【目次】
・【風邪 酒】酒粕は飲んでもいいってホント?
・【風邪 酒】を飲むと酔いやすいってホント?
【風邪 酒】酒粕は飲んでもいいってホント?
なぜ風邪を引いた時のお酒はNGなのか
実は、少量のお酒であれば風邪をひいたときに飲んでも大きな悪影響が生じることはまずありません。むしろ、スムーズに眠ることができるのでよいとの意見も聞かれます。
「少量のお酒」とは、純アルコール換算で1日当たり10g程度
つまりビール中瓶1本や日本酒1合程度を指しています。(ただし、胃痛や下痢などがある時はお酒を飲むと余計に症状が悪化することがありますので、少量であってもお酒は控えましょう)
それ以上の飲酒をすると、睡眠の質が低下してゆっくり身体を休めることができなくなり、アルコールの脱水作用によって水分が失われること、アルコールの刺激で喉の粘膜にダメージが加わることなどが考えられます。また、薬を服用中の人はアルコールの作用で薬の効果が弱まってしまうことも少なくありません。
このため、風邪をひいている時はできるだけお酒は控えるようにした方が良いのです。
一方、同じ「お酒」といっても身体によいとうイメージが強い「酒粕」はどうなのでしょうか?
酒粕を溶かした甘酒はコップ1杯ならばOK
酒粕は、お湯などに溶かして甘酒として飲用されています。身体をポカポカと温める効果があり、風邪の回復をサポートするビタミン類やミネラルを豊富に含んでいるため風邪の時に効果的と思われがちです。
しかし、それであってもはやり酒粕には微量のアルコールが含まれています。コップ1杯など適量であれば飲んでもかまいませんが、多量に飲むのは控えましょう。なお、同じ甘酒でも米麹で作られたものはアルコールを含みませんので、甘酒が飲みたくなったときは米麹のものがおすすめです。
【風邪 酒】を飲むと酔いやすいってホント?
風邪のときにお酒を飲むと、普段より酔いやすいという話を聞いたことがある人も多いでしょう。お酒の強さは個人差が大きいものですが、風邪などで体調が悪い時は悪酔いしやすい傾向にあるのは事実です。
それは、体内に取り入れられたアルコールが体外へ排出されるまでの過程に関係します。お酒を飲んでアルコールが血液中に吸収されると、血中のアルコールは肝臓まで流れ着いて少しずつ分解が開始されます。
肝臓でのアルコール分解には多くのエネルギーが必要です。しかし、風邪で体調が悪いと肝臓がフルパワーで働いていないことも多く、アルコールが残りやすくなってしまうのです。
また、風邪をひいている時は発熱などの影響で体から水分が失われやすくなっています。その状態でお酒を飲むと、血中のアルコール濃度が高くなりやすいため、あっという間に良いが回ってしまうということも少なくないのです。
さらに、風邪薬には肝臓で代謝されるものが多く、薬を服用中にお酒を飲むと肝臓に過度な負担がかかってしまう恐れもあります。薬を飲んでいる場合も飲酒は控えた方がよいでしょう。
成田亜希子先生
一般内科医。プライベートでは二児の母。
保健所勤務経験もあり、医療行政や母子保健、感染症に詳しい。
国立医療科学院などでの研修も積む。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会所属。