世の中には「偽ものポジティブ」だらけ
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前向きで、行動力もあって、性格も明るくて…「ポジティブ」と聞くと良いイメージですよね。
実際、メディアを覗いてみると「ポジティブ・シンキング」「ポジティブになる方法」など、前向きな思考を身に着けるためのハウツーが世の中にはあふれているようです。
しかし、そのポジティブは果たして「本当のポジティブ(前向き)」なのでしょうか?
今回はポジティブな人・前向きな人についてのよくある勘違いを3つご紹介。本当の意味での「前向きさ」を手に入れて、さらに人生を楽しんじゃいましょう♪
1:ポジティブな人は前向きで失敗してもあまり落ち込まない
これは大きな間違い。実は本当にポジティブな人ほど、「思いきり落ち込める人」です。
失敗して落ち込んだときに、「みんなもっと頑張っているんだから」「これくらいでへこんでちゃダメだ」なんて変な建前は持ち込みません。
悲しい時は悲しむ。落ち込む時は落ち込む。
思い切り落ち込めるからこそ、気持ちを切り替えて次に進むことができます。未練や嫌な気持ちをひきずりません。
2:いつもポジティブな言葉を使う
これも間違いです。「頑張ろう」「自分なら大丈夫」「絶対できる」自分を奮い立たせるために、ポジティブな言葉を投げかけても、「いや、疲れたな、できないな」というのはありますよね。
本当にポジティブな人は自分の本音を大切にするので、無理やりポジティブな言葉は使いません。
ちなみに、辛いとき・苦しいときに無理にポジティブな言葉を使うのは、心理学的にも実はNG。
人の心には波があるので、ネガティブなときもあれば、ポジティブなときもある、というのが自然な状態です。
疲れたな、嫌だな、辛い、と本音では思っているのに「大丈夫、大丈夫!」「自分にはできる」なんて言葉をかけたら、自分のネガティブな部分に無理やり蓋をすることになってしまいます。
ずっと我慢していた感情が思わぬ形で爆発してしまい、自己嫌悪… というのもよくある話。これでは「ポジティブ」とは言えませんよね。
3:ポジティブな人は性格が明るい
これも良く誤解される話なのですが、ポジティブであることと、性格の「明るい」「暗い」は実は関係がありません。性格は明るいけど、ネガティブな人もいれば、その逆もあります。
実のところ、その人がポジティブかどうかを決めるのは、性格ではなく「自分のネガティブなところ・ダメなところを認めてあげられているかどうか」が大きいのです。
これを言い換えると、自己否定をしないかどうか、ということでもあります。
例えば、仕事に集中できなかったり、ミスをするとすぐに「自分は、なんてダメな人間なんだ」と自分を責めてしまう。
これはつまり、「仕事ができる自分は良くて、仕事ができない自分はダメ」と出来ない自分を許してあげられない人です。
ポジティブな人は、ミスしたこと自体に落ち込んだり反省することはあっても、ミスをした自分を責めたりはしません。
「ときには失敗することもある」とミスや失敗する自分もいることを理解しているからです。
本当にポジティブな人は、いい意味で「我慢しない人」
いかがでしたか? 「ポジティブ」にまつわる、よくある勘違いを3つご紹介しました。
色々お話ししてきましたが、つまるところ本当にポジティブな人とは、「悲しい時は思い切り悲しむ」「辛い時は思い切りへこむ」そんな自分に正直な人、と言えるかもしれません。
自分の正の感情も負の感情も丸ごと愛せたら、それだけで心が前向きになっていきそうですね。
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お話を伺ったのは… 心のクセを直す「メンタルノイズ」カウンセラー 山根洋士(やまね・ひろし)
これまでに8000人以上の悩みを解決してきた心理カウンセラー。
両親の離婚、熱中していたスポーツの挫折、就職の失敗などを経てノンフィクションライターとして成功をつかむものの、激務でダウン。過労死寸前まで追い詰められ、入院生活を送る中で心理療法と出会って人生が激変。「なんのために生きるのか」を模索した末に、心の風邪薬のようなカウンセリングを提供したいという想いから、カウンセラーになる。
心理学だけでなく、数多くの経営者やプロスポーツ選手、芸能人等への取材経験、AIやロボット工学、脳科学などを取り入れた、メンタルノイズメソッドを開発。実践中心のカウンセリングで一線を画す。
カウンセリングには、著名な精神科医やスピリチュアリスト、占い師などに相談しても結果が出なかった人が殺到。すぐに実践できるワークと、論理的なセッションで好評を博している。
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