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妊娠検査薬を使う前に知っておきたいこと
もしかして妊娠したかも…? というときに、手軽に確認できるのが妊娠検査薬。手軽に判定できることから、判定可能なタイミングよりも前についつい検査をおこなってしまう… という方もいらっしゃるようです。
しかし、早すぎる検査は、誤った判断のもとになってしまうことも…! そこで妊娠検査薬について正しい使い方や、フライング検査・判定結果の見極め方など気になる疑問などを、杉山産婦人科院長の杉山力一医師に伺いました。
知っていますか? 妊娠検査薬の正しい使い方・仕組みをチェック
まずは妊娠検査薬の正しい使い方をチェック。
妊娠検査薬は妊娠検査スティックの先部分にだけ尿をかけ、「判定」と「終了」の窓を見て陽性・陰性を確認します。一般的に市販されている妊娠検査薬は、採尿後、妊娠検査薬を水平に置き、1〜3分ほどで「終了」の窓に線(終了線)が入ると検査終了です。
「終了」の窓に線が入らないと、検査が正しくおこなわれていない、ということになります。その場合は、使用したものとは別の検査薬を用いて再度検査をおこないましょう。終了線が出ると、「判定」の窓から判定結果を知ることができます。陽性だった場合には「判定」の窓に縦線(判定線)が入ります。
このとき、陽性・陰性を判定している基準は、尿に含まれるhCG<ヒト絨毛(じゅうもう)性ゴナドトロピン>というホルモンの濃度です。hCGは妊娠中の女性に特有のホルモンで、着床後に分泌が始まり、妊娠4週頃から尿中に多く検出され始めます。hCGは通常、男性や妊娠していない女性ではつくられないため、検査でhCG濃度が高い場合、陽性と表示されるのです。
ここまで、妊娠検査薬の正しい使い方やしくみについてみてきましたが、ここからは妊娠検査薬にまつわるさまざまな疑問をみていきましょう。
フライング検査でも結果は出るの?
妊娠検査薬を使って検査するタイミングについては、多くの妊娠検査薬では「生理予定日の約1週間後から」の使用が推奨されています。これは、一定以上の尿中hCG濃度がないと、正確な判定が難しいためです。
フライング検査とは、推奨されているタイミングよりも前に妊娠検査をおこなうこと。「1日でも早く妊娠しているかどうか知りたい!」と、待ちきれずについついフライング検査をしてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実際に、フライング検査をおこなった方の中には、「陽性判定が出た」という方も。妊娠している場合、排卵日から10日前後から徐々にhCGが分泌され始め、陽性反応が出ますが、排卵日や生理周期には個人差がありますので、フライング検査をおこなっても、陽性判定がでる場合があるのです。
一方で、「陽性が出たけれど数日後に生理が来てしまった…」という方もいらっしゃいます。まずは、フライング検査で陽性判定が出る場合についてみていきましょう。
フライング検査で陽性判定が出た後に生理が来てしまった場合、胎嚢(たいのう)が確認できる前に流産してしまう化学流産の可能性が考えられます。化学流産は通常の生理と変わりがないため、「生理が遅れただけだ」と思って気づかない場合もあります。もし陽性反応が出た後に生理のような出血があった場合は、早めに産婦人科を受診するようにしましょう。
フライング検査では陰性反応だったけれど、実は妊娠していた… というケースも!
フライング検査を信じてしまうことで、実は妊娠していたと知るまでの間に、胎児に悪影響を与えてしまう行動をとってしまうかもしれません。フライング検査はあくまでもひとつの目安として、正しいタイミングで再度検査することが大切です。
どうしてもフライング検査をしたい! という方は、比較的少量のhCGでも陽性・陰性の判定ができる早期妊娠検査薬のご使用をおすすめします。早期妊娠検査薬は、生理予定日初日から検査することができ、日本では薬剤師のいる薬局・ドラッグストアで購入できます。
判定線がうっすら… これって?
検査薬の判定線の見方についても、さまざまな疑問があります。
その中でも特に多いのが、判定線の濃さに関する疑問です。薄い判定線が出てしまうと「これは陽性なのかな…」と自信が持てなくなりますよね。
判定線はhCGの濃度によって線の濃さが変わりますが、濃くても薄くても陽性反応を意味します。薄い線が出てしまう原因は、先ほどとりあげた「フライング検査」によってhCGの濃度が薄かったという場合や、水を飲み過ぎて尿中のhCGの濃度が薄まっている場合などが考えられます。
また、不妊治療で排卵のためにhCG注射を受けている人は、検査の際に注意が必要です。hCG注射を受けている場合、着床していなくても尿にhCGが検出され、うっすらと陽性反応が出ることがあります。hCG注射を打っている方は、検査薬の使い方について担当医にあらかじめ相談してくださいね。
その他、採尿後5分以上たってうっすらと判定線が出た場合、蒸発線の可能性も考えられます。蒸発線とは、尿が検査薬にしみ込んでから時間が経ち、水分が蒸発する時に残る線で、水分が蒸発することで濃度が上がった尿に反応して、線が出てくるものだとされています。蒸発線では陽性・陰性の確定ができません。もしかして蒸発線かも…?と思ったら、3日ほど時間をあけて、再度検査をしてみましょう。
検査薬で陽性反応が出たら…
妊娠検査薬で陽性が出ても、判定が間違っている場合もありますし、化学流産や子宮外妊娠といった可能性もあります。
検査薬で陽性が出た時は、胎嚢を確認して妊娠の有無を確定させるために産婦人科を受診しましょう。ただし、早期妊娠検査薬で陽性がでてすぐ(生理予定日ごろ)はまだ子宮内であっても胎嚢が確認できない可能性があるので、妊娠5週頃(生理予定日から1週間後)に受診することをおすすめします。
ついつい一喜一憂してしまいがちな妊娠検査薬での検査。自宅での検査も産婦人科での受診も、正しいタイミングでおこなうことを心がけてくださいね。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。
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