【目次】
・そもそも事実婚とは?
・事実婚のメリット
・事実婚のデメリット
そもそも事実婚とは?
入籍をせずに共同生活をすること
事実婚とは一般的に、「実質的には夫婦関係にありながらも、入籍をしていない状態のこと」を言います。
お互いに結婚の意思を持ちながら一緒に生活をしているものの、婚姻届は提出していない状態で、「内縁関係」とも言われるようです。
双方に結婚の意思があって生計をひとつに生活しているのを「事実婚」と呼ぶのに対し、単に恋人と一緒に暮らしているだけの状態は「同棲」。〝婚姻の意思〟が同棲との違いのひとつになるようです。
事実婚のメリット
夫婦別姓が可能
日本では現在、夫婦別姓が認められていないそうですが、事実婚なら姓の変更が不要なので、夫婦別姓が可能だそう。
株式会社Zaim代表取締役の閑歳孝子さんも、夫婦別姓をとるために事実婚を選択したひとり。
「結婚は夫婦別姓をとるため事実婚という形を選択しました。私の親は驚いていましたが、ありがたいことに、夫の両親はリベラルな方々で何も言わずに受け入れてくれて」(閑歳さん)
ただ、周りの戸惑いを考え、結婚式は挙げたのだそう。
「籍も入れず結婚式もしないとなると、周りの人がどう扱っていいかわからないかもと思い、翌年には結婚式を挙げました。大きな決断でしたが、住む場所が決まることで、ある意味、選択肢が絞られて楽になりましたね。将来どうなるかわからないからとあれこれ悩まなくていいし、リスクをとれるように」(閑歳さん)
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仕事への影響が少ない
名前が変わってしまうことで、仕事に大きく影響する女性もいます。生態学者の田邊優貴子さんは、仕事上不便になることを避けるため、事実婚を選んだそうです。
「動物学者の夫とは事実婚です。ずっとこの名前で生きてきて、名前が変わるのは仕事上も不便ですし、お互い働いていてどちらが扶養するわけでもないので入籍のメリットが感じられないなと。ふたりとも海外にいる期間が長く、1年半以上会えなかったこともあるくらい(笑)。理解があって研究にも自由に集中できますね」(田邊さん)
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法律婚と同じような行政サービスも得られる
イラストレーターの水谷さるころさんも、過去にした法律婚により仕事に影響があった一人。
「最初は『仕事と家事を両立している私って素敵な奥さん、ふふふ♡』と、自分に酔ってすらいました」(水谷さん)
しかし少しずつ、夫や周囲の人だけでなく、自分自身でも〝妻はこうあるべき〟という姿に縛られてしまっていたよう。
「私が結婚したくて結婚した手前、『家事をするのはあたりまえ』みたいになってしまって、この先、一生、自分は助けてもらえないと不安になりました。一緒に子育てするイメージもできなくて…。私がフリーランスだからかもしれませんが、仕事先から『結婚されたからお仕事はセーブされるのかな、と思って』と言われて仕事が減ったり、イラスト料が減ったりしたこともショックでした」(水谷さん)
こういった不満が募り最終的には離婚。現在のパートナーとは事実婚というスタイルを選んでいるそうですが、行政サービスや権利は法律婚と同じように得られていると言います。
「もう法律婚はこりごりです。好きな人と一緒に生きてはいきたいけれど、それならもっと自由な事実婚でいい。ちなみに事実婚でも住民票をパートナーと一緒にすれば法律婚とほぼ同じ行政サービスや権利は得られます。子育て中ですが、困っていることは今のところないですよ」(水谷さん)
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事実婚のデメリット
子供が生まれたときの手続きが多い
事実婚の状態で子供が生まれた場合、男性側に認知届を提出してもらわないと、父親だと認めてもらえないのだそう。
「お互いがパートナーだと認め合っていれば事実婚という形でもいいと思います。でも、子供が産まれたときに、相手に認知届を提出してもらわないと父親と認めてもらえないというのは寂しい。やはり、子育てには親や周囲の理解もあったほうがいいですし、子育てするには、結婚をしていないと… と思います」(32歳/アパレル販売)
こういったことから、子供ができたタイミングで法律婚に切り替える人もいるようです。
配偶者控除や扶養家族手当が認められない可能性がある
弁護士の松葉優子さんによると、事実婚を選択した場合、以下のデメリットが。
「事実婚を選択した場合、配偶者控除が受けられない、扶養家族手当が認められない可能性がある等のデメリットがあります」(松葉さん)
家族の絆が薄まる、という声も
事実婚や夫婦別姓などの問題点として、「家族の絆が薄まるのでは?」と問題視する声もあるようで、中には「不倫が増える」などと主張する人もいるのだとか。
しかし、そのような声が上がったり、まだまだ手間のかかる問題があったりしても、個人の生き方を尊重したい人や、夫婦関係を対等に維持したい人には、事実婚は良い選択なのかもしれません。
お互いにメリットの多い結婚のカタチを見つけられれば良いのではないでしょうか。