「普遍的」の意味とは?
「普遍的な真理」、「普遍的な性質」などというように、「普遍的」という言葉は至るところで使われますね。でも、「正確な意味を把握していますか?」と聞かれたら、途端に不安になることも。ここでは、「普遍的」の正しい意味から解説していきます。
「普遍的」の読み方と意味
「普遍的」は、「ふへんてき」と読みます。
意味は、「広く行き渡るさま。極めて多くの物事にあてはまるさま」。「普遍」とは、すべてのものに当てはまることを指します。そこに接尾語の「的」をつけることで、「普遍」という性質をもったものを表す言葉となるのです。
「普遍的」と「一般的」の違い
「普遍的」と「一般的」の違いはついて、まずは、「一般的」の意味をおさえておきましょう。
「一般的」とは、「特別な事物・場合についてではなく、広く認められ行き渡っているさま」を表します。「一般的な考え方」、「一般的な生活」などというように使いますね
「普遍的」の対象は「ほぼすべての物事」であるのに対し、「一般的」の対象は「広く、全体」とくくりがゆるやか。そのため、「普遍的」の方が意味するところは深くなります。
例えば、「一般的に、日本の小学生はランドセルを背負って学校に行きます」と言うことはできますが、「普遍的に、日本の小学生はランドセルを背負って学校に行きます」と言うと、ちょっと違和感がありますよね。その違和感の正体は、すべてに当てはまっているわけではないから。具体的な例文にしてみると、違いがわかりやすいですね。
「普遍的」と「不変的」の違い
続いては、「不変的」との違いについて考えてみましょう。「不変的」とは、「変わらないこと」という意味。「不変的」は「普遍的」の同音異義語にあたりますね。
ちなみに、「不変」の対義語は「可変」になります。あわせてチェックしておきましょう。
「普遍的」の使い方を例文でチェック
「普遍的」という言葉を具体的にイメージできるように、例文にしてみました。以下に、ご紹介します。
◆「“人はなぜ生きるのか”という、人間の普遍的な問いについて考えた」
「なんで人は生きるの?」という疑問は子供でも持ちますよね。ここでの「普遍的」は、すべてのものに当てはまるものを指しています。
◆「『モナ・リザ』には、普遍的な女性美がある」
「普遍的」は、芸術や風景などの美しさを表現する際にも使われます。ルネサンス美術の巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチの代表的肖像画『モナ・リザ』は、今もなお、人々を魅了する時代を超えた名画です。
◆「誰かの悩みを解決することこそが、ビジネスの普遍的な本質だ」
刻々と変わっていくビジネスシーンの中でも、時代に左右されないこともあります。そういったことを表す際に、「普遍的」という言葉が使えますね。
「普遍的」の類語にはどのようなものがある?
続いて、「普遍的」と同じ意味を表す言葉をご紹介します。
◆「あまねく」
「あまねく」を漢字にすると、「普く」とも「遍く」とも書きます。「普遍」で使われている、どちらの漢字も当てはまります。面白いですね。意味は、「もれなくすべてに及んでいること」を表します。
元々、「あまねく」は「あまねし」の連用形でした。しかし、今では「あまねく」だけが副詞として残っています。
例文:「そのニュースはインターネットを介して、世界にあまねく知られるところとなった」
◆「ユニバーサル」
「ユニバーサル」は、すべてに共通することという意味。カタカナ語ですが、「普遍的」と同じ意味ですね。「ユニバーサル」はさらに、宇宙的・世界的なことも指します。「普遍的」を英語で表したいときも、「universal」が使えます。
例文:「彼のユニバーサルな考え方は、今もなお多くの人々に感銘を与え続けている」
◆「おしなべて」
「おしなべて」は「すべて一様に」という意味。漢字で書くと「押し並べて」となります。「普遍的」ほど深い意味はありませんが、全体に渡るさまという意味では共通していますね。
例文:「長い歴史を持つ会社は、おしなべて時代に合わせた努力をしている」
「普遍的」の対義語にはどのようなものがある?
「普遍的」と反対の意味を持つ言葉には、どんなものがあるでしょうか。3つご紹介します。
◆「特殊」
「特殊」は、「とくしゅ」と読みます。意味は、普通と異なること。つまり、個々の事象を表します。
例文:「彼女には、他の人にはない特殊な才能がある」
◆「個別」
「個別」は、「こべつ」と読みます。「個別」とは、全体から切り離した、ひとつひとつのことを表す言葉です。
例文:「これらの問題は一緒くたにせず、個別に判断すべきだ」
◆「特異」
「特異」は、「とくい」と読みます。「特異」とは、他と比べたときに、どこかの点ではっきりと違うこと。また、もうひとつの意味として、特に優れていることを表す際にも使われます。
例文:「このクラスで、彼は特異な存在だ」
最後に
「普遍的」という言葉について、解説してきました。すべての物事に当てはまるものは、ありそうでなかなかありません。だからこそ、「普遍的」という言葉は特別であり、深みがあるのでしょうね。
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