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玄米は「完全栄養食」、その理由は!?
「玄米は、完全栄養食」、こんな言葉を耳にしたことはありませんか?
玄米には、さまざまな栄養が豊富に含まれること。そして、その栄養には、人間が健康を保つために必要とされるものの“ほとんど”が含まれていること…、などの理由から、玄米は完全栄養食と言われているのです。
※玄米に含まれない栄養もあるので、食事はバランスよく! が鉄則です。
また、ここ数年における健康への意識の高まりから、欧米化した食生活を和食中心に変えたり、外食時にはよりヘルシーなものを選ぶようにしたりしている方も増えてきています。
そこで、さらなる注目を集めているのが“玄米”。…なのですが、白米と比べると、食べにくさを感じるという一面も。
今回は、完全栄養食・玄米の魅力から、美味しく食べるためのコツについてお話していきたいと思います。
そもそも、玄米とは?
玄米とは、稲の実からもみ殻だけを取り除いた“精米されていないお米”のこと。
お米は、精製する過程で、ぬかと胚芽が取り除かれるのですが、そこには栄養がギュッと詰まっています。そのため、ぬかや胚芽がそのまま残った玄米は、白米と比べると栄養価が高いのです。
では、気になるエネルギー(kcal)はどうでしょう。両者を比較してみても、大きな差はありません。が、しかし、玄米に含まれるビタミンやミネラル、食物繊維などといった栄養素の含有量は、白米の数倍~数10倍にも及びます。白米を玄米に変えると、より多くの栄養を手軽に取り入れることができるようになるといっても過言ではありません。
次に、玄米を食べることで、どのような効果に期待できるのかを具体的に見ていきましょう。
玄米を食べることで期待できる効果
豊富な栄養を含む玄米。食べることで期待できる効果には、次のようなものが挙げられます。
☑ 疲労回復
玄米の代表的な栄養といったら、ビタミンB群。なかでも、糖質の代謝に関わるビタミンB1を豊富に含んでいます。ビタミンB1は、不足すると、糖質をエネルギーに変換しにくくなるため、日頃から意識的に取るようにしたい栄養素のひとつです。
特に、糖質を多く取る方や、体をよく動かす方は、エネルギーの産生が盛んなので、ビタミンB1が不足すると疲労の原因になることもあるでしょう。そのほか、ストレスからくる目の充血や肌荒れ、口内炎の症状を抑えるビタミンB2。倦怠感があるときに取りたいビタミンB6など、ビタミンB群の働きによって、疲れ・ストレスによる不調にアプローチすることができるでしょう。
☑ 血行をよくする
種実類や魚介類、油脂類に多く含まれるビタミンE。玄米にもまた、豊富に含まれています。おもな働きは、血行促進作用。皮膚の新陳代謝を高めて、メラニンの排出を促す効果に期待されています。それだけでなく、強い抗酸化作用を持ち、老化や生活習慣病の原因となる活性酸素を除去する働きも知られています。
☑ 美肌効果
先にお伝えしたビタミンB2は、糖質だけでなく、特に脂質の代謝を助ける働きを持つ栄養素。皮膚や粘膜、髪などの細胞の新生に役立つため、肌荒れが気になるときに積極的に取りたい栄養素です。
ほかにも、ビタミンEの血行促進作用によって全身に血液が供給されると、細胞の新陳代謝が活発になって、肌の張り・ツヤにも嬉しい効果が期待できるでしょう。
☑ 便秘予防
玄米は、食物繊維が豊富です。それも、保水性が高く、腸のぜん動運動を活発にする“不溶性食物繊維”が多く含まれるため、便通を促して、お腹スッキリ。ひいては、ダイエット効果にも期待できるでしょう。
☑ 満腹を感じやすくなる
白米と比べると、「芯が残ったご飯のような食感」「硬くてボソボソした食感」がある玄米。それゆえ、白米を食べるときよりも、“よく噛む”必要があります。その結果、満腹中枢が刺激されて、食べたことによる満足感を得やすくなるでしょう。
このように、玄米を食べることでのメリットはたくさんあるのですが、なかには、「玄米を食べるとお腹が張る」といったデメリットを感じている方も。それは、一体なぜなのでしょうか。
玄米でお腹が張るのはどうして?
「玄米を食べるとお腹が張る・ゴロゴロする」「ガスが溜まってしまう」という方もいるでしょう。
実は、その原因… 玄米の食物繊維の豊富さと関係が! というのも、玄米に含まれる不溶性食物繊維は、保水性が高く、腸内で膨らみます。結果として、お腹の張りを感じやすくなる方もいるのです。さらに、食物繊維が腸内細菌によって分解されると、二酸化炭素やメタンといったガスが発生します。それが、おならが出やすくなる原因のひとつになることも考えられるでしょう。
ですが、これらの症状は、比較的玄米を食べ始めてすぐの頃に出やすく、継続して食べていくことで軽減されるケースが多いようです。まずは、全てのご飯を玄米に変えるのではなく、白米と玄米を食べ分けて、体の様子を見ながら少しずつ慣らすようにするといいでしょう。
玄米のほかにも、食物繊維を多く含むごぼうやさつまいも、穀物などをよく食べる方は、少し量を減らしてみるといいかもしれません。
それと、玄米は白米よりもやや硬めなので、噛む回数が少ないことや、炊飯するときの吸水が十分でないことなどで、消化不良を引き起こしていることも考えられます。
浸水は17時間以上! 玄米の炊き方、おさらい
最後に、玄米を美味しく、そしてお腹に優しく食べるためのポイントをおさらいしていきましょう。
<炊飯器で炊く場合のレシピ>
【1】軽く洗った後に、もみ洗い
玄米は、水の中を流すような感覚で軽く洗い、その後に両手でこすってもみ洗いをします。ゴミが浮いてきたら、すくい取りましょう。
【2】水加減は、玄米の容積に対して1.5倍!
玄米を1合炊く場合、1/3カップの水を追加します。
【3】浸水時間は、たっぷり17時間
種皮に覆われた玄米は、水を含むまでに時間がかかります。また、酵素の働きを抑制する物質も残りやすいので、浸水時間は長めに取りましょう(その間、冷蔵庫で保存しておくと安心です)。炊飯前に、水を入れ替えます。
【4】塩をひとつまみ加えて、「玄米モード」で炊飯
「玄米モード」がない場合は、「白米モード」でOK。「白米モード」で炊く場合は、浸水時間を24時間以上、蒸らし時間を30分以上取ると◎。
※ お使いの炊飯器によって炊きあがりが変わってくるので、時間は微調整してください。
玄米は、栄養が豊富ですが、美味しく、お腹に優しく食べるためにはひと工夫必要になります。これまで、玄米に対して苦手意識があった方も、上記のポイントを参考に再チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
TOP画像/(c)Adobe Stock
ヨガインストラクター/発酵食品ソムリエ 高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀スーパーフードマイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®といった資格のもと、執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。
Instagram:@saori_takagi