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「闇堕ち」ってどんな意味?
あなたは「闇堕ち」という言葉を聞いたことがありますか? 普段からアニメや漫画を読む人は、聞き覚えのある言葉ですよね。
「闇堕ち」とは「正義を信条として生きてきた登場人物が、ある出来事をきっかけに悪の立場に変化すること」を指す言葉です。「闇落ち」と表記されることもありますよ。
普段アニメや漫画を読まない人には、想像がつきにくいかもしれませんね。そんな方にも理解しやすい例えがあります。
何か凶悪事件が起こったときに、ニュースで現場地域や当事者の地元でインタビューが行われていることがありますよね。そんな時、容疑者の知人が「あの心優しい人が、まさかあんな事件を起こすなんて…」といった話をしているのを、聞いたことがあると思います。これも「闇堕ち」の1ケースと考えられます。
作品の中で、「闇堕ち」するキャラクターの多くはいくつかの共通点があります。それは、「闇堕ち」する以前から、何らかの負の感情を持っているということ。
その中でも多いのが、「劣等感」や「憎しみ」です。これらの負の感情が爆発したときに、本人の意思で悪役へと転じ、主人公と対立する側に寝返ることによって「闇堕ち」となります。
「闇堕ち」キャラ・漫画・アニメとは? 有名なものをチェック
金木研(カネキケン)『東京喰種トーキョーグール』
「東京喰種トーキョーグール」はアニメ・実写映画にもなった漫画です。この漫画の主人公である「金木研」は、冒頭で「喰種(グール)」と呼ばれる人食いに捕食されかけた時、事故に巻き込まれます。移植手術を受けた結果、人でありながら「喰種」の内蔵を得た「半喰種」に。
初めは「喰種」としての本能に嫌悪感を抱いていたものの、物語の後半に、ある「喰種」から執拗な拷問を受けます。自問自答の末、「喰種」としての凶暴性を自覚。
自身の正体が「喰種」であると悟り、闇堕ち。姿と性格が変貌します。それにより、黒かった髪は白くなり、「優しさ」「甘さ」があった性格が凶暴かつ残忍な性格になりました。
うちはサスケ『NARUTO』
『NARUTO』は、『週刊少年ジャンプ』で長期連載をしていた国民的漫画です。読んだことがなくても、名前や主人公は知っている、という方は多いかもしれませんね。
この『NARUTO』に登場をする「うちはサスケ」は仲間であったものの、闇堕ちしてしまったキャラクターの中でも代表的なキャラクターです。
「うちはサスケ」は実兄に一家全員を殺されたという過去を持ち、復讐のために強くなりたいと公言するキャラクター。物語の序盤では、主人公の「うずまきナルト」と同じチームに属した仲間兼ライバルでした。チームとの交流により、実兄に対する復讐心は徐々に見えなくなっていきます。
しかしながら、落ちこぼれであった「うずまきナルト」がどんどん成長していく姿に敵愾心(てきがいしん)を抱き始め、ついには「闇堕ち」してしまいます。
「闇堕ち」後は以前にも増して冷酷な性格へ。その後、実兄が一家全員を抹殺した経緯や真実を知ります。その結果、復讐心を自分たちの生まれ育った里へ向けるようになり、敵対組織へ加盟するなど、里にとって危険人物となりました。
しかしながら、物語の最後には「うずまきナルト」と向かい合ったことにより改心します。この「うちはサスケ」が改心をした話は特に人気があり、『週刊少年ジャンプ』で掲載された号は多くの書店が完売するほどでした。
ダース・ベイダー『スター・ウォーズ』
世界で最も有名な闇落ちキャラ、といえば映画『スター・ウォーズ』シリーズに出てくる漆黒の仮面の男、ダース・ベイダーではないでしょうか? シリーズ初期のエピソード4〜6では強大なボスとしての存在感を示していた彼が、エピソード1〜3へとストーリーが進むにつれて、その正体と悲しい過去が明らかになっていき、映画公開当時、世界中で多くの驚きを持って迎えられました。
光→闇への転身という物語という意味でも、その真っ黒なビジュアルという意味でも、闇堕ちという言葉そのものを体現している存在と言えそうです。
グリフィス『ベルセルク』
世界でのコミック累計発行部数が5,500万部を超え(2022年)、今もなお世界中を熱狂させる不朽のダーク・ファンタジー作品『ベルセルク』。2021年、著者の三浦健太郎氏が54歳という若さで亡くなり、未完の大作になってしまうことに世界中のファンが悲しみに暮れた本作品。盟友である漫画家・森恒二氏の監修の元、お弟子さんが集うスタジオ「スタジオ我画」が制作する形で、2022年に連載が再開されています。
