【女性の健康のハナシ】その情報はホントに正しい?
「○○は健康にいい」という情報は、商品の売り上げに大きく貢献します。巷では、ありとあらゆる健康に関する話であふれていますが、けっこう間違っているものも少なくありません。
◆科学的根拠=エビデンスには強さのレベルがある
健康に関する話は、ひとりの医師が「コレはいいですよ~!」とおすすめしているエビデンスより、複数の研究結果をとりまとめた研究手法であるメタアナリシスから導き出されるエビデンスのほうが、科学的根拠が強いといえます。実はこのエビデンスのレベルってとても大事。
とはいえ、私たち一般の人が、元になっている研究の質やエビデンスの強さを見極めるのはなかなか難しいところ。そこで今回はエビデンスの確かさに徹底的にこだわり、第三者である同分野の研究者によって厳しく検証された論文だけを取り上げながら、正しい健康習慣が紹介されている書籍『HEALTH RULES(ヘルス・ルールズ) 病気のリスクを劇的に下げる健康習慣』から特に女性に知ってほしい情報を紹介します。
お酒は、本当に百薬の長なのか? 女性の場合は…
クリスマスやお正月といった楽しいイベントが盛りだくさんの年末年始。お酒を飲む機会が増えて、気分も楽しくなる季節ですよね。健康診断の結果が気になりつつも、ついつい飲みすぎてしまった時は、「酒は百薬の長」なんて言葉を魔法の呪文みたいに唱えながら、やり過ごしている人も多いのではないでしょうか?
「適量のお酒は、どんな良薬にも勝る」という意味で使われるこの言葉、実際のエビデンスはどうなっているのでしょうか? ヘルス・ルールズのなかでは次のように紹介されています。
◆アルコール換算週100gまでなら脳梗塞や心筋梗塞を減らすかも?!
2018年に医学雑誌『ランセット』に掲載された論文によると、アルコール換算週100gまでなら脳梗塞や心筋梗塞による死亡リスクは上がらないと報告されているそう。また複数の研究では、むしろ少量のお酒を飲んだ人の方がリスクが低いという結果も出ている。
ただここで注意が必要なのが、アルコールに脳梗塞や心筋梗塞のリスクを下げるという因果関係があるのか、アルコールを少量飲む人が脳梗塞や心筋梗塞のリスクが低いだけという相関関係なのか、はっきりしていないということ。
しかしながら、少量だったら脳梗塞や心筋梗塞による死亡リスクは上がらないし、研究結果によってはむしろ有益とも考えられているそうなので、「酒は百薬の長」もあながちウソというわけではないかもしれません。ほかの病気に関してはどうなのでしょう。
◆少量でもお酒を飲めば、女性は乳がんリスクが上がる
女性の場合、なんと乳がんや結核のリスクが、少量のお酒を飲んだだけでも上昇するそう。男性の場合は、乳がんの代わりに口腔がんのリスクが上昇。そして病気ではありませんが、アルコールを飲んだことによって起きる交通事故や外傷のリスクも加わると、心筋梗塞などのリスクが低まるかもしれない可能性を打ち消してしまって結果的に、“病気のリスクは変わらない”という評価に。
本のなかで津川先生は「自分のリスクを総合的に判断して決めるべき」とも書かれています。つまり、遺伝的にがんのリスクが低いのならば、1日1~2杯の少量のお酒を嗜むように飲むことは問題ないし、逆にがん家系の人はリスクを最低限に抑えたほうがいいということ。自分の体質に合わせて、リスク管理ができるとよさそうですね。
『HEALTH RULES(ヘルス・ルールズ) 病気のリスクを劇的に下げる健康習慣』発売中
今回ご紹介した書籍『HEALTH RULES(ヘルス・ルールズ) 病気のリスクを劇的に下げる健康習慣』では、病気になってしまうその前に知っておきたい、今日から実行できる「最強」の健康習慣がたくさん紹介されています。
しかも医師で世界的な研究者である津川先生が、質の高い論文を選び抜き、専門用語や難しい表現は使わずに、一般の人でもわかりやすく解説してくれているのが特徴で、食に関すること以外にも、睡眠やダイエット、新型コロナやワクチンのことまで、カテゴリー別に網羅されているので、困ったことがあった時に確かな科学的根拠(エビデンス)に基づいた正確な情報を手にすることができます。
この本が家にあれば、家族みんなで健康意識を高めるきっかけにもなりそうです。
朝岡真梨
世界50か国200都市を超える海外旅行の経験をもとに、各地のグルメや観光スポットの魅力を紹介している。最新のIT機器に関する取材も多く、女性目線からの分析が得意。キャラクターや英語にも明るく、コピーライティングの分野では他業種に関わっている。旅行先ですったもんだした体験や主婦業をラクして乗り切るヒントを綴っている「遊んでばかりのスナフキン」が人気。Instagram:@yans_publisher Twitter:@Yans_Publisher