お酒ばかり飲んでいると太る、これが通説ですが、一方で「アルコールはエンプティカロリーだから太らない」という説も。エンプティカロリーとは一体どういうことなのでしょうか?
エンプティカロリーとは
なぜアルコールは「エンプティカロリー」と呼ばれているのでしょうか? ダイエット専門院・渋谷DSクリニックの院長、林博之先生に聞きました。(ご自身も大のお酒好きだそう!)
アルコールが「エンプティカロリー」とされる理由は、以下のような特徴があるとされているからだそうです。
1. 摂取しても、すぐに熱として放出される
2. ビタミンやタンパク質など、体に必要な成分を含まない
という訳で、「中身のない(=エンプティ)カロリー」と呼ばれているそう。
「エンプティカロリー派の学説によると、お酒を飲んで太る原因は、ついつい手が出るおつまみにある、とのことです」(林先生)
飲み会が続くと、確かに体重が増えてしまう実感がありますが… でも本当にお酒は太らない、と言えるのでしょうか?
実際はどうなの?
「アルコール自体、1gあたり7.1kcalのエネルギーを持ちますが、摂取時の利用率は約70%(約5kcal)と言われ、その代謝過程で他の栄養素を産生することはなく、同一カロリーの糖質、脂質と比較して体重増加はありません」(林先生)
おお! やはりお酒だけでは太らない、ということでしょうか?
「だからと言って、たくさん飲んでいいという訳ではありません。厚生労働省が示す“1日の節度ある飲酒の適量”は純アルコール20g程度ですので、日本酒なら1合弱、ビールなら中瓶1本程度です。大量飲酒となれば、耐糖能異常の悪化・高血圧・中性脂肪の上昇をきたし、メタボリックシンドロームの増悪要因となります」(林先生)
◆お酒を飲みすぎるとなぜ太る?
うーん、やはり飲みすぎはNGなんですね…。では、お酒を飲むと太るのは何故なんでしょうか?
「すべてのアルコールがすぐに代謝される訳ではなく、アルコールにもカロリーがあり、余剰な分は内臓脂肪として蓄積されます。また、アルコールを摂取すると、胃液の分泌量が増え食欲が増えます。さらに、肝臓がアルコールの分解に追われるので、脳がいつまでも低血糖だと勘違いし、食欲が増進するのです。特にビールには、これに加えてさらに食欲増進の作用があります。
日本酒2合では、0.3mg程のビタミンB2と1.4g程のタンパク質を含んでいますので、すべてのアルコールが、エンプティ―カロリーとも言えません。」(林先生)
やはりお酒のカロリーも無視できませんね。そして飲んでいるといつもより食べ過ぎてしまったり、シメに糖質を欲してしまうのはそんな理由があったのですね…。
◆酒は飲んでも飲まれるな
「ワインで言うと、“フレンチ・パラドックス”があり、赤ワインの抗酸化作用が以前注目されました。適度な量のアルコール摂取は死亡率を下げるとも言いますが、アルコールを“百薬の長”にするためには大量飲酒をしないように気をつけるということですね。
“酒は飲んでも飲まれるな”これに尽きます。私もお酒を楽しみたいから、朝昼のカロリーや糖質摂取には日々気をつかっていますが、ダイエットしている方にとって、飲酒量が増えるこの時期は特に注意しなくてはなりませんよ。」(林先生)
お酒=エンプティカロリーとは思わずに、やはり飲み過ぎはダイエットにも体にも良くない! と、肝に銘じておきましょう。
■取材協力:ダイエット専門クリニック 渋谷DSクリニック 渋谷院院長・林博之先生