歯医者さんに行きたくない… 虫歯を放置するとどうなるの?
「虫歯があるけど歯医者さんに行きたくない。放置したら自然に良くならない?」、「虫歯があると分かっていたけどなかなか行く気にならなくて…」というお話をよく患者さんから伺います。
ですが虫歯は、風邪のようにお薬を飲んでよく休息していても治らないのです。
今回は虫歯を放置するとどうなるのか説明していきます。
◆1. 初期の虫歯で気付くべき
最初から元も子もない話ですが、虫歯を知る上で大事なことなので話しますね。
初期虫歯とは、歯の最表層であるエナメル質という部分のみにある虫歯のことを言います。
現在の「初期虫歯」の考え方は、早期発見・長期経過観察がメジャーで、小さい初期の虫歯があったからと言っても、すぐに削る病院はあまりありません。
なぜかというと、削ることでその歯の寿命が縮むと言われているためです。
フッ素を用いたり、歯磨きの指導をおこなったりと、歯科医院とご自身で虫歯を進行させないように管理。その上で長期経過観察します。
逆に言えば、初期虫歯のうちに見つけ、歯医者さんに管理してもらうのが1番痛くないと言えます。
◆2. 神経までは達してないけど虫歯がある状態
初期虫歯を放置して進行させると、象牙質と呼ばれる歯の2層目まで虫歯が到達します。
この段階で痛みを感じることも多いですが、知覚過敏だと思って歯科医院に来ない人も多いのが現状。
また、被せ物になる可能性や、神経スレスレまで虫歯が進行している場合は神経をとる処置になる場合があるため、その日に治療を完結することが出来ず、治療に回数を要することもあります。
◆3. 神経に虫歯菌が感染した状態
虫歯が神経まで到達すると、神経に虫歯菌が感染し、神経が炎症します。虫歯で歯がズキズキするというのはまさにこの状態です。この状態での治療は麻酔も効きづらく、痛みを伴うことがあります。
しかし、神経の炎症を痛み止めで乗り切ってしまう人がいます。するとそのうち、痛みが無くなるため虫歯が治ったと思う人が多いのですが、実際は神経が菌によって死んでしまい痛みを感じなくなっています。
神経が死んでしまうと、次は歯の根っこの先端周りの骨が溶けて、膿が溜まっていきます。骨を溶かして膿が溜まっていく過程で、耐え難いような痛みを感じることはありません。
噛んだ時に少し痛みを感じたり、熱い物にしみたりと、我慢できるくらいの症状のため放置されやすい状態に。
◆4. 歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)で副鼻腔炎のような症状が出ることも
上記のように、歯の根っこの先に膿が溜まっていくと、副鼻腔の一部である上顎洞まで膿が到達。上顎洞の粘膜に炎症を起こしてしまう可能性が出てきます。
歯が原因で上顎洞に炎症が起こる、歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)は、膿のような鼻水が出たり、頬や目の下が痛んだりと副鼻腔炎のような症状が現れます。
虫歯を放置していると、頬や目の下まで症状が及ぶなんて驚きですよね。
◆5. 骨髄炎(こつずいえん)で顎の骨が腐ることも
骨髄炎(こつずいえん)とは、上顎より血流が悪い下顎に起こりやすい病気。
本来、骨の中にある骨髄は無菌状態なのですが、歯からの炎症が波及し、骨髄が炎症を生じると、骨髄が壊死することがあります。
薬物療法をおこなったり、外科的な処置が必要になることもあります。
◆6. 菌が血液を介して全身に回る
お口の中の血管は全身と繋がっているため、菌が継続的に血液中に入り、血液の中を流れます。
通常は、免疫系の反応によって菌は排除されますが、免疫機能が低下し、細菌が長期的・大量に血中に入ると、到達した臓器や組織で重篤な感染症を起こす場合があります。
これを菌血症と言い、状態によっては長期期間治療しなくてはいけません。
虫歯かもと思ったら早めに歯医者へ
もしかしたら虫歯かもと思ったら早めに歯科医院へ行きましょう。早期発見が大事です。
また、虫歯があるかどうか分からない人も1度歯科医院で検診してみることをオススメします。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
Oggi.jp's 野尻真里
日本審美歯科学会所属の歯科医師。朝日大学を現役卒業後「うずら歯科」に勤務。写真集『美人女医図鑑』を発売中。華道脇教授の資格を持つなど充実した趣味と、美容やファッションにもこだわっているインスタグラム@nojirimari も要チェック!
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