「見当違い」の意味とは?
「それは見当違いだよ」と言ったり、言われたりしたことはありませんか? 日常でもビジネスシーンでも使われる言葉ですが、正しい使い方ができているかどうかを問われると途端に不安になるものです。
この記事では「見当違い」の意味や使い方、「お門違い」や「筋違い」との違いを紹介していきます。
「見当違い」の意味
「見当違い」を辞書で調べると、以下のように2つの意味が出てきます。
「めざす方向をまちがえること。また、そのまちがった方向。見当はずれ」「推測や判断を誤ること。判断が的を射ていないこと。また、そのさま。見当はずれ。的はずれ」(『日本国語大辞典』より引用)
日常の中では方向性をまちがった際や、推測や判断を誤るという意味で使われますね。なんとなくのニュアンスで覚えていた方も、この機会にしっかりと記憶しておきましょう。
「見当違い」と「お門違い」の違い
「見当違い」と「お門違い」との違いはわかりますか?
「お門違い」の意味は以下の2つ。
「(1)まちがった家や人、方向に行くこと」「(2)物事のまちがった方向を目ざすこと。見当ちがい」(『日本国語大辞典』より引用)
1は「お門違い」のみの意味となりますが、2は「見当違い」と意味が共通していることがわかります。
1の意味での例文:「インターフォンを鳴らしたが、お門違いだった」
2の意味での例文:「そんな抗議を私にされても、お門違いだ」
「見当違い」と「筋違い」の違い
「筋違い」の意味は以下の3つ。
「(1)はすかい。斜めであること。傾斜して交わっていること。すじかい」「(2)道理にかなわないこと。条理に外れていること。気持ちや行動にゆきちがいのあること。また、そのさま。見当違い」「(3)筋肉を急に動かしたり、または無理な動きをしたりすることによって、いためること」(『日本国語大辞典』より一部引用)
「見当違い」の意味と比較してみると、1と3とは完全に異なる意味ですが、2は微妙にニュアンスが似ている部分がありますよね。「見当違い」はまちがった方向を目ざすことでしたが、「筋違い」は物事の道理からはずれていることを指します。
2の意味での例文:「お客様といえども、筋違いな要求にはこたえられない」
「見当違い」の使い方を例文でチェック
「見当違い」という言葉を具体的に使うことで、理解を深めましょう。例文を紹介します。
「彼が唐突に見当違いな意見を言ったので、会議の場が凍りついた」
同じ方向性で意見交換をしている時にまちがった意見を言われると困りますよね。例文では、そんなシチュエーションを表しています。まちがった方向の意見を「見当違いな意見」と言います。
「彼女はいつも見当違いなことを言って、周囲を困らせるところがある」
「見当違いなことを言う」とは、的はずれなことを言うこと。焦点がぼけると、周囲も困惑します。「見当違い」にならないよう、話のコアとなるポイントは常におさえておきたいところ。
「レストランに向かっているつもりだったが、見当違いの方角だったと大分歩いてから気づいた」
この場合の「見当違い」は、まちがった方向を表しています。方向音痴だと自認している方は、この例文のようなことはよくあることかもしれませんね。
「見当違い」の類語にはどのようなものがある?
「見当違い」を言い換えるとしたら、どのような言葉がいいでしょうか? 場面にあわせて使い分けることができると◎。ここでは、4つの類語を紹介します。
見当はずれ
「見当違い」を辞書で引くと、意味の中に「見当はずれ」が出てきます。意味は「見当違い」と同じです。「見当はずれもはなはだしい指摘に、思わず怒りが込み上げてきた」などというように使います。
的はずれ
「的はずれ」とは、大事な点をはずしていること。「見当違い」と意味を同じくします。「急いでいるのに的はずれな返答をされて、困ってしまう」「的はずれな非難の対応に、思わぬ時間を取られた」などというように使いますよ。
ピントがはずれる
「ピントがはずれる」とは、物事の肝心な点がちぐはぐなこと。レンズなどの焦点が合わずに像がぼけることから転じて、現在使われている意味になりました。「ピントがはずれた説教をされても、まったく心に響かない」などというように使います。
焦点があわない
「焦点があわない」の「焦点」とは、この場合、物事の一番重要なところのこと。重要なところが合致していないというところが「見当違い」と同じですね。「話の焦点が中々合わないので、イライラした」などというように使います。
最後に
「見当違い」について解説してきましたが、いかがでしたか? 似たような言葉でもある「お門違い」や「筋違い」との違いについても、確認することができましたね。「見当違い」という言葉は、ポジティブな場面では発せられません。「それは、見当違いだよ」と誰かから指摘されないように、話の筋道はいつもしっかりとおさえておきたいですね。
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