そんな本作がファンを惹きつけてやまない理由のひとつが、主人公ガッツの”相方”的存在として登場した貴公子・グリフィスの闇堕ち。それも、ガッツや自分の配下である鷹の団の仲間全ての命を闇の存在に捧げて、闇の貴公子として転生する、という強烈なものでした。そこに至るまでの鷹の団の友情物語が美しかっただけに、このエピソードの絶望感に多くの読者が度肝を抜かれました。「闇堕ちしたキャラランキング」を取ったらグリフィスは1位、2位に入ることは確実なキャラクターと言えそうです。
キラ・ヤマト『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』
2002年にテレビで放送され、今までガンダムを観てこなかった人たちにも大きな反響を巻き起こしたガンダムシリーズ『機動戦士ガンダムSEED』。続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』も放送され、その更なる続編として、2006年に劇場版の制作が発表されました。しかしながらその後続報はなく、長い雌伏の時を経て、2024年1月に劇場公開されることになった『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』は、多くのファンに「待ってました!」と現在、公開が待ち望まれる作品となっています。
そして、こちらの予告動画に、主人公のキラ・ヤマトに対して「闇に落ちろ、キラ・ヤマト」という敵役と思しき人物からのセリフと追い込まれたキラの状況が描写されたため、瞬く間に「キラが闇堕ち!?」と言ったような話題がXなどのSNSで拡散。長い戦いを経てきた主人公が闇堕ちしてしまうのではないか、という期待?や不安が入り混じった声が、多く囁かれています。
そのため、主人公のキラさんはまだ闇堕ちしたわけではないですが、それが期待?されているという状態。2024年1月26日の劇場公開が待ち遠しいですね。
「闇堕ち」の使い方をチェック
「まさかこのキャラが、こんな闇堕ちしそうな過去を持っていたなんて…」
「正義側にいたキャラクターが悪役へ寝返るほどの深い事情や出来事」を表すときに、「闇堕ち」という言葉が使われます。「闇堕ち」しそうと言われるキャラクターであっても、確実に「闇堕ち」するとは限りません。また、物語によっては「闇堕ち」していながらも、敵対勢力へ寝返らないこともあります。
「彼が闇堕ちしたことにより、物語は転機を迎えた」
主要キャラクターの「闇堕ち」は、物語の大きな転換期として読者の中で重要視されます。そして、「闇堕ち」があったことにより、物語が大きく動くことも。そのため、「闇堕ち」する展開は熱く語られることが多いです。
「闇堕ち」の類語はどんなものがある?
「悪堕ち」
「闇堕ち」の類語として最も挙げられやすいのが、「悪堕ち」です。「闇堕ち」と同様に、アニメや漫画などの文学作品に対して使われることから、連想しやすいのでしょうね。
この「悪堕ち」と「闇堕ち」の違いは、悪へ転ずる原因にあります。「闇堕ち」は何かのきっかけにより、自らの意志で悪へ転ずること。対して「悪堕ち」は、キャラクターの持つ感情に関係なく、悪役や敵側に強制的に転じさせられることです。
「元々善人だった人が悪役に捕まり、洗脳などが行われた結果、悪役になった」、こうした場合は「悪堕ち」となります。
「闇堕ち」の対義語はどのような物がある?
「光堕ち」
「光堕ち」は、「闇堕ち」と正反対の意味を持つ言葉です。「光堕ち」とは、「悪の立場であった人が何らかのきっかけにより善の心を持ち、善人キャラクターへ転ずること」。
「闇堕ち」と同様に、元々敵対していたキャラクターが「光堕ち」し、主人公と共闘をするようなシーンは「胸熱展開」と呼ばれ、とても人気がありますよ。
「改心」
「改心」は、「悪の心を持っていた人物が、自分のことを見つめ直し、気持ちを改めること」を指す言葉です。前述の「光堕ち」も、この「改心」により起こります。
物語の中では「今後は主人公の味方として登場するようなキャラクター」を「光堕ち」、「善の心を持ったものの、今後も登場するようなキャラクターではない」場合を「改心した」と区別することがあります。
最後に
「闇堕ち」についていかがだったでしょうか? 最近は物語の展開として「闇堕ち」が採用されることが多く、「闇堕ちするまでがテンプレート」と言われることもあります。
反対に、「闇堕ち」は多くの作品で多用されるほどに、作品を盛り上げることのできる要素であるとも言えますね。もちろん「闇堕ち」をして喜ばれるのは、物語の中だけです。何か嫌なことがあったとしても、実生活では「闇堕ち」をしないように注意をしたいですね。
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