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WORK

2022.07.18

4人の子育てをしながらゆっくりと仕事を再開。新しい役割が拓けていったのは、30代終盤からでした

モデルとしての活躍を続けるかたわら、ライフクラフトブランド「ハウス オブ ロータス」のクリエイティブディレクターも務め、服や雑貨のプロデュースも手がける桐島かれんさん。4人の子育てに奮闘し、新たな道を拓いていった桐島さんの自身を支えた考え方や、働く30代へのメッセージをうかがいました。

母から受け継ぐもの、次の世代に伝えるもの。「自分であること」を最優先に生きる

海外で暮らし心細い体験をした少女時代、その後、モデルとしてスポットライトを浴びていたとき、4人の子育てに奮闘していたとき、桐島かれんさんを支えたのは、自分の人生は自分で選び、楽しむという考え方でした。

それは紛れもなく、母・桐島洋子さんから受け継いだ宝物。素敵に年を重ねるための秘訣でもありました。

▲ワンピース¥35,200(ハウス オブ ロータス 二子玉川店〈ハウス オブ ロータス〉) アクセサリー/本人私物

いちばんなりたかったのは画家だった

「2年ほど前から夢中になっているのが、植物を世話することです。それまで、立ち上げた会社の雑貨の買い付けや服づくりで、毎月のように海外に行っていた生活が一変、家で過ごす時間が増えたことがきっかけでした。

ピアノやギターもやってみたけれど、なかなか続かない(笑)。でもこれだけは、生活の一部です。植物に触れると、頭の中がすっきりして、そのあとの仕事もはかどります。

趣味として始めたことも、好きになったらとことん突き詰める性格です。

モデルの仕事と並行して携わっている、雑貨やファッション、イラストなども、小さいころから続いている“好きなこと”。でもね、実はいちばんなりたかったのは画家だったんです」(桐島さん)

▲最大の趣味であり生活の一部、植物たち。家庭菜園も加わって、今では150種以上にも

広告やCMのモデルとして、さらにはバンドのボーカルとして大人気だった20代でも、その思いは持ち続けていた。子供が生まれて自分の時間ができたら、“いつか”油絵を描こう… と。

「それが、とんでもない! 怪獣のような子供たちがいる家の中では、油絵どころか、自分のことは何もできません。芸能界のお仕事もしばらく休んでいました。でも、それは私にとってやりたいことを見つめ直すいい機会でした」(桐島さん)

思いを形にする第一歩。新しい役割が拓けていったのは、30代終盤から

「もともと、人前に立つ仕事をしていても、どんなに華やかな場所でも、『これが私の居場所なのかな』という迷いがあったのです。

画家ではなくとも、自分の頭の中にあるものを形にして創造することが、やっぱり私にとってのやりたいこと。仕事を休んだことで、よくわかりました。

やがて子供が大きくなって、一緒にアジアの国々を旅するようになり、そこで買い集めた工芸品や民芸品を紹介する場をと、小さなお店を開きました。思いを形にする第一歩です。

当時住んでいた家の一部を開放して、期間限定でオープンし、また雑貨の買い付けに行って。次の妊娠で一時ストップして。4人の子供を育てながら、そんなふうにゆっくりと、私の仕事が再開していきました。

それまでは母親の役割にどっぷりだったけれど、こんなふうにもうひとつの新しい役割が拓けていったのは、30代終盤からでした」(桐島さん)

▲メモをとるとき、スケッチするとき、色鉛筆を使うのが、かれんさん流。どれも「絵を描く」感覚と同じなのだとか。

クリエイティブの源は、旅の記憶

世界各地の雑貨を集めたお店は、やがて桐島さんがデザインする服も加わり、店舗も増えた。

桐島さんがプロデュースする店頭には、旅をしながらアンテナにひっかかった工芸品、旅気分を誘うカラフルな服がずらりと並ぶ。

「その源になっているのは、幼いころからの旅の記憶です。

幼少期に住んだアメリカ、母の桐島洋子と回ったアジアやヨーロッパの国々。さまざまな文化や暮らしの中で伝わる手仕事の美しさ、はかなさに、いつしかひかれるようになりました」(桐島さん)

