歯を抜けたままにすると椅子取り争奪戦が起こる
歯が抜けると、口の中に歯1つ分の大きな隙間ができます。この隙間はずっと開いたままになっているのかというと、そうではありません。
隣の歯や噛み合うはずだった歯が、動いたり傾いたり、伸びたりして、その隙間を埋めようとします。
小さい椅子に座るよりも、大きな椅子にゆったりと座りたいのと同じで歯も広くてゆとりのある方向に移動します。
また、歯だけではなく舌がその隙間を埋めることもあります。
どんな悪い影響がある?
隙間をそのままにしていると隣の歯が動き、歯並びに影響が出たり、歯と歯の間に隙間ができて物詰まりを起こしたりすることがあります。
隣の歯が傾いた状態や、噛み合うはずの歯が伸びている状態では、その後治療をしたいと思った時に困難に。
では、隙間ができたら、どんな治療をしたら良いでしょうか。
歯がなくなったら、どんな治療をおこなう?
なくなった歯の治療は、該当箇所により方法が異なります。また、保険か自費かの選択でも治療は変わってきます。
◆なくなった歯の両隣に歯がある場合
1. ブリッジ
ブリッジでは、なくなった部分の両側の歯を削り、連結した被せ物をいれることで隙間をなくします。歯3つ分の被せ物をするということです。
ブリッジのメリットは以下。
・外科的な治療がいらない
・取り外しがなく、違和感がない
ブリッジは保険適用と自費があり、自費を選択するとより自然な見た目を得られます。
ブリッジのデメリットは以下。
・両隣の健康な歯を削らなければいけない
・両隣の歯が支えとなるため負担がかかる
・歯がない部分の骨が痩せやすい
・歯茎とブリッジの間に食べ物が入り込むためこまめな掃除が必要
一番の短所は、悪くない歯を削らなければならない点。歯は削ることでどうしてもダメージを受けてしまいます。
2. 入れ歯
2022年8月現在、金属を使わない入れ歯は自費治療です。ブリッジと同様に自然な見た目になる場合があります。
保険適用を選択すると、金属の金具が見えてしまい、さらに違和感を感じることも。
入れ歯のメリットは以下です。
・健全な歯を削らなくても付けられる
・数本なくても応用できる
・取り外しが出来るためお手入れが簡単
デメリットは以下。
・金属の金具を引っかける歯に負担がかかってしまう
・健康な歯のときと比べて、思いっきり噛めなくなる場合が多い
・適合するまで、または顎が痩せてくるたびに調整が必要
・慣れるまで違和感がある
・入れ歯の箇所によっては慣れるまで発音しにくい場合がある
3. インプラント
インプラントはご存知の通り、人工の歯を埋めること。私が担当した患者さんの中でも手術しなければいけない、高額な費用がかかる、などで悩まれる方が多いです。
メリットは以下。
・骨にネジを埋め込むため、安定感があり違和感が少ない
・元の歯と同じように噛むことができる
・見た目が自然
デメリットは以下です。
・治療が完了するまでに期間が長くかかる
・値段が高価
・歯周病になりやすいので、定期的にメインテナンスに通える人にしかおこなえない
・全身疾患、骨や歯茎の状態によってはおこなえないことがある
自分に合った治療を選択するには?
どの治療が自分には合うのか選択をするためには、歯科医院で相談をすることが一番です。
歯がなくなった場所や本数、などと合わせて、歯を治す上で自身が譲れないこと、全身や口の状態などすべてを含めて歯医者さんと考えた上で一番良い治療法を見つけてください。
歯が無くなってから長く放置するのは、あまりにもリスクが高いと考えます。まずは早め歯医者さんに行きましょう。
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Oggi.jp's 野尻真里
日本審美歯科学会所属の歯科医師。朝日大学を現役卒業後「うずら歯科」に勤務。写真集『美人女医図鑑』を発売中。華道脇教授の資格を持つなど充実した趣味と、美容やファッションにもこだわっているインスタグラム@nojirimari も要チェック!