目次Contents
【退職の挨拶】メールで送るのは失礼?
会社を辞めるという大きな報告、メールだとカジュアルになってしまわないかと心配になってしまう人も多いのでは。でも今の時代、メールでの挨拶は失礼には当たらないそう。
「SNSが増えたことで、コミュニケーションツールとしてのメールの地位は上がっています」と、多くの企業や大学でビジネスマナーを教える北條久美子さん。
LINEやInstagramなど他のSNSでのやりとりが増えたことで、メールが「ちゃんとした連絡方法」として認識されていると考えてよいそう。
「メールなら相手の都合がよい時に読めるし、保管も簡単。きちんとした内容で送れば、今後の連絡先としても使えるので、先方にとってもプラスの面が大きいです」(北條さん)
きちんとした文面で送るのならば、退職の挨拶メールは失礼ではない、というのが今の常識
特に退職のメールを社外に送る場合、挨拶としてだけでなく、今後の仕事に関する引き継ぎ書類として残ると考えて書くことが大切です。
【退職の挨拶】メールに欠かせないのはこの3つ! コツは「サンドイッチすること」
取引先など、社外の相手に出す退職の挨拶には、必ず入れる必要がある情報があります。それがこの3つ。
1.在籍中のお礼。バトンタッチする後任が決まっている場合はその人の紹介も加えよう。
2.いつ退職するのか、最終出社日を明確に。最近は有給消化のため、退職日と最終出社日が同じではないという人も多いので、いつまでこのメールアドレスであなたと連絡が取れるのかをはっきり書いておくと先方も助かります。
3.退社後の連絡先。今後はどこへ連絡を取ればよいのかをお知らせする。
これが入って入れば、退職するということが失礼なく伝わり、今後の引き継ぎにも支障を来たしません。
さらにこの3つにプラスして、自分なりの感謝の気持ちを伝えるには「サンドイッチ法」が有効と北條さん。
「真ん中の重要な内容はきちんと書き、文頭と文末は、相手によって書く内容を変えると、自分らしさや相手への感謝の気持ちを失礼なく伝えることができます。一緒にやって成功した大きなプロジェクトのことや、その経験のおかげで自分がどんな風に成長できたかなど、その人とだけのエピソードをプラスするだけで、気持ちのこもった退職の挨拶になります。
自分が覚えている大きな仕事は、大抵先方も良く覚えています。この先、どこでまたお世話になるかもわからないので、ここで良い印象づけをしておくことも大切です」(北條さん)
この頭と最後の文章に自分の気持ちを込める「サンドイッチ」法、他のビジネスメールにもかなり応用が効く、メール技ですね。
【退職の挨拶】メール例文
3つのポイントを押さえ、サンドイッチ法で書いた退職の挨拶メールの見本を、北條さんに作って頂きました。これを参考に自分のオリジナルメールを作ってみましょう!
これが基本! 正しくて好感を持たれる退職の挨拶メールの文例
メールの件名:退職のご挨拶(株式会社□□ 山田ナデシカ)
本文:
株式会社○○○○ ○○部
○○○○様
いつもお世話になっております。
株式会社□□の山田でございます。
○○プロジェクトでは○○様がいつも的確なご判断で導いてくださったお陰で素晴らしい成果をあげることが出来ました。大変感謝しております。
プロジェクトが一段落したところではありますが、私事ですが、一身上の都合により、●月●日をもって退社することとなりました。最終出社日は●月●日です。
在職中は大変お世話になりましたことを、心より御礼申し上げます。
今後はこれまで学んできたことを活かし、引き続き精進してまいります。
後任は、同じ部署の■■という者が務めさせていただきます。
後日改めて■■がご挨拶に伺いますので、変わらぬご指導の程よろしくお願い申し上げます。
本来であれば、直接お伺いし、ご挨拶すべきところではございますが、メールでのご連絡となりますことをお詫びいたします。
末筆ながら、貴社のご発展と○○様のますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
——————–
〒101-8001
東京都千代田区一ツ橋○-○-○
株式会社しごとなでしこ
メディア編集局
山田ナデシカ
TEL:03-****-****
FAX:03-****-****
Mail:○○@sigoto.co.jp
——————–
【退職の挨拶】上司宛に退職メールって必要? どう書いたらいい?
取引先への挨拶は当然。だけど大きな会社だと上司や同期、別部署への連絡もかなりの数に。こういう場合も、メールでいいのでしょうか。
「社内への連絡は、まずはその会社では通常どうしているかを確認しましょう。意外にあるのが企業ごとの慣習です。BCCで社内一斉メールのみというところもあれば、親しい人だけにメール、挨拶に行くのがデフォルトなど、退職の報告の仕方が決まっていることが多いです。
そのルールを知らずに違った方法で挨拶をすると、変に目立ってしまうこともあるので、まずは人事部に確認するのが正解です。お世話になった上司なら、前述のサンドイッチ法で個別のメールを出すと良いと思います」(北條さん)
【退職の挨拶】英語で書くならどんなフレーズを使ったらいい?
