経周期には変動があります。例えば「毎周期30日でくるのがいいこと」と頭ごなしに考えるのはNG。しかし、自分の月経がおおよそ何日型なのかを知ることも必要です。
次の月経予定日がいつ頃になるのか、それを知ることで、特に月経困難症や月経前症候群(PMS)がある人などは、生活する上での注意や予防をすることができるようになるでしょう。
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浅田レディースクリニック 理事長 浅田義正(あさだ・よしまさ)
日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果“を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。
浅田レディースクリニックHP