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退職の挨拶メールが届いた…。どう返信するのが正解?
お世話になったかつての上司や同僚、取引先から退職の挨拶メールやビジネスチャットが届いたら、どう返信したらよいのでしょうか? せっかくですから、感謝の気持ちや心遣いが伝わるメールを送りたいですよね。
今回は「一斉メールにも必ず返信すべき?」「相手に聞いてはいけないことは?」など、返信する際のマナーについても解説していきます。
【基本編】退職の挨拶へのメール返信
そもそも返信すべきかどうか
社内の場合はとくに、一斉メールやチャットで退職の挨拶が送られてきて、実はその人のことをよく知らないというケースもあるかと思います。返信すべきか悩むところですが、基本的には、個人のアドレスにメールが届いた場合は、返信するのがマナー。
社外の人から個人宛にメールが届いた場合も同様です。社外の人から「部署全体へ」という場合は返信は必須ではありません。ただ、今後も相手とのつながりや企業間の関係が続きそうな場合は、返信しておく方が良いでしょう。
また、個人的に親しい間柄だった場合や、お世話になっていた場合は、メールが届く前に本人から退職の話を聞かされているかもしれませんが、メールも返信した上で、直接または電話などで改めて挨拶することもあるでしょう。
いつ返信した方がいいか
社内への退職メールは、退職者の最終出勤日にメールが送られてくることも多いため、タイミングを逃すと、せっかく心を込めて書いたメールも読まれない恐れがあります。退職の挨拶メールが届いたら、できるだけ早く(当日中に)返信するよう心がけましょう。
社外の人からは、多少の余裕を持って挨拶メールが送られてくる場合が多いものですが、引継ぎや有給消化などで忙しくしている可能性もあります。こちらも相手の負担にならないよう、退職の挨拶メールにはできるだけ早く返信しましょう。
件名はどうするのがいいか
退職者の挨拶メールの件名は「退職のご挨拶」「退職のお知らせ」などが一般的です。返信の件名は奇をてらう必要はないので、Re:をつけたままにするか、「退職のご連絡ありがとうございます」「お礼にて」などといった、オーソドックスな件名が良いでしょう。
どのような内容を記載したらいいか
基本的な文面は以下の3つの要素で構成されています。
(1)退職の挨拶を受けたことへのお礼の言葉
(2)在職中の業績を称える言葉や、お世話になったことへの感謝の言葉
(3)新しい環境での活躍や相手の健康を祈る言葉
親しい間柄であれば、(2)のパートに、共に過ごした思い出のエピソードや、辞めてしまうことへの名残惜しい気持ちなどを入れても構いません。ただし定年退職の場合は、主に目上のかたへ向けていますから、「称える・ねぎらう」という行為は失礼になりかねません。そのような場合には、お世話になった事例へのお礼に重きをおくようにしましょう。
なるべく避けたい返信内容について
退職の理由は人それぞれです。挨拶メールに退職の理由や(転職が理由で退職する場合は)転職先などが書かれていない場合は、こちらから詮索するようなことは控え、あくまで今後を気遣う言葉で送り出すと良いでしょう。
またプライベートな内容も避けた方が無難です。うっかり退職日以降に送ってしまった場合、会社のPC管理者がメールを閲覧する可能性もあるからです。相手に迷惑をかけないためにも、人に知られたくないような深い話は普段から会社のPCメールではなく、プライベートでやり取りするようにしましょう。
【社内・同僚編】退職の挨拶へのメール返信
共通の思い出を具体的に表現する
同僚であれば、共に過ごした数々の思い出があるもの。当時の苦労話や笑い話など具体的な一コマを交えながら、相手の業績や存在の大きさ、感謝の思いを伝えましょう。
気の利いた例文
○○○○様
お疲れ様です。
お忙しいところ退職のご挨拶をいただき、ありがとうございます。
○○さんとは同じプロジェクトチームとして、多くの時間を過ごさせていただきました。
壁にぶつかるたびに、いつも○○さんのとびきりのアイディアと、“なんとかなるよ!”という力強い
言葉や笑顔に助けられてきました。これまで頑張ってこられたのは○○さんのおかげです。
○○さんとともに仕事ができたこと、本当に感謝しています。
●年間、どうもありがとうございました。
お顔が見えなくなるのは寂しくなりますが、新天地でのご活躍をお祈りしております。
くれぐれもお体に気をつけてくださいね。
△△△△
NG例文
○○○○様
お疲れ様です!
退職と聞き、ブルータス、お前もかって感じです(笑)。
いつのまに? 水くさいですよー(笑)。
ヘッドハンティングだったんですか?
○○さんと言えば、3年前の酔っ払い事件。あの時は部長も巻き込んで本当に大変でしたねー(苦笑)。
でも、そんな伝説の男がいなくなるのは寂しくなります(笑)。
お誘いはいつでも!
