世の中の悩みを「聖書」から解決#12
「悩みのない人生を送りたい!」というのは、人類の抱き続けてきた願望ですが、令和の時代になっても人の悩みは尽きるどころか増えてさえいるのかもしれません。
ツイッターフォロワー10万超【上馬(かみうま)キリスト教会】のまじめ担当MAROさんは、フォロワーの方々から寄せられるさまざまな悩みに「聖書」から解決の糸口を伝えようと日々発信中。『人生に悩んだから「聖書」に相談してみた』(KADOKAWA)より、MAROさんが提案する悩み解決のヒントをお伝えします。
質問:恨みを「倍返し」にしたい!
回答:ちょっと待って!「目には目を」を誤解してます
よくドラマか何かの復讐シーンで使われたりする「目には目を、歯には歯を」という言葉ですが、とても誤解されている言葉です。もともとは旧約聖書の「出エジプト記」という書に出てくる律法、つまり今で言う法律の一つです。
たしかに「目を潰されたら目を潰せ。歯を折られたら歯を折れ」ということですから、一見、復讐を推奨しているように読めます。しかし、時代背景を考慮するとそうではなく、むしろこれは過剰な復讐を禁ずるものだったんです。
当時はまだいろいろな法律が整備されていませんでしたから、さまざまな復讐も個人の感情によって裁量が決まっているようなものでした。それで復讐がエスカレートして、「あいつ、俺を殴ったから腕を切り落としてやった!」とか、「目を潰されたから殺してやった!」とか、過剰な復讐が横行するようになってしまっていたんです。
そこで、「目を潰されたなら目を潰すだけにしましょう。歯を折られたなら歯を折るだけにしましょう」と定めたのがこの律法なんです。つまり現代の世間一般のイメージとは反対に、復讐を抑制する言葉なんです、これって。
さらに時代が進んで新約聖書の時代になるとイエス様はこう言っています。
「『目には目を、歯には歯を』と言われていたのを、あなた方は聞いています。しかし(中略)あなたの右の頬を打つ者には左の頬も向けなさい(マタイ5:38〜39)」
これ、有名なことばですから、知っている方も多いかもしれませんね。「無抵抗」を勧めるというより、「復讐をやめなさい」という意味のことばなんです。
何かの恨みがあったとして、それを「倍返し」にしたら、次に相手から返ってくる復讐は4倍になります。そのまた復讐は8倍、16倍、32倍…… と、5往復するだけでなんと1024倍になってしまいます。
かの有名なアインシュタインさんが「人類最大の発明は複利である」と言ったそうですが、恨みや憎しみというのは放っておくと複利で膨れ上がってしまうものなんです。
ですから、その膨張が起こらないように「1倍にしておきなさい」というのが、「目には目を、歯には歯を」ですし、「そもそも誰も幸せにならないからやめておきなさい」と言うのがイエス様だというわけです。
ですから、やめませんか、「倍返し」は。
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▲『人生に悩んだから「聖書」に相談してみた』
著者:MARO(上馬キリスト教会ツイッター部) 出版:KADOKAWA
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上馬キリスト教会 MARO
1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。
キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。キリスト教ではない家に生まれ、23歳のときに洗礼を受けた「クリスチャン1世」。
10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。
著書に『上馬キリスト教会ツイッター部のキリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『上馬キリスト教会の世界一ゆるい聖書入門』、『上馬キリスト教会ツイッター部の世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。