「帰社」の意味や読み方とは?
取引先との電話対応で使うことの多い、「帰社」という言葉。口にしながら、ふと「退社」や「退勤」とは何が違うのだろうと疑問に思ったことはありませんか? いずれもビジネスの基本用語となるので、正しい意味や違いを押さえておきたいものです。今回は、間違いやすい「帰社」の意味やビジネスでの注意点、英語表現などを解説しましょう。
意味や読み方
「帰社(きしゃ)」とは、「外出先から自分の会社に戻ること」。社員が営業先や取引先などから戻り、現在会社にいる状態を表します。大抵の場合、電話対応で「○○は昼頃帰社予定です」「15時頃に帰社いたします」などと言うことが多いですね。
使うときの注意点
「帰社」はあくまでも、取引先などから会社に戻ることを指すので、自宅に帰るときには使用できません。自宅に帰るときには「退社」や「帰宅」が正しいので、違いを押さえておきましょう。
また、「帰社」は社外の相手に向けての尊敬表現なため、社内の上司には使用できません。もし、上司や目上の人に「帰社時間」を確認する際には、「何時にお戻りになられますか?」などと言い換えましょう。
「帰社日」とは?
「帰社日」とは、「日頃リモートワークやクライアント先に出向している社員が、月に一度会社に出勤する日」のこと。システムエンジニアなどの出向者が多く所属しているIT企業が採用していることが多い制度で、本社との連携やコミュニケーションを目的として行われています。
使い方を例文でチェック!
「帰社」は、取引先など外部の人に対して使われるため、正しい使い方をマスターしておきたいですね。ビジネス会話で頻出する使い方を3つ紹介します。
1:「広報担当の○○様はいらっしゃいますか?」「○○はただいま外出しており、14時頃に帰社いたします」
「帰社」は、社外の人からの電話対応で使われる機会の多い言葉。社員の在社を尋ねられた際に、「○○は○時頃会社に戻ります」という意味で使われます。指名された社員が現在社内におらず、本日中に戻る予定があることがポイントです。
2:○○は出張に出ており、帰社予定は17時頃となっております。
相手に会社に戻る時間を伝える際に、「帰社予定」や「帰社時間」という言葉を使うこともできます。電話で「帰社」という言葉が伝わりづらいと感じたときには、このように表現すると良いでしょう。
3:部長は本日何時頃お戻りの予定でしょうか?
先述の通り、目上の上司や先輩などに「帰社」は使いません。社内の人間に対しては、「帰社」の代わりに「お戻りになる」や「お帰りになる」を使うのが適切です。部長や先輩の「帰社時間」を知りたい場合には、「部長は昼過ぎには戻られますか?」「本日お帰りの予定はありますか?」などと表現してみましょう。
「退社」や「退勤」とはどう違う?
ビジネス用語で、「帰社」と間違えやすいのが「退社」や「退勤」ではないでしょうか? どちらも職場でよく口にする言葉ですが、意味の違いを詳しく知らない方も多いかもしれません。それぞれの意味や使い方をチェックしてみましょう。
1:退社
「退社」とは、「1日の勤めを終えて、会社から退出すること」。現在会社にいる「帰社」とは異なり、会社から出ている状態を指します。「退社」はあくまで、それまで会社にいた人間が帰宅する場合に用いられるので、在宅勤務や出向先で働いている場合は使いません。
また「退社」は、「会社を辞める」という意味で使われることもあります。誤解を招かないように、「本日○○は退社しました」「○○は先月末をもって退社しました」などと、いつ退社したのかを伝えると良いでしょう。
・○○は16時に退社しました。
・後輩は一身上の都合で退社した。
2:退勤
仕事が終わった状態のことを「退勤」と言います。その日の業務を終えた時間のことを「退勤時間」と言うこともありますね。「退勤」は「退社」と異なり、会社という場所にいる・いないにかかわらず使える言葉です。よって、クライアントのところへ出向している場合やリモートワークをしている場合でも使うことができます。「退勤」は、働いている場所を問わず、勤めを終えた状態を指すことを覚えておきましょう。
・退勤時間になったので失礼します。
・今日は早めに仕事が終わったので15時に退勤した。
3:退職
社員が勤めている会社を辞めることを意味する「退職」。会社と従業員の雇用関係が終了するという意味があり、「定年退職」などもこれにあたります。ちなみに、契約期間の終了や自分の意思で会社を辞める場合は「退職」と言いますが、トラブルなどを起こして会社側から契約を解除された場合は「解雇」が適切です。
・今月いっぱいで会社を退職いたします。
・○○は一身上の理由で会社を退職いたしました。
英語表現とは?
海外とのビジネスパーソンと電話やメールでやりとりをする際にも、「帰社」の英語表現を押さえておきたいもの。「○時に帰社します」と言う場合には、「return to office」や「arrive back the office」を使ってみましょう。「return(戻る)」と「office(会社)」で、「会社に戻る」と表現できますよ。
・I return to the office.(帰社します)
・Saitou will return to the office soon.(斎藤はもうすぐ帰社する予定です)
・I will arrive back the office at 5 o’clock in the evening.(17時に帰社する予定です)
最後に
意味を混同しやすい「帰社」の意味や、「退社」との違いなどは理解できましたか? 電話対応などで「帰社」や「退社」を正しく使い分けられると、取引先からの印象も格段にアップするはず。「退社」や「退職」などの意味も一緒に覚えて、自信を持って使い分けてみましょう。
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