こんにちは、産業医の加藤杏奈です。しごとなでしこの皆さんが、健やかに&しなやかに働けるよう健康相談室を開設しています。
今回のテーマは婦人科検診、子宮頸がん検診についてです。婦人科検診の中に子宮頸がん検診も含まれます。しごとなでしこの皆さんにぜひ受けていただきたいこの検診。実際にどんな検査を行ってもらえるのか、産婦人科医の高橋怜奈先生に伺いました。
まずは、検診の前に…
受けたい病院や健診機関をさがしましょう
外来予定表を見ると女医の診察日もわかります。スタッフが全員女性であったり、女医さんだけのところも増えています。
事前に電話しておきましょう
検診は予約制であることが多いです。また、女医を希望する場合は、予定表通り女医の診察か電話で確認しておくといいですね。
月経に関する情報をメモしておきましょう
最終月経日、月経周期、ピルを飲んでいる場合は過去1,2か月の内服開始日をメモしておきましょう。問診で記入します。
月経中はなるべく避けましょう
検査できないこともないのですが、正確に診断することが難しくなります。また、月経直後の出血の残り、排卵直後の卵巣の腫れはいずれも問題ないのですが、正しく診断できるようにこういう時期を避けて、月経の初日を1日目として、出血が終わった6日目頃から排卵するまでの14日目頃がベストな時期でしょう。しかしその時期を待って検診時期を逃してしまうのは本末転倒なので、月経以外と覚えてもらえたらよいでしょう。
実際の検診の流れ
1.問診
まずは、問診票を記載していきます。問診票の中には、性交渉の経験の有無や、妊娠、出産歴、流産や人工妊娠中絶の有無など答えにくい質問もいくつかありますが、診察の内容が変わることもあるので、正確に書いておくことが大切です。問診票を医師が確認して、気になる症状などを聞いていきます。またどんな検査をするか説明します(健診施設によっては医師との面と向かっての問診はなく,検査のみの場合もあります)。
▲「子宮頸部はここです」と怜奈先生
2.内診
下着を脱いで、内診台にあがります。スカートであれば脱ぐ必要がないので、ズボンよりおすすめです。健診機関によっては検査着に着替えるところもあります。内診は片方の手の指を膣内に入れ、もう片方の手でお腹を押して、子宮・卵巣の大きさや形、位置を触診します。初めての方は不安になるのは当然のことです。緊張して力が入っていると診察も進めにくく、痛みや不快感を感じることもあります。息を長く吐くことを意識して、リラックスしてなるべく力を抜くように心がけてください。そうするとあっという間に終わります。
