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「東奔西走」とは? 読み方と意味を解説
「東奔西走」は「とうほんせいそう」と読みます。
「何かの目的をとげるためにあちこち走り回る」という状況を表すときに使います。
「東奔西走」の由来
「東」と「西」という反対の方角を示すことで「広い範囲」「あちこち」を表し、転じて「世間」を意味する場合もあります。
「奔走」は「忙しく走り回る」「事が順調に運ぶようにあちこちかけまわって努力すること」という意味があります。
「奔走」をさらに分解すると、「奔」は「勢いよく走る」、「走」には文字通り「走る」を意味する言葉なので、同じような意味を二重に使った熟語です。
「東奔西走」は、「東西」と「奔走」を組み合わせてつくられたと考えられますが、文献などの詳しい由来は明らかになっていないようです。
「東奔西走」の類語
南船北馬
「南船北馬(なんせんほくば)」は、「絶えず旅をしていること」「各地にせわしく旅行すること」を意味する四字熟語です。南へ船で行き、北へ馬で行く様子を表すことから転じて、旅をするという意味になりました。
中国由来とされていて、中国の南方は川や湖が多いので船を用い、平野や山野が多い北方は馬に乗ることからできた言葉です。
粉骨砕身
「粉骨砕身(ふんこつさいしん)」は、「力の限り懸命に働くこと」を表す四字熟語です。「粉骨砕心」は誤表記なので注意しましょう。
骨を粉にし、身を砕くまで力の限り努力する姿は、目標に向かって方々走り回る「東奔西走」と近いイメージがわきますね。
駆けずり回る
「あちこちを駆け回る」「目的を達成するため、方々へ行って尽力する」という意味があります。
「東奔西走」の使い方、例文
「東奔西走」は、なんらかの目的や目標があって多忙となる場合に使います。ただ忙しいだけ、動いているだけという状態を表す場合には使わないので注意しましょう。
特に「右往左往」との誤用は避けたいところ。「右往左往」は「うろたえてあっちへ行ったりこっちへ来たりする」という意味があり、目的があってあちこちを走り回る「東奔西走」とは大きく異なります。
「東奔西走」は、「東奔西走する」など動詞として使うことが多いです。
事業拡大に必要な資金調達をするために東奔西走した日々だった
資金調達、事業拡大という目的のために走り回った様子がうかがえる例文です。
出張が多く、部下と各地へ東奔西走する毎日だ
仕事でいろんな地方や海外などに足を運ぶ忙しい状態を表しています。出張や転勤が多い人などは覚えておくと便利な例文かもしれませんね。
彼女を喜ばせるために東奔西走してプレゼントを探した
あちこちのお店を回ってプレゼントを探した姿が目に浮かぶ例文。プレゼントに限らず、限定品やセール品などでも活用できます。
「東奔西走」の英語表現
東奔西走を英語で表現する際には、「奔走する」を意味する「be constantly on the move」「run around everywhere」などを使います。いくつか例文を見ていきましょう。
She is constantly on the move for financing.
彼女は資金調達のために東奔西走している。
He would be running around everywhere for the company.
彼は会社のために東奔西走していた。
「東奔西走なんのその」は楽曲『千本桜』の歌詞
「東奔西走」を調べると、「東奔西走なんのその」という言葉が出てくることがあります。
これは和楽器バンドなど、さまざまなアーティストやボーカロイドがカバーしていることで有名な人気楽曲『千本桜』の歌詞の一部で、「環状線を走り抜けて東奔西走なんのその」というフレーズです。
オリジナル楽曲は『千本桜 feat.初音ミク』というタイトルで、2011年に「黒うさP」という人物が作詞・作曲・編曲しています。
音声合成・デスクトップミュージック 用のボーカル音源「初音ミク」を活用し、話題になりました。
最後に
ビジネスマンなら覚えておきたい、「東奔西走」の意味や使い方、例文を紹介しました。
「東西」に「世間」や「あちこち」という意味合いもあるということは知らなかった人も多いのではないでしょうか。
「右往左往」など他の言葉と誤用しないよう注意して、ぜひ活用してみてくださいね。
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