ワクチン接種会場の裏側。どんなスタッフが働いている?
私が、お手伝いに行っている羽田空港のワクチン接種会場での様子はこれまでに何度か紹介してきました。例えば、接種会場に来場される方がどういう方々とか、会場での接種者が問診時によく質問すること(3回目の接種、接種後の不正出血)など。
今日は、少し接種会場の裏側について紹介しようと思います。市区町村が行う接種会場であれ、職域接種会場であれ、防衛省の主導の大規模接種会場であれ、看護師や医師といった医療従事者と受付や誘導を行うスタッフで、新型コロナウイルスワクチン接種を運営しています。
例えば、防衛省がおこなう集団接種会場では、自衛隊に属するスタッフ(自衛隊医務官や看護師、自衛官)でメンバー構成されているようです。では、外務省が中心になって運営している、羽田空港や成田空港での接種会場はどのようなメンバーで実施されているかご存じですか?
羽田空港や成田空港での接種会場のメンバー構成は?
私は、8月に初めてこの接種会場でお手伝いすることになったのですが、最初の2、3回目まではどのような方が会場で運営しているのか知りませんでした。看護師さん達は、地域接種や職域接種会場と同じく民間の病院でトレーニングされた方が中心と言うことは聞いていました。
初めて受付や接種者誘導をしているスタッフの動きを見て、「この人達はいったいどういう人なんだ?」と思ったのを覚えています。何故そう思ったかというと、誘導が上手だし、接種後の経過観察中の人にも自然に声をかけている姿を見て、「なんかのプロか?」と思っていました。
その後知ったことなのですが、羽田空港の接種会場で受付や誘導をしているのは、現役のキャビンアテンダントさんだという事を知り、「なるほど」と思いました。新型コロナウイルスの拡大で極端に落ち込んだ航空需要を盛り返すために、航空会社の打ち出した人材活用の一環として羽田空港などでの接種会場運営にCAが携わっていることを知りました。
わたしの予想したとおり「なんかのプロか?」というと、まさしく「接客と誘導のプロ」だったのです。現役のCAとして働き、日々、接客と誘導の訓練をしている人達だったのです。
先日、「注射を打つヒトで痛みが全然違う」という私の持論に賛成してくれた友人が、「注射を打つヒトで副反応も全然違う」という持論をマウントしてきました。その真偽の程は解りません。しかし、羽田の接種会場は、私自身が接種した会場やその他見たいくつかの会場に比べると、接種前の接種者へのアナウンス(機内風)もしっかりしていますし、誘導や接種後の経過観察中の人への声かけも、自然(着陸時風)でした。
3回目の接種の議論も始まり、「副反応」は依然として皆さんの興味のあるキーワードです。「打ち手」の善し悪しのみならず、「受付」や「誘導」も大切な因子として作用しているかもしれません。羽田空港での接種者の副反応を調べてみたら、新しい事が見つかるかもしれません。
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国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長 増富健吉
1995年 金沢大学医学部卒業、2000年 医学博士。
2001年-2007年 ハーバード大学医学部Dana-Farber癌研究所。2007年より現職。
専門は、分子腫瘍学、RNA生物学および内科学。がん細胞の増殖と、コロナウイルスを含むRNAウイルスの増殖に共通の仕組みがあることを突き止めており、双方に効く治療薬の開発が可能かもしれないと考えている。
専門分野:分子腫瘍学、RNAウイルス学、RNAの生化学、内科学。
趣味:筋トレ