歯周病になるとどうなる?
歯周病というとどんなイメージをしますか? お年寄りの病気のイメージでしょうか?
現在、歯周病に見られる特徴的な歯茎の状態にある人の割合は、20~34歳で約6割、35~59歳では約7割なんです(厚生労働省|平成28年歯科疾患実態調査)。
実際に私の勤めるクリニックに、30代の方でひどい歯周病に悩み来院される方も少なくありません。
今回は歯周病になったらどうなるのか進行程度に沿って解説していきます。
1. 歯周病の初期段階は“歯肉炎”
歯周病は、“歯肉炎”と“歯周炎”のステータスに分けられます。歯肉炎とは炎症が歯茎にのみに影響している状態で、歯周炎は歯茎にとどまらず歯の周囲全体に影響をおよぼしている状態です。
歯肉炎は歯茎の赤みと腫れがあり、この状態を気づかずに放置していると、次の段階である歯周炎へと進行していきます。
2. 軽度の歯周病は気が付かない→歯周病が進行しやすい
歯周病が軽度の状態では、歯茎の腫れぼったさ、むず痒い感じ、歯が浮いた感じなどちょっとした違和感を感じることがあります。この症状が出ていても我慢をしてしまう、歯医者さんに行くほどの症状ではないなと自身で判断してしまうことが多い状態です。来院するころには手遅れというケースもしばしば…。
しかし、この段階(歯肉炎、軽度の歯周炎)では、適切なケアを歯科医院とセルフでおこなうことで改善がしやすいとも言われています。
3. そろそろやばい中等度の歯周病
歯周病が中等度になると、歯周病により歯の周りの骨が溶けはじめているため、歯茎も骨のラインまで下がってしまっています。結果、歯の根元が見えてきて、歯が伸びたように感じます。
また、軽度の時より歯の違和感は強くなり、歯が動き始めます。歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなったり、サ行の音が何となく発音しにくくなることもあります。
気づきやすい症状だと、口の中のネバツキや口臭があらわれるように。
歯周病の怖いところは、中等度くらいの症状も気にしなければ歯医者さんに行かなくても日常生活を送れてしまうところにあります。痛くて痛くて我慢ならない状況にならないと歯医者さんには行かないという方は特に注意です。
4.【末期】重度の歯周病
中等度の時に感じていた、歯茎の下がり・口臭・歯の動きなどがより一層強まります。歯は不安定なため本来の位置から移動し、噛み合わせが変わったり、歯並びが悪くなったりして、物が噛みにくい症状、発音がしづらい症状に。
歯並びの変化によって歯の噛み合うバランスが悪くなり、噛み合わせの強くなった部分では歯の破折や外傷が生じる可能性もあり、最終的に動いた歯は自然に抜け落ちてしまいます。
気づいた時にはもう遅い歯周病
ここまで読んでみて、それではいつどうやって気づけばいいの? と思われたのではないでしょうか。
骨がどれくらい溶けたのか、歯茎は炎症しているのかは、やはり歯科医院が確実です。お近くの歯科医院で構いませんので、状態を診てもらいましょう。
もし歯周病がはじまっていたら、進行予防も可能です。これも専門家にアドバイスを貰い、定期的なケアを受けましょう。
歯は一生ものです。美味しくご飯が食べられるのも、健康な歯があってこそ。ぜひ歯科医院へ行ってみてください。
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Oggi.jp's 野尻真里
日本審美歯科学会所属の歯科医師。朝日大学を現役卒業後「うずら歯科」に勤務。写真集『美人女医図鑑』を発売中。華道脇教授の資格を持つなど充実した趣味と、美容やファッションにもこだわっているインスタグラム@nojirimari も要チェック!