普段英語で仕事をしているわけではないけれど、部署や仕事内容によっては英語で退職のお知らせをしなくてはならないケースもあります。そんな時、日本語で書くよりもっと頭を抱えてしまいそう。
使うべき表現や文章、英語で考え出したら永遠に正解にたどり着かないのでは…。そこでここではほとんどの会社で使える、簡潔で丁寧な文章を、北條さんにご紹介いただきました。
【退職の挨拶】英語例文
Please be informed that I will retire from current job as of(日付).
I would like to take this opportunity to appreciate your kindness and great support over the past years.
(退職することになりましたのでお知らせいたします。この機会をかりて、長年の多大なご支援とご愛顧に感謝いたします。)
【退職の挨拶】何て返すのがスマート? 退職の挨拶への返信メール
退職の挨拶メール、どちらかというと自分が書くより受け取る機会の方が多いのでは? 退職の挨拶のメールを受け取ったら、どう返事をしたらいいのか、ちょっと悩みませんか?
受け取ったのが一斉メールだと、個別に返事をした方がいいかどうかも悩ましかったり。正しい対応ってどんなものなのでしょう。
「退職のメールへの返信は、必ずした方がよいですね。きちんと挨拶をしてくださった方への気持ちにちゃんと返しましょう。その方との最後の仕事だと考えて書けば、失礼な文章にはならないはず。基本的には今までの仕事に対する労いの言葉、お世話になった方ならばお礼の言葉を返しましょう。
この時も印象に残っているエピソードがあれば、それを書くのもよいです。そしていただいた退職メールの中で、今後の引き継ぎなど、仕事内容に関してわからないことや確認しておきたいことがあれば、それも返信で確認しましょう。そしてなるべく早めに返信するのも大切なマナーです」(北條さん)
前述のように、最近は有休消化でしばらく出社しない、なんてこともありうるので、退職のメールを受け取ったら、確認すべきことをチェックしてなるべく早めに返信をするのが正解です。
【退職の挨拶】メールへの返信の返信…どこまですべき?
お返事をもらうと、それにまたお返事をしなくては…となり、いつ切り上げたらいいのかわからなくなることもありますよね。
「返信に質問などがあった場合は、もちろんそれへの返信が必要ですが、それ以外は返信の文面で判断しましょう。さらりとしたお返事であれば、もうそこで返信せず、ストップしても失礼にはなりません。返信してしまうと、先方もその返事を出さなくてはならないことになるので、返って相手の時間を奪うことになってしまいます」(北條さん)
【退職の挨拶】先輩へのメッセージってどう書いたらいい?
お世話になっている先輩の場合、口頭で退職を伝えられることも多いですよね。そんな時、その場で挨拶するだけでは感謝の気持ちを表しきれない! でもメッセージをなんて書いていいのかわからない!
そんな時は「サンドイッチ法」を応用して、退職する先輩へ、気持ちを伝えるメッセージを考えてみましょう。
「今までお世話になりましたというお礼の気持ちを書く、前後の文章を多めにしてサンドイッチしてみましょう。新入社員からお世話になった先輩なら、その時の失敗や救われた先輩の言葉などもいいですね。
そして最後には教わったことを生かしてどう頑張っていきたいか、という将来のことを書き添えましょう。あなたにとって印象深かったことは、先輩もきっと覚えているはず。とてもいいはなむけのメッセージになるはずです」(北條さん)
一番大事なのは「相手を思って書いて見ること」
ビジネスメールだから、失礼があってはいけないと緊張するのも当然なのですが、気持ちを伝えるために一番大事なのは、「相手のことを考えて書くこと」だと北條さん。
「今まで仕事でどんなことがあったか、どんなことでお世話になったか、それを思い出して、伝えようと考えながら書くと、その文章には自分らしさがこもってきます。実は一番大事なのはそこなんです。
基本の文例を紹介しましたが、それに頼らず、まずは自分の思いを文字にしてみることが大事。世界は広くて狭いので、またいつかどこかでその方と別の仕事でご縁があるかもしれません。そうなった時にまた一緒に仕事ができて嬉しいと思ってもらえるよう、心を込めて退職の挨拶を考えてみてください」
初出:しごとなでしこ
北條久美子
ほうじょう・くみこ
キャリアカウンセラー・研修講師として全国の企業や大学などで年間 約2,500人へビジネスマナーやキャリアの研修・セミナ―を行う。現在はライフスタイリストとしてワーク(仕事)寄りだった人生を、生きること=ライフにシフト中。ジュエリーブランドBRILLIANCE+の執行役員・株式会社Surpassの顧問として企業の人財育成や教育体系の構築にも携っている。イラスト豊富でわかりやすい最新著作『仕事の基本 社会人1年生大全』が好評発売中。詳しくはこちら▶