毎日の体調管理、食べ物ではなく便で健康状態をチェックする!?
自分が健康にいい食生活をしているかチェックするために、いちいち自分の便の状態を記録したり覚えたりするのは大変。でもこの便の状態は、自分の体からの「お便り」的な存在! しっかり観察することも大事なのです。
そこで今回は、「炭水化物は冷まして食べなさい。」(アスコム)の著者であり、腸活先生として知られる文教大学健康栄養学部教授・笠岡誠一先生にお話を伺いました。
先回のお話では、炭水化物を冷まして食べるだけでダイエット効果が期待できるというお話でした。さらに興味深い! と感じたのが先生の言う「炭水化物を冷まして食べれば便秘も下痢も悩みが軽減する」と言うお話。
前回記事:痩せない人必見!「炭水化物を冷まして食べるだけ」簡単腸活でダイエット!
笠岡先生に、なぜ炭水化物を冷まして食べるだけで便秘も下痢も改善が期待できるのかをさらに詳しく伺いました。
■腸活先生に質問! そもそも理想の便ってどんな便!?
笠岡先生:黄褐色でバナナ状の便が、息まなくてもスルッと出るのが理想的です。たくさんの量が出れば、腸のぜん動運動が活発になっている証拠。便は、80パーセントは水分、残りは食物繊維、腸内細菌、大腸の粘膜がはがれたもので構成されています。
■ここでチェック! あなたの便はどのタイプ?
■タイプ1:コロコロ便
硬くて黒くウサギの糞のような便。便が腸内に長くとどまり、有害物質が増えてしまっています。
■タイプ2:ガチガチ細長便
細長い便が出る人は便のかさが足りていません。レジスタントスターチで便のかさ増しをしましょう。
※タイプ1、2は、腸内環境がやばい!
■タイプ3:ひび割れソーセージ便
ソーセージ状でも便にひび割れがある人は便がまだ硬めです。腸内環境を整えて、なめらかな便を目指しましょう。
※タイプ3は、まずまず!
■タイプ4:なめらかバナナ便
表面がなめらかで、太さもあり、スルッと出てくる柔らかい便が理想的です。この調子で腸活に励んでください!
※タイプ4は、絶好調!
■タイプ5:やわやわ便
便のかさはあるものの、形が崩れている人は、腸での水分吸収がよくない可能性も。暴飲暴食には気をつけましょう。
※タイプ5は、まずまず!
●タイプ6:ガチビシャ便
ガチガチ便とシャビシャビ便が同時に出る人は、腸内環境がかなり乱れています。今すぐ腸活を始めるようにしましょう。
■タイプ7:シャビシャビ便
腸で水分がほとんど吸収されていません。慢性的に起こる場合は腸の病気の可能性があるので注意してください。
※タイプ6,7は、腸内環境がやばい!
■腸活先生の解説! タイプ4の理想のなめらかバナナ便を目指すためには…
穀類やイモ類を主食としているアフリカの人たちは、1日に400〜800グラムも排便するそうです。日本人の平均は200グラムですから、すごい量ですね。
アフリカでは、動脈硬化や心臓病、大腸がん、糖尿病などの病気がほとんど見られないといいます。その理由は、レジスタントスターチや食物繊維の摂取量が多く、腸内環境が先進国の人たちより整っているからだと考えられています。
そこで便の量を増やすには、レジスタントスターチ(炭水化物を冷すとレジスタントスターチが倍増する)をたっぷり摂取することが大切なのです。便は大腸内の有害物質とともに作られていきます。
毎日の健康管理に、「便」の状態をチェックする事はとても大事。理想的な便が毎日出るようにレジスタントスターチを摂取してみてください!
■腸活先生に質問! レジスタントスターチを摂取するだけで、便秘も下痢もよくなるの?
笠岡先生:便秘になりやすい人は、そもそも便になる食物繊維が不足していたり、善玉菌の活動が弱い可能性があります。不溶性食物繊維と水溶性食物繊維両方の働きを持つレジスタントスターチの摂取によって、改善が期待できるでしょう。
下痢になりやすい人は、便秘同様、下痢も腸内環境が乱れて起きる不調です。大腸は、食べ物の水分を吸収して便を作っていきます。腸のぜん動運動がうまく働かず、水分を吸収する能力が下がると、便が固まらずに下痢になってしまいます。
レジスタントスターチは腸内細菌の「エサ」になり、エサを食べた腸内細菌は、酪酸などの短鎖脂肪酸を生み出すのです。実はこの短鎖脂肪酸は、腸の水分を吸収する働きにも関わっています。短鎖脂肪酸の量を増やすと、水分の吸収が正常化し、下痢を緩和させることができます。
レジスタントスターチは大きなウンチ作りに貢献し、腸にたまった老廃物や有害物質をすばやく体外に排出してくれます。また、レジスタントスターチには腸の中の便の有害度を下げるパワーまであります。
同じ量の有害物質が便の中にあった場合、仮に便の量が2倍になっていれば、それだけ便全体の有害物質の濃度は2分の1になります。体内の有害物質は、濃度が高いほど、からだに与える悪影響が大きくなってしまいます。レジスタントスターチは、腸の中にとどまっている便の有害度まで下げてくれているのです。
* * *
便秘になりやすい人も、下痢になりやすい人も炭水化物を冷まして食べてることによるレジスタントスターチ摂取で、改善が期待できるかも。気になる人はお試しあれ!
TOP画像/(c)Shutterstock.com
お話を伺ったのは… 文教大学健康栄養学部教授・笠岡誠一先生
1967年、広島県生まれ。文教大学健康栄養学部教授。管理栄養士。食品栄養学修士(東京農業大学)。博士(農学)(愛媛大学)。
山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、文教大学専任講師、アメリカ国立衛生研究所客員研究員を経て現職。専門分野は栄養生理学、食品化学。
レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。テレビや雑誌などメディアでの解説も多い。