感染症の可能性も! デリケートゾーンかゆみや痛みの原因と症状
以前、『「かゆみ・においが気になる…」聞きたいけど聞けない生理中の悩みを解決!』では生理中のかゆみの原因(蒸れや摩擦)についてお話しました。
しかし、女性のデリケートゾーンは生理以外の時にもかゆみや痛みなどのトラブルを伴うことがあります。
今回は、デリケートゾーンにかゆみや痛みがおこってしまう原因について症状を詳しくみていきましょう。
◆デリケートゾーンのかゆみの原因は大きく分けて2つ
デリケートゾーンのかゆみの原因は、大きく分けて「かぶれ」と「感染症」の2つがあります。
かぶれは下着による締め付けや、ナプキンなどとの接触、蒸れなどによっておこります。一方で、感染症によるかゆみは、陰部が細菌・ウイルス・カビなどの病原体に感染することで起こります。デリケートゾーンは体の他の部位に比べて皮膚が粘膜に近く、高温・多湿な環境にあることから、細菌やウイルスが繁殖しやすくなってしまうのです。
ここからはかぶれ・感染症それぞれの原因・症状を詳しくみていきましょう。
◆かぶれによるかゆみ… ナプキンだけではなかった!
かぶれは正式には接触皮膚炎といい、何かの物質が皮膚に接触したときの強い刺激やアレルギー反応によって炎症が起こり、かゆみを伴う湿疹ができます。
性器の場合は、ナプキンやおりものシート、下着等による刺激によって、かぶれがおこります。また、コンドームが合わずにアレルギー反応を起こし、かぶれになることもあります。
デリケートゾーンのかゆみの原因がかぶれの場合、性器表面が全体的に炎症を起こし、かゆみを引き起こします。
かゆみだけではなく水泡ができたり、おりものに異変が起こったりする場合には、次にご紹介する「感染症」の可能性も考えてみましょう。
◆かぶれを伴う感染症… どんなものがある?
デリケートゾーンのかゆみは、陰部に特異的に発症する病気によって引き起こされることもあります。ここでは代表的な病気の症状を詳しくみていきましょう。
〈膣カンジダ症〉
腟カンジダは、腟の中にいるカンジダ菌が増殖する病気です。代表的な症状としては外陰部のかゆみや腫れ、酒粕やカッテージチーズ状のポロポロとしたおりものがあげられます。
〈性感染症〉
・性器ヘルペス
性器ヘルペスは「単純ヘルペス」というウイルスによる感染症です。症状としては性器に強い痛みが出たり、水泡、潰瘍(ただれ)ができたりします。特に性器ヘルペスにはじめてかかった方は症状が強く出る傾向にあり、全身の倦怠感や発熱・リンパ節の腫れを引き起こす人もいます。
・性器クラミジア
性器クラミジアは「クラミジア・トラコマティス」という細菌による感染症です。症状としては、女性の場合、感染しても症状が全く出ない方が多く、ごく一部の方は尿道が痛い、かゆい、ムズムズする、違和感があるなどの症状を自覚される方もいらっしゃいます。
参考記事:性感染症「クラミジア」性交渉がなくても感染する? 症状は?【医師監修】
・膣トリコモナス症
膣トリコモナス症は「膣トリコモナス」という原虫(単細胞の微生物)による感染症です。女性では悪臭のあるおりものの増加や激しいかゆみなどの症状が起こります。
〈細菌性膣症〉
細菌性膣症は、陰部から検出されることが多い病原体(大腸菌・黄色ブドウ球菌など)が活発に作用して腟や陰部に炎症を引き起こす病気です。症状としては悪臭のある水っぽいおりものや陰部のただれや痛み・かゆみなどがあげられます。
かぶれや膣カンジダによるかゆみ・痛みの場合、市販薬によって症状が改善される場合もありますが、性器ヘルペスなどの性感染症や細菌性膣症の場合、市販薬は販売されていません。また、下着によるかぶれかな? と思っていたら、検査を受けて初めて性感染症や細菌性膣症であることがわかった… という場合もあります。
デリケートゾーンのかゆみや痛みを感じた場合にはかかりつけの医師に相談されることをおすすめします。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。
東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。
監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。