月経に関する症状や異常
月経に関して起こる症状は、さまざまです。イライラする、怒りっぽくなる、すぐに泣いてしまう、便秘になる、下痢になる、おなかが痛い、頭が痛い、背中が痛い、腰が痛いなどがあります。しかしこれらには個人差があり、何ら症状のない人もいれば、決まって起きる症状を持つ人、その痛みも千差万別です。
基礎体温をつけている方は、痛みがあったときには、その痛みについても書き込んでみてください。「いつ、どこが、どんな風に痛かったか」何周期かにわたり、これを書き込むことによって、月経周期のいつ頃に起こっているのか、周期的に起こる痛みなのかがわかります。周期的に起こっているのであれば、月経に関係しているかもしれません。このことから「そろそろやってくるな」という時期がわかり、痛みや不快な症状の上手な対処方法もみつけられるでしょう。
【月経】具体的な症状・病名はどんなものがある?
ここからは具体的にどんな症状・病名があるのか解説します。
◆月経痛
月経痛は、器質性と機能性に大きくわけることができます。器質性は子宮などに異常があることが原因で起こるもの。機能性は、はっきりとした異常がないけれど痛みが起こるものです。
器質性月経痛… 子宮内膜症(子宮以外のところで内膜ができてしまう病気)、子宮筋腫(子宮にできる良性の腫瘍)、子宮腺筋症(子宮筋層に入り込んだ子宮内膜症)などがあって痛みが生じる場合。
機能性月経痛… 痛み刺激物質によるもの
日常生活に支障がでるほどの痛みがあれば、月経困難症と診断されるでしょう。
◆月経前症候群(PMS)
多くの女性に見られる症状で、月経のはじまる約1週間前から、不安、イライラ、憂鬱、乳房痛、便秘、のぼせ、むくみ、下腹部痛などの症状が現れ、月経開始とともにこれらの症状が改善する、または、なくなる場合をいいます。基本的に黄体ホルモンによる作用と考えられます。
市販の鎮痛剤で痛みを抑える方法もありますが、よりおすすめなのが低用量ピルです。低用量ピルには、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2つの女性ホルモンが含まれており、女性ホルモンの働きによって、黄体ホルモンの分泌をおさえ、生理時痛やPMSを緩和します。
◆月経不順
月経周期が安定せず、期間が長くなったり、短くなったりすることをいいます。月経周期が異常に短いものを頻発月経、逆に月経周期が異常に長くなるものを稀発月経といいます。
◆無月経
無月経には、原発性無月経と続発性無月経があります。原発性無月経とは、18歳を過ぎても初潮が一度もない場合。続発性無月経とは、それまであった月経が3ヶ月以上停止している状態。
過度なダイエットで一時的に生理が止まってしまうのは、ホルモンの司令塔である脳が生命の危険を感じ排卵をストップさせているから。そのまま放置すると、元の月経周期に戻りにくくなってしまいます。
◆過少月経、過多月経
月経血量が異常に少ない状態を過少月経、異常に多い状態を過多月経といいますが、量については明確な基準はありません。過多月経の場合、子宮筋腫や子宮腺筋症などが原因となっている場合があります。
◆おりものの量やにおいが気になる
おりものはホルモンの働きで変化します。おりものは普段はねっとりしていて、精子や雑菌の侵入を防いでいますが、排卵期になると水っぽくなり、精子が泳ぎやすい状態に変化します。膣内は乳酸菌がいて、酸性に保たれているので、おりものはすっぱいにおいが正常です。泡状の黄色いおりものや魚がくさったようなにおいがする場合などは性感染症の恐れもあるので、すぐに婦人科を受診してください。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
浅田レディースクリニック 理事長 浅田義正(あさだよしまさ)
日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果“を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。