【妊娠のしくみ】避妊しなければ妊娠する?
学生時代に避妊教育しか受けておらず、「避妊をしなければ妊娠する」と思っている方も少なくありません。しかし、30代後半以降になると避妊をしなくても妊娠しないほうが“自然”です。
詳しいデータがあるわけではないのですが、20代でも1回の性交で妊娠する確率は、タイミングが合ったとしても20%前後です。しかもこれはあくまでも一般論で、年齢が若ければ確実に妊娠するものでもありません。詳しくは次回以降のコラムでお話ししていきます。
今は40代で妊娠を目指すカップルも多くなったので、待っていてもなかなか妊娠しない人が増えてきました。出産に至ることができる卵子が排出される確率は、40代では年間に何回もないだろうと言われています。
月経がある限り閉経まで妊娠できる?
「月経があれば排卵がある。月経がある限りは妊娠をする」と思っている方もいることでしょう。一般的に、最後に妊娠できた年齢と最後に月経があった年齢を、統計をとってグラフにすると、なんと9年の差があります。ここから考えられることは「月経が終了する9年前から、ほとんど自然妊娠はできなくなる」ということです。
わかりやすく10年とすると、55才で閉経した女性であれば45才くらいで、50才で閉経した女性であれば40才くらいで、月経があっても自然妊娠できる能力は失われているということです。
月経とは、大きくなった卵胞が、一般的には卵胞ホルモン、黄体ホルモンを作って、それが子宮に作用して起こります。しかし、きちんと排卵がなくても卵巣はある程度ホルモンをつくり続けます。これが、排卵がなくても月経が起こる理由です。
閉経までの間はこういった状態がしばらく続き、約9年で完全に閉経するというわけです。ですから閉経を迎える約9年前には、すでに妊娠しにくい状態になっていると考えられます。
妊娠できる期間が限られているのは、女性のための大事な仕組みともいえます。体にとって妊娠が負担になる年齢には、妊娠しなくていいようになっているのです。
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浅田レディースクリニック 理事長 浅田義正(あさだ・よしまさ)
日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果”を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。