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そもそも「堪忍袋の緒が切れる」とはどういうこと?
漫画やアニメなどで「堪忍袋の緒が切れた!」なんて台詞を見聞きしたことのある人も多いのではないでしょうか。伝えたいことは何となくわかるけれど、意味や語源を知らないという人が多いこの言葉。そもそも、「堪忍袋」とはどういう意味なのでしょうか。
本記事では、「堪忍袋の緒が切れる」の意味や語源を深掘りしていきましょう! また、言い換え表現や、英語でのニュアンスの伝え方も紹介します。日本特有の面白い表現を、この機会に味わってみましょう。
「堪忍袋の緒が切れる」の意味
「堪忍袋の緒が切れる」とは、「我慢の限界に達して、こらえられなくなること」「こらえた怒りが爆発してしまうこと」という意味です。
ちなみに「堪忍袋」は、「かんにんぶくろ」と読みます。「堪忍」の意味は、「怒りをおさえること」「怒りをこらえて過ちを許容すること」「我慢するさま」です。
「堪忍袋の緒が切れる」は、我慢して我慢して我慢して、もうこれ以上耐えられない! と感情が爆発する際に用いられるため、ただの怒りよりも度合いが強いようすが感じられますね。
「堪忍袋の緒が切れる」の語源とは?
「堪忍袋の緒が切れる」ということわざは、我慢や許容を意味する「堪忍」の大きさを袋に例えたところから派生して生まれたようです。
「堪忍」に用いられている漢字に着目してみましょう。「堪える(こらえる)」と「忍ぶ(しのぶ)」が用いられています。どちらの動詞も、「苦しみを我慢する」「じっと耐える」というニュアンスがあり、その容量を袋に例えたのが「堪忍袋」です。
袋を縛った緒=紐が、袋の重さ=我慢の重さに耐えきれずに切れて中身が溢れてしまうようすから、「堪忍袋の緒が切れる」という表現が生まれたのかもしれませんね。
「堪忍袋の緒が切れる」の言い換え表現を紹介
「堪忍袋の緒が切れる」ということわざの意味や語源が分かったところで、続いては言い換え表現について見ていきましょう。
ちなみに、「堪忍袋の緒が切れる」は、「とうとう彼女の堪忍袋の緒が切れたようだ」「堪忍袋の緒が切れた彼は、もう手がつけられない状態だ」のように使います。
1:仏の顔も三度撫ずれば腹立つ
「堪忍袋の緒が切れる」のように、日本特有のユニークな表現が「仏の顔も三度撫(な)ずれば腹立つ」です。略して「仏の顔も三度」と言ったりもします。元来、仏さまは穏やかで慈悲深いとされています。しかし、どんなに優しい仏さまのような人でも繰り返し無礼を働かれたり、無法なことをされたりすると怒るものだということをうまく表現したことわざです。
「仏の顔も三度までだよ」と、相手をたしなめる際に使われることが多いでしょう。
2:業を煮やす
「業を煮やす」は、「ごうをにやす」と読みます。「思うようにいかずに苛立つさま」をさす言葉です。「堪忍袋の緒が切れる」は、すでに感情が爆発している状態ですが「業を煮やす」は、その前段階と言えるでしょう。
3:怒り心頭に発する
「怒り心頭に発する」は、「激しく怒ること」という意味です。ちなみに、文化庁が発表した「国語に関する世論調査」(平成24年度)を見ると、「怒り心頭に達する」と間違った使い方をする人が、本来の「怒り心頭に発する」を使う人よりも多いことが分かります。
正しいと思っていた表現が、実は誤用だったという場合も少なくありません。違和感を覚える表現があったら、使う前にまず調べてみるといいかもしれませんね。
4:兎も七日なぶれば噛み付く
「兎も七日なぶれば噛み付く」ということわざを知っていますか? 「仏の顔も三度撫ずれば腹立つ」は知っていても、こちらは聞いたことがないという人も多いのではないでしょうか。
ニュアンスとしては同じです。「おとなしい兎でも、長い間いじめられたり我慢させられたりすれば怒るものだ」ということを表現しています。
「堪忍袋の緒が切れる」を英語ではどう表現する?
英語でも、同じような意味合いが伝えられたら、コミュニケーションの幅が広がりそうですよね。そこで、いくつかの表現を紹介しましょう。
1:lose patience with(~に我慢できなくなる)
英語では、「堪忍袋」に相当する英単語が見つかりませんでした。英語では「patience」を一般的には用いるようです。「我慢」「忍耐」「根気」という意味になります。
「lose patience with」という表現で「~に我慢できなくなる」「~にしびれを切らす」などを表すことができるようです。
2:have no patience with(~に我慢がならない)
「lose patience with」と似た表現で、「have no patience with」という表現もあります。例えば、「I have no patience with your rudeness」で「あなたの無礼には我慢がなりません」という意味になりますよ。
3:can’t put up with(もう我慢できない)
「can’t put up with」には、「一定の期間我慢してきたけれど、もう無理!」というニュアンスがあります。「put up with」は、「不平不満を言わずに耐え忍ぶ」という意味なので、「can’t」をつけて、我慢の限界であることを表現できます。
最後に
本記事では、「堪忍袋の緒が切れる」の意味や語源、言い換え表現、英語表現などを紹介しました。「耐えて耐えて、もう限界!」という感情の機微が伝わる表現だと言えるでしょう。また、英語表現では大まかな意味は通じても、ニュアンスに細かな違いもあるようです。気になった方は、ぜひ一度調べてみてください!
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