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2018.05.20

Zaim開発者【閑歳孝子】インタビュー|「人生で何に時間を使って、 誰を大切にするかは自分の満足を大事に」

会社員として働きながら、個人でオンライン家計簿サービス『Zaim』を開発し、経営者となった閑歳(かんさい)孝子さんにお話をうかがいました。

【閑歳(かんさい)孝子】さん独占インタビュー

家を買うと決めたことで、転職も起業もリスクをとれる人生の基盤ができた

家を買うことを決めたのが27歳のころ、出合いは本当に偶然でした。当時の彼で今の夫と映画を観に行ったら上映まで時間があいてしまって、たまたまマンションのモデルルームが近くにあったので見学してみようと。そうしたらふたりとも気に入って、後日、希望の間取りにも空きが出たんです。

私自身は最初から家を買う気で探していたら、何百件と延々検索してしまうタイプですが、夫は逆にインスピレーションを大事にする感覚派。このときばかりはトントン拍子で決められて不思議でしたね。

ただ、パートナーと共同名義でマンションを買うには、婚約が必須。親には何も伝えていなかったので、ゴールデンウイークの1日目に電話して急きょお互いの実家に挨拶をしに行き、3日目には両家の顔合わせをして、4日目には婚約証明書を提出しに行く事態に(笑)。結婚は夫婦別姓をとるため事実婚という形を選択しました。私の親は驚いていましたが、ありがたいことに、夫の両親はリベラルな方々で何も言わずに受け入れてくれて。

とはいえ、籍も入れず結婚式もしないとなると、周りの人がどう扱っていいかわからないかもと思い、翌年には結婚式を挙げました。大きな決断でしたが、住む場所が決まることで、ある意味、選択肢が絞られて楽になりましたね。将来どうなるかわからないからとあれこれ悩まなくていいし、リスクをとれるように。

30代以降に向けて、基盤ができたような感覚でした。

閑歳(かんさい)孝子

二度の転職を経て…

今の仕事につながるプログラミングの勉強を始め、エンジニアとして創業間もないユーザーローカルに転職したのもこの時期。実は2度目の転職で、新卒で入った日経BPで記者を3年半経験した後、WEB系のベンチャー企業に転職しています。日経BPを辞めるときはすごく怖かったのですが、一度転職してしまうと守るべきものがないというか、どこに行っても大丈夫だなと思えたんです。

家計簿アプリ『Zaim』は、この3社目で働きながら個人で作りました。会社のお金で作ると、何事も自分で判断できない。当時はプログラミングがまずまずできるようになっていたので、ほかの人の手を煩わせずにひとりで完結できるんじゃないかと。成功も不成功も自分で決められるし、サーバー代がちょっとかかるくらいでリスクは意外と少ないんです。ただ、とにかく忙しかったですね(笑)。

会社も好きだしもちろん手は抜けない。業務外の時間はすべて『Zaim』の開発・運営・ユーザーサポートに注いでいたので、休みという概念がなくて。独立して法人化してからも休めるようになったのはこの1、2年くらいでしょうか。やっと組織としてまわっているなと感じられるようになってきました。

家計簿アプリ『Zaim』

根底には、人それぞれのお金の使い方が楽しめるようになるといいという思い

7年続けてきて起業の大変さは、段階によって種類が違うんだなという実感も。少人数でやっていた当初は、自分が倒れたらこのサービスが止まるなとか、一日も休めないというプレッシャーが大きかったですね。

広告を積極的に入れて利益を出すよりサービスを育てよう、という期間が長かったので、そもそも売上が上がらない。ちゃんと食べられるようになるのか、ユーザー数が増えるのか、心配はありました。

事業が拡大してスタッフが増えてくると、人の配置やモチベーションを上げる方法、会社の方向性を考える機会が増えています。元々はひとりで作ったアプリ。拡大していく過程でどの程度メンバーに権限移譲するのか、どこまで自分が見るのか、責任と自由は一体だと思うので任せるバランスは難しい課題だなと。現在は、子育てや移住などさまざまな事情でリモートワークのメンバーもいます。

私たちのサービスの根底には、多様な人生があって、人それぞれのお金の使い方が楽しめるようになるといいなという思いがあるので、スタッフのライフスタイルの変化も受け入れられる会社でありたいですね。

閑歳(かんさい)孝子

自分がどういうときに喜びを感じるのかが大切

私の原点は、大学時代の恩師・佐藤雅彦さんの「作り方を作る」という言葉。作り方が新しければ、自ずとできたものも新しい、という教えです。3社目の社長・伊藤将雄さんには、根本からユーザー視点に立つことを学びました。300万円あったら車を買う人もいるだろうけど、サーバーを買えば10万人単位の人にサービスを提供できる…というような発想をする方です。

今ってAIやビッグデータなどいろいろな技術がありますが、ユーザーさんから見れば、最新技術を使えばいいわけではなく、見せ方や味付けに親しみやすさや使いやすさを感じるもの。難しいことはわかりやすく、緻密さや正確さの追求より使った人の気持ちが高まることに重きを置いています。

会社員時代も今も「人の役に立つものを作りたい」というのが原動力。好きなことを突き詰めて仕事にされた方のお話は世に出やすいと思うんですが、若い方と話していると「自分も好きなことを見つけなきゃ」と強迫観念がある風潮も。でも、そこまで好きなものがある人ばかりではないし、「目の前の人が喜んでくれる」とか、「このメンバーが好き」とか、そういうモチベーションだっていい。

人生で何に時間を使って、だれを大切にしたのかは自分の満足なので、他人にどう思われるかを気にしたり、比較しないほうがいいんじゃないかな。そう気づいたのは、私も30代に入ってからです。

身近な仕事仲間には、すごく優秀で会社で重役に就いていながら、「家族が大事」と地方で奥さんが始めるお菓子屋さんを手伝うためにあっさり辞めた人もいて、素敵な価値観だなと。

仕事で人生充実させなきゃ…というのは間違いではないと思うのですが、全員が同じ方向を向いて競争するものではない。自分がどういうときに喜びを感じるのか見つめ直してみると、30代を焦らないで迎えられるんじゃないかなと思います。


Oggi4月号「The Turning Point〜私が『決断』したとき」より
撮影/石田祥平 構成/佐藤久美子
再構成/Oggi.jp編集部

かんさいたかこ

株式会社Zaim代表取締役。1979年、大阪府生まれ。慶應義塾大学卒業後、日経BPで記者・編集業務を3年半経験。その後ITベンチャー企業のディレクターに転身し、並行してプログラミングを独学。2008年、ユーザーローカルに入社。業務外の時間に個人で家計簿アプリ『Zaim』を開発し、2011年リリース。2012年に会社化して現職。700万ダウンロードを超えるサービスに育てる。

700万ダウンロードを超えた日本最大級の家計簿アプリ『Zaim』

閑歳さんが開発を手がける『Zaim』は、スマホからのレシート自動読み取り機能付き。また、銀行やクレジットカードのWeb明細を自動で取得できるので、資産管理も簡単に。分析グラフやバランス診断で家計簿を見直せば、節約・貯金に役立つはず。給付金や特売情報も教えてくれる。


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