「死ぬまで元気でいたければ、とにかく内臓をあたためなさい」
「内臓温度が上がれば、内臓のパフォーマンスは上がります」というのは、理学博士・鍼灸師・全国冷え性研究所所長・柔道整復師の肩書きをもつ山口勝利さん。山口さんは多くの患者さんを施術していくなかで、体の冷えがあらゆる不調の原因になっていることに気づき「全国冷え性研究所」を1998年に開設。いまでは全国に400の分室があるそう。
山口さんが内臓を温めるほうがいいという人は以下の通り。
✔︎家族が、がん、じん臓病、脳卒中など重大な疾患にかかったことがあり、将来不安な人
✔︎原因不明の体調不良に悩んでいる人
✔︎肩こりや腰痛、ひざ痛、頭痛などに苦しんでいる人
✔︎なかなかやせられない人
✔︎ぐっすり眠れていない人
✔︎最近、胃もたれしやすく、食欲がないという人
✔︎最近すぐに疲れるという人
✔︎体の冷えに悩んでいる人
✔︎下痢や便秘に悩んでいる人
これらに当てはまる人は、まず自分でセルフチェックをしてみましょう。
内臓が冷えているかどうか… 冷えチェックをしてみよう
◆手をあてて確かめる方法
おへそを挟んで、お腹に右手と左手をあてて、上にあてたてよりも下にあてた手が温かかった場合は内臓が冷えている可能性が高い。
◆以下の中で3つ以上あてはまった人は内臓の冷えに要注意
1.顔のシミやくすみが気になる
2.皮膚にかさつきがある
3.唇がひびわれやすい
4.足のむくみに悩まされている
5.よく胃が痛くなる
6.最近イライラすることが多くなった
7.ストレスを感じやすい
8.体がだるく疲れやすい
9.肩こりや腰痛がひどい
10.眠れない日や寝つきが悪い日が多い
11.便秘が続いている
12.手足がほてっている
13.姿勢が悪いといわれる
14.腹筋運動が1回もできない
15.コーヒーやビールをよく飲む
セルフチェックの結果はいかがでしたか? ではここで山口さんによる内臓温度に関する解説を紹介します。
「内臓温度とは言葉の通り、内臓の温度のことです。これは一般的な体温計などで測ってでる数値とは異なります。体温計で測れるのは、体表面温度と呼ばれている体の外側の温度で、体の奥にある内臓の温度とは異なります。
健康な人であれば、体表面温度より内臓温度が1〜2°C高く、37.2°Cから38°Cぐらいが理想だと考えています。しかしその温度よりも下がってしまうと、内臓は寒さで動きが鈍くなってしまいます。。北風が吹き荒れる寒空のしたで仕事や家事をすると、寒さに体が縮こまり、暖房のきいた快適な部屋よりもパフォーマンスが落ちるのではないでしょうか。内臓も一緒で、冷えてしまうと、寒さにブルブル震えた状態になり、いつものはたらきができなくなるのです。
栄養を取り込んでエネルギーに変える
など、内臓は人間が快適に生活するために必要なエンジンのような存在です。その動きが鈍くなることで、本来、人間に備わっている健康を保とうとするあらゆる体の機能がうまくはたらかなくなります。
内臓温度が低いまま、ウォーキングやマッサージなど、健康にいいことに取り組むことは、エンジンに不調があってうまく走らない車を、無理やりなんとか動かそうとしているのと同じです。
まずは体のエンジンである内臓を温めて元気にすることです。それから様々な健康法を試すと、今まで以上に効果が実感できるのではないかと思います。内臓温度が上がれば、内臓のパフォーマンスは上がります。
つまり体を健康に保とうと、内臓を含めあらゆる器官がフル活動してくれるので、病気のリスクも遠ざかり、痛みや疲れ、倦怠感なども解消されます。だからこそ、健康になりたければ、まずは内臓の温度をあげることが重要です」
次回は内臓の温め方について山口さんに伺います。お楽しみに!
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山口勝利(やまぐち・かつとし)
理学博士、柔道整復師、鍼灸師、全国冷え症研究所所長。
1962年生まれ。神奈川県横須賀市出身。30歳のときに墨田区で鍼灸の治療院を構える。
多くの患者さんを施術していく中で、体の冷えがあらゆる不調の原因となっていることに気づき、
「全国冷え症研究所」を1998年に開所。今では、全国に400の分室を持つ。
ICUにある深部体温計を導入するなど、「内臓の冷え」にも早くから着目し、その研究・治療に日夜はげんでいる。
また「冷え」の怖さ、対処法を広めるべく、TVや雑誌などにも多数出演。
「冷え症」治療の第一人者として注目されている。
井上宏一(いのうえ・こういち)
日本内科学会認定内科医。日本抗加齢医学会専門医、南砂町おだやかクリニック院長。
1971年生まれ。兵庫県神戸市出身。
2000年3月順天堂大学医学部卒業後は、一つの臓器だけを専門にするのではなく、
人間の体全体を診ることができる医師を目標に、小児科医、内科医として、
さまざまな病院で研さんをつむ。
現在、南砂町おだやかクリニック院長を務め「『健康=幸せ』の実現をサポートする医療」を掲げ、
西洋医学にとらわれず、代替医療も取り入れた総合医療を目指している。