私たちに深く関係のあるAYA世代のがんに対する考え方
Oggi世代といえば、だいたい20歳代から30歳代くらいの女性を指すのでしょうか? 今回は、皆さんにあまり馴染みのない言葉だと思いますが、AYA世代について書こうと思います。
◆AYA世代、ご存じですか?
世代と言っても色んな世代がありますよね。Oggi世代、平成世代、SMAP世代、などなど。
今回紹介する「AYA世代」は医学用語の1つで「思春期からアラフォーくらいの年齢層」を指します。すなわち、Adolescent(思春期) and Young Adult(若年成人)の頭文字をとって、AYA世代と書き、読み方は「アヤ」世代です。
いま、AYA世代におこる「がん」に対する取り組みが積極的に行われています。少しその理由などを紹介しようと思います。
◆人生設計に影響を与えるAYA世代のがん
AYA世代は、男女を問わず、思春期から40歳くらいまでを指しますので、Oggi世代はまさしくAYA世代です。これまでに何度か、「若い女性でも人ごとではない、がん」として乳がんや子宮頚がんなどを紹介してきました。
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最近、世界的にも、AYA世代に起こる「がん」に対する取り組みが重要視されています。AYA世代におこるがんは、白血病、脳腫瘍、リンパ腫、骨軟部腫瘍(骨肉腫など)、胚細胞腫瘍・性腺腫瘍、乳がん、子宮頚がん、などがあげられます。
難しい名前の「がん」もたくさんありますが、大きな特徴として、いわゆる「がん」として普段、耳にすることがあまりないような種類のがんが多いはず。AYA世代のがんは、その種類が特徴的なんです。
白血病や脳腫瘍、骨肉腫などは、子どもや、思春期、そして若年成人に男女を問わず多い「がん」です。AYA世代に起こる「がん」に対する取り組みが重要視される理由の1つは、治療方法や対応の仕方に高い専門性が求められることがあげられます。
たとえば、AYA世代の年齢について。15歳(思春期)から39歳(アラフォー)くらいの間では、人生のなかでどんなイベントがある時期でしょうか。進学、卒業、就職、結婚、妊娠・出産、子育て、など大きなイベントが目白押しの時期です。
この時期に「がん」になることで、命に関わる病気自体の治療に加えて、人生の計画を変更しなければならないという精神的なダメージや、その後の人生設計のケアも含めて総合的に対応していかなければならない、という考え方がいま急速に拡がっています。
思春期の子どもなどはまだまだ、精神的にも成長段階にあり、医療サイドも、本人家族を含めてのケアの重要性がいわれています。
今回は、AYA世代のがんを紹介することで、少し違った角度からOggi世代の女性の健康について考えてもらえればと思いました。AYA世代は人生で一番ダイナミックな変化のある時期でもあります。「がん」に限らずどんな病気にもならないよう健康でいられることが一番ですよね。
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国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長 増富健吉
1995年 金沢大学医学部卒業、2000年 医学博士。
2001年-2007年 ハーバード大学医学部Dana-Farber癌研究所。2007年より現職。
専門は、分子腫瘍学、RNA生物学および内科学。がん細胞の増殖と、コロナウイルスを含むRNAウイルスの増殖に共通の仕組みがあることを突き止めており、双方に効く治療薬の開発が可能かもしれないと考えている。
専門分野:分子腫瘍学、RNAウイルス学、RNAの生化学、内科学。
趣味:筋トレ