転職先の男子たちと合コンセッティングしてくださいね!
△△△△
NGワード
将来の不安を煽るような言葉。
(例)「これから大変だとは思いますが頑張ってください!」
嫌な過去に触れること。
(例)「みんなを巻き込んだ3年前の酔っ払い事件は忘れられません(笑)」
家族や第三者が見て不審、不快に思うことや馴れ馴れしい言葉。
(例)「またあのお店、連れて行ってくださいね♪」
【社内・上司編】退職の挨拶へのメール返信
お世話になったエピソードを交えて
相手を褒めたいという気持ち自体は決して悪いことではありませんが、「称える・ねぎらう」といった行為は、目上に対しては失礼になる恐れもあります。その場合は、これまでお世話になったことに対しての、感謝の言葉に換えて述べると良いでしょう。
気の利いた例文
○○○○部長
このたびはお忙しいところ、ご丁寧な退職のご挨拶をいただきまして、まことにありがとうございます。 退職なさるというお話は以前から伺っておりましたが、いざこうしてメールを拝見し、その日を迎えるとなりますと、寂しい気持ちが募ってまいります。
○○部長には、本当に多くのことをお教えいただきました。仕事で悩んでいた時にはさりげなく飲みに連れて行ってくださったことや励ましていただいたお言葉など、今思い起こしましてもありがたく、ただただ感謝申し上げます。
これまでお教えいただいた業務、お心を、これからも大切に引き継いでまいりたいと存じます。
退職なさっても、皆さんに頼られたりきっと何かとお忙しい毎日と存じますが、どうぞお体大切に
お過ごしくださいませ。
〇年間、本当にありがとうございました。
御礼にて失礼いたします。
△△△△
NG例文
○○○○部長
この度は退職の連絡ありがとうございます。
正直、○○部長がもうそんな歳だと知って驚いています。
37年間、本当にご苦労様でした!!!
まだまだお若いのですから、家にこもったりせずにアクティブに過ごしてくださいね!
これからも頑張ってください!
△△△△
NGワード
上から目線の偉そうな言葉。
(例)「これからも頑張ってください!」
「長い間、ご苦労様です」
年寄り扱いするような失礼な言葉。
(例)「そんな歳だとは知りませんでした」
「家にこもったりせずにアクティブに過ごしてください」
【取引先編】退職の挨拶へのメール返信
丁寧な表現を心がけて
社外の取引先の場合は、まずは退職の挨拶をいただいたことへのお礼と取引先として、これまでお世話になったことへの感謝を伝えます。そして、後任の方への引継ぎや今後のお付き合いといった項目も含まれてきますので、丁寧な表現を心がけましょう。
気の利いた例文
株式会社○○○
○○部
○○○○様
平素は格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。
株式会社△△△ △△△部の△△△でございます。
このたびはお忙しいなかにもかかわらず、ご丁重な退職のご挨拶をいただきまして、
まこと恐れ入ります。
○○様には長きにわたりたいへんお世話になりました。□□のイベント折など、たびたびご無理を申し上げましたが、そのつど適切にご対処いただきましたこと、感謝にたえません。
○○様とご一緒させていただいた貴重な時間は、私にとってかけがえのない経験となりました。
御厚意の数々に改めて御礼申し上げます。
引き続きお力添えをお願い申し上げますとともに、○○様のますますのご活躍をお祈り申し上げます。略儀ながら、御礼にて失礼いたします。
株式会社△△△
△△△部 △△△
NG例文
株式会社○○○
○○部 ○○○○様
平素はお世話になっております。
株式会社△△△ △△△部の△△△です。
このたびはご丁寧に退職のご挨拶をいただき、誠にありがとうございます。
お知らせいただき、正直驚きました。
ということは…後任は□□さんになりますか?
○○さんとはウマが合うというか、本当に楽しく仕事をさせていただいてきましたので、□□さんとそういう関係が築けるか…すでに不安です(苦笑)。
せっかくですので、転職祝いを兼ねて一杯いかがでしょう?
ぜひオフレコ話もたくさんいたしましょう!(笑)
ご連絡お待ちしています!
株式会社△△△
△△△部 △△△
NGワード
相手を上げようとするばかり、相手の同僚を下げてしまう言葉。
(例)「○○さんとは本当に楽しく仕事をさせていただいてきましたので、後任の□□さんとそういう関係が築けるか既に不安です(笑)」
プライベートを聞き出そうとすること。
(例)「オフレコ話もたくさんしましょう!」
退職の挨拶メールが届いたら、上記のポイントを参考に、これまでお世話になったことへの感謝の気持ちをメールにしたためましょう。
監修/井上明美(ビジネスマナー・敬語講師)
参考資料/
『パーフェクトマニュアル 最新 手紙・メールのマナーQ&A事典』(小学館)
『敬語使いこなしパーフェクトマニュアル』(小学館)
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