「シンパシー」の意味とは?
日常会話でも耳にする機会のある「シンパシー」は、英語の「sympathy」が語源の外来語です。正しい意味や由来を解説します。
シンパシーの意味や語源
「シンパシー」とは「思いやり」「同情」「共感」「哀れみ」などを意味し、英語の「sympathy」が語源のカタカナ語、外来語です。ちなみに英語の「sympathy」はギリシャ語の「syn(共に)」と「pathos(苦しむ)」の2つを組み合わせて出来た言葉です。
語源となったギリシャ語は「共に苦しむ」という意味で、「同情」や「哀れみ」を連想させ、相手が悲しいときや苦しいとき、辛いときなど、相手がネガティブな状況であるときに思いやる気持ちで使われる言葉なのです。
しかし、日本の風潮では自分の価値観で相手を不幸だと決めつけて同情したり、哀れむことが失礼な場合がありますよね。そのためか、日本ではネガティブなニュアンスだけでなく、相手の考えや思いに「共感する」ときや「自分も同じ考えである」ことを伝えるときに使われる事が多いようです。
間違いやすい「テレパシー」との違い
「シンパシー」と聞いて、それって「テレパシー」のこと? なんて思った方はいませんか? 「テレパシー」の意味は五感(視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚)を使わずに心のうちを他者に伝達する「遠隔精神反応」のことです。
「遠隔精神反応」というとピンときませんが、言わば「超感覚的知覚」や「超能力」の一種です。実は「telepathy(テレパシー)」も語源はギリシャ語で、「tele(遠隔)」と「pathy(感覚)」を組み合わせて出来た言葉だと言われています。
元々は「thought-transference(思考転写)」という言葉を使って表現していたそうですが、1882年に超能力について研究していたアメリカの大学教授によって「telepathy」という言葉が作られたのだそう。
シンパシーの正しい使い方を例文で紹介
言葉の意味や語源をふまえて「シンパシー」の正しい使い方を紹介しましょう。
「昨日見た映画の主人公にシンパシーを感じたわ」
映画で感動の結末を迎えた主人公に「シンパシーを感じた」というと、「同情した」や「共感した」と言うより、より深く思いを込めた感じに聞こえます。小説や舞台なども、感動を伝えたいときに使える表現ですね。
「○○さんと話をすると共通点が多かったから、なんだかシンパシーをおぼえたよ」
誰かの話を聞いていて「私も同じなの!」と人と共感することってありますよね。 「この人とは、なんだか気が合う」と思ったときに是非使ってみてください。
「最愛の人を亡くした彼女にシンパシーを抱く」
「シンパシー」には「弔慰」という意味もあります。亡くなった方を弔い、遺族を慰める気持ちを表す言葉としても使うことができます。大事な場面で礼儀やマナーを重んじる日本では、使う場面は少ないかもしれません。これはどちらかというと英語圏的な使い方です。
シンパシーの類義語・対義語
「シンパシー」はカタカナ語なので、書面や年配の方に使うと意味が伝わりにくいことがあります。「シンパシー」の類義語をいくつかあげてみましょう。反対の意味になる対義語も紹介します。
「同調」
「同調」とは「他者に調子を合わせること」「調子が同じであること」です。誰かの考えや提案に対して、自分も同じ意見であるときに「同調する」と言います。
「意気投合」
「意気投合」とは「お互いの気持ちが一致すること」。どちらかが相手の意見や考えに同調するのではなく、はじめから同じ意見であった場合や同じ考えであったときに「意気投合する」と言います。
「反感」、「反発」
「シンパシー」の対義語は「反感」や「反発」があげられます。相手に対し不快感を感じ、逆らう気持ちを意味する言葉です。英語では「antipathy(アンティパシー)」や「dislike(ディスライク)」です。
英語圏でのシンパシーのニュアンスについて
冒頭で少し説明しましたが「sympathy」は本来ネガティブな状況で使います。実際に英語圏で「シンパシー」が最も使われるのは「お悔み」をはじめ、なにか悲しく辛い出来事があったときでしょう。
例えば事故に遭ったり、思わぬトラブルが起こり怪我を負ったときなどです。相手を気の毒に思い同情する気持ちを「sympathy」を使って表現します。少しだけ例文を紹介します。
「I feel sympathy for earthquake victims」
(地震の被害に遭われた方々にお悔やみとお見舞いを申し上げます。)
「You have my deepest sympathy」
(お悔やみ申し上げます。)
英語圏では「sympathy」を使う事は稀で、相手の意見や考えに共感・同調する際は「I agree with you」や「I feel you」などが一般的な表現です。日本で使うように英語圏で「sympathy」を使うと相手を困らせてしまう可能性があるので、ご注意を。
最後に
「シンパシー」の意味や正しい使い方、英語圏とのニュアンスの違いなどを解説しました。日本では主に「相手に共感し理解する」といったニュアンスで使われますが、本来の意味は「同情」や「お悔やみ」など、相手を思いやる言葉です。海外に行った際や外国の方と話すときは気をつけましょう。
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