「当社比」とは?
「当社比で、塩分50%オフ」「野菜20%増量 ※当社比」などといったキャッチコピーを目にしたことはありませんか? 商品のパッケージなどでよく見かける「当社比」という言葉。なんとなく意味はわかるものの、具体的には何をあらわすのかわからない… という方も多いでしょう。今回は、「当社比」の読み方から意味、注意点などを解説していきます。
意味や読み方
「当社比」とは、「とうしゃひ」と読みます。「当社比」の「当社」とは、「自分の会社」という意味。「比」とは「比率」や「比較」をあらわす漢字です。つまり、「当社比」とは、「自社の他商品と比べて」という意味。主に、新商品の性能などを従来の商品と比べた際、その差や比率をあらわすときに使われます。
例えば、「ポリフェノールの含有量、当社比20%アップ」という表記であれば、「その商品が従来の商品に比べて、ポリフェノールの含有量が20%アップした」ということをあらわすのです。
なお、「当社比」は、商品の性能や性質が上がったことをアピールする目的で使われます。また、他社の商品との比較広告は厳しいルールが設定されているため、「当社比」を使わざるをえないというケースもあるようです。
注意点
「当社比2倍」「当社比30%アップ」など、具体的な数字であらわされたものは、一見するとわかりやすいように思えます。しかし、「当社比」は、あくまで自社の中で比べたときの差異。そのため、「洗浄力が2倍」などと書かれていても、安易に「洗浄力が高い商品だ」と考えてしまうのはNG。
なぜなら、基準となる従来の商品の洗浄力が、他社や平均と比べて低い場合があるからです。そのため、「洗浄力が2倍」でも、実は平均より低かった… ということも。「当社比」という言葉を見かけたときには、その言葉に踊らされないよう注意が必要でしょう。
「当社比」の使い方を例文でチェック!
「当社比」は主に、商品の宣伝文句として使われることが多いです。しかし現在では、ネットでも使われるようになっています。それぞれの使い方を例文で見ていきましょう。
1:「ビタミンC浸透率が当社比2倍になりました」とお店の人に言われて、つい商品を買ってしまった。
みなさんも、一度は「浸透率2倍」「保湿力20%アップ」などといったキャッチコピーにつられて、その商品を買ってしまったことはないでしょうか? 「当社比」は、化粧品や健康食品などでもよく使われる表現です。この例文では、「従来の商品と比べて、ビタミンCの浸透率が2倍に上がった」ということをあらわしています。
2:「カロリー30%オフ ※当社比」という言葉につられそうになったが、その横にあった商品の方がカロリーが低かった。
すでに説明しましたが、「当社比」は、従来の自社商品と比較したときの数値や差異のことです。そのため、例文のように「カロリー30%オフ」と書かれていても、他社製品の方がカロリーが低かった… なんてことも。「当社比」という言葉を見かけたときには、自分で他社商品や平均値と比べてみると、それが本当に高い数値なのかを知れるかもしれません。
3:今日はデートなので、メイクを丁寧に仕上げた(当社比)。
「当社比」をTwitter(ツイッター)など、ネットで使われているのを見たことがありませんか? この場合、「自分の会社で比較して」ではなく、「個人の中で比較して」「個人的には」という意味になります。「いつもよりメイクを濃いめにした」「いつもより早起きした」を、「メイクを濃いめにした(当社比)」「当社比早起きした」などと言い換えられるのです。
類語や言い換え表現とは?
「当社比」の類語には、「当社調べ」「当社基準」「伸び率」などがあります。それぞれ言葉の意味が若干異なりますので、一つひとつチェックしましょう。
1:当社調べ
「当社比」の類語として、もっともよく使われるのが「当社調べ(とうしゃしらべ)」です。「当社調べ」とは、「自分の会社で独自に調べること」。なんらかのデータを出したいときに、独自の方法で自分たちで調査することをあらわします。「当社」を「自社」に置き換えて、「自社調べ」としても同じ意味で使えます。
例文:メイク仕立てのような美しさが24時間(自社調べ)持続します。
2:当社基準
「当社基準」とは「とうしゃきじゅん」と読みます。その漢字があらわす通り、「当社における基準」という意味です。例えば、「最高濃度のビタミンC(当社比)」も「最高濃度のビタミンC(当社基準)」も、「自社の中では、最高濃度である」ということをあらわしています。
例文:当社基準で、保湿成分をもっとも多く含む商品はこちらです。
3:伸び率
「伸び率(のびりつ)」とは、「伸びの割合」という意味。「売上高の伸び率」「生産伸び率」など、そのほかの言葉と組み合わせて使われることが多いです。
例文:A社の売上高伸び率8%に対し、B社の伸び率は20%だったそうだ。
英語表現とは?
では、「当社比」を英語で言いたい場合には、どんな言葉が適しているのでしょうか。「当社比」をあらわす表現をいくつか紹介します。
1:compared to our company’s products
「compared to〜」は、「〜と比べる」「比較する」という意味で、「our company’s products」は「私たちの会社の商品」という意味。ですので、「compared to our company’s products」を訳すと「私たちの会社の商品と比べて」という意味になります。
例文:This new PC was 500 grams lighter compared to old model.(このパソコンは古いモデルに比べて、500グラム軽くなった)
2:in this company’s comparison
「comparison」は「比較」という意味の単語です。「in this company’s comparison」で「この会社の中で比較して」という意味になります。「this company’s」を、「社内」という意味の「in-house」に置き換えても、同じ意味で使えますよ。
例文:Around 50% increase in speed seen in in-house comparisons with previous model.(従来モデルとの当社比で、スピードは約50%アップ)
3:IMO
「IMO」とは「in my opinion」の略で、「私の意見では」「私的には」という意味。Twitterやテキストメッセージなど、ネットで使われるスラングですので、カジュアルな表現といえるでしょう。「会社」ではなく、「個人」としての意見を言いたいときに使えます。
例文:That movie was boring, IMO.(私的には、あの映画はつまらなかった)
最後に
「自社の他商品と比べたときの比率や差異」という意味の「当社比」について解説しました。「○%アップ」「No.1」といった表現はよく見かけますよね。ですが、その近くに「当社比」という表記があったら、あくまで「その会社の中で、他の商品と比較したうえでの結果」ということを忘れないでおきましょう。
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