腸内環境を整えると嬉しいことがたくさん
前回は、理想的な腸内環境の作り方をお伝えしました。
たかが腸内環境と思っている方もいらっしゃると思いますが、理想的な腸内環境になった人にはどんなメリットがあるのでしょうか。もしかしたら皆さんが長年悩んでいた不定愁訴は腸内環境を改善することで解決するかもしれません。
キーワード1「短鎖脂肪酸」:
腸内環境が良い人は、水溶性食物繊維などの「腸内細菌のエサとなる物質」を腸内細菌が分解して、短鎖脂肪酸を作ります。短鎖脂肪酸とは、腸内細菌が作る酪酸、酢酸、プロピオン酸などの有機物のことです。
そして、短鎖脂肪酸は、他の栄養分とともに腸から吸収され、血液中に入って全身へ運ばれていきます。働きとしては、脂肪細胞にたどり着くと、細胞は栄養分の取り込みをやめ、脂肪が過剰にたまるのを防いでくれます。
また、交感神経にたどり着くと全身の代謝が活性化します。つまり、理想的な腸内環境の人は、肥満や糖尿病などの生活習慣病を防いでくれるのです。
キーワード2「パイエル板」:
パイエル板とは、回腸(小腸の下部)に約20~30個存在している免疫機能を司る総合司令所で、体全体の免疫の60~70%が集まっています。
腸内に有害な異物が侵入してくると、パイエル板は異物の情報を集めて分析し、T細胞、B細胞などの白血球に、異物への攻撃・排除を命令します。ガン細胞にはガン専門のNK細胞という白血球がいます。命令を受けた白血球は、異物への攻撃を開始します。
これらの免疫機能が24時間休む事なく監視してくれる事で、私達の健康は守られているのです。つまり、理想的な腸内環境の人は、免疫力を高めてくれるのです。
キーワード3「腸は第二の脳」:
人間の脳は1000億個の神経細胞があると言われています。一方、腸にも神経細胞があり、人体の中では脳に次いで2番目に多く1億個とも言われています。
いわば親子関係とも言える腸と脳は、迷走神経という直通回路を介して繋がっています。腸内細菌が作った神経伝達物質ドーパミンやセロトニンを腸の神経が受け取ると、迷走神経を介して脳にも届けられます。つまり、理想的な腸内環境の人は、やる気や幸福感情に影響を及ぼし、心の病を防いでくれるのです。
腸は、その他、健康長寿や美容にも関わっており今後ますます研究と注目が集まっていきます。腸内環境を整えることは、ダイエットにも重要な臓器であり、健康になるための第一条件とも言えるでしょう。
『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本』発売中!
▲『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本』(著者:坂田武士、出版:学研プラス)
TOP画像/(c)Shutterstock.com
予防医学マイスター 坂田武士
薬剤師。予防医学士。スポーツファーマシスト。「サムライフ」代表。昭和大学薬学部薬学科を卒業後、薬剤師免許を取得。
大手製薬会社勤務や、特別養護老人ホームの施設長などを経て、予防医学やエイジングケアの重要性を感じ、2006年に独立。2009年に「サムライフ」を設立し、薬をすすめない薬剤師として、これまでに1万人以上のオーダーメイドカウンセリングを行う。
著書に『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本』(学研プラス)がある。