桐島洋子さんは、1960年代から活躍してきたフリージャーナリスト・エッセイスト。その生き方は破天荒そのもので、「未婚の母」「飛んでる女」とも言われてきた。世界を旅しながらつづったエッセイの数々は、今も読み継がれている。

長女のかれんさんは、3歳でアメリカの知人宅に預けられたことから始まり、多くの旅や海外暮らしを経験してきた。こうした家族のヒストリーは、桐島洋子さんと三姉弟の共著となる『ペガサスの記憶』に詳しく記されている。

▲ホワイトワンピース¥62,700(ハウス オブ ロータス 二子玉川店〈ハウス オブ ロータス〉) アクセサリー/本人私物

母が教えてくれたのは、絶対に人のせいにしない、ということ

「人と違った環境で育ちながらも、母が教えてくれたのは、絶対に人のせいにしない、ということでした。

仕事でも人生でも、迷いはあるし失敗もあるもの。けれど、一度人のせいにすると、失敗から何も学べないままです。

私も、うまくいかないときは、母がシングルマザーだからだとか、母が有名人だからだとか、よそ様と違うことをいくらでも言い訳できたでしょう。けれど、それをしなかったのは、人に頼らず自立した母の姿を見てきたからだと思います。

いつだったか、まだ子供だった私と妹が『結婚するなら石油王とかいいよね』なんて冗談を言ったら、とても不機嫌な顔をしたことを覚えています。そういう考えを持つことは、はしたないとも教えられました。そして、何があっても自分で働くということも。

こんなふうでしたから、私にとって母は今でも威厳があって特別な存在です。

仲はいいけれど、ベタベタした愛情表現は苦手で、クールなところもある母。照れ屋なところは私も受け継いでいて、愛情表現は夫(写真家・上田義彦)のほうがオープンかもしれません」(桐島さん)

桐島さんは、母・洋子さんのことを、著書『ペガサスの記憶』の中でこう総括している。

――ひとりの女性として「自分であること」を最優先にしていたのだと思います――

これはそのまま、働く30代へのメッセージでもある。

▲最新著書『ペガサスの記憶』(小学館)

かれんさんの母でありエッセイストの桐島洋子さんが執筆した半生の記録。そこに、かれん・ノエル・ローランドの三姉弟が思い出を重ね、完成した珠玉の一冊。

変化も迷いも多い30代。そんなときこそ、自分の芯をもう一度見つめ直してほしい

「人間って、年輪を重ねる木みたいなものだと、つくづく思います。

年月を経て太くなり、雨風に触れ、嵐に当たり、表面はごつごつして、シワも増えていく。けれど、芯の部分はずっと変わりません。

30代は変化も迷いも多いときだけれど、そんなときこそ、自分の芯をもう一度見つめ直してほしいと思います。そこには、幼いころに憧れたこと・夢見たことが眠っているかもしれません。

また、子供の反抗期や初恋のときには、自分ももう一度その気持ちを思い出すことで、子育ての手助けになります。今はまだ叶わなくても、年を重ねてから、芯の部分にある本当にやりたいことを楽しむこともできます。

私なら、面倒くさいことは全部なくして(笑)、ものづくりと緑に囲まれた生活が理想です。

そしていつか… 時間ができたらしっかりと絵を描くことに向き合えたら。幼いときに夢見たことを、おばさんになってから叶えるなんて、素敵なことだと思いませんか(笑)」(桐島さん)

●この特集で使用した商品の価格はすべて、税込価格です。

2022年Oggi8月号「この人に今、これが聞きたい!」より
撮影/上田義彦 構成/南 ゆかり
再構成/Oggi.jp編集部

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霧島かれん(きりしま・かれん)

1964年生まれ、神奈川県出身。大学在学中にモデルを始め、1986年化粧品会社のイメージキャラクターに起用され脚光を浴びる。モデルとして活躍を続けるかたわら、ライフクラフトブランド「ハウス オブ ロータス」のクリエイティブディレクターも務め、服や雑貨をプロデュース。YouTubeチャンネル『桐島かれん at Home』も配信中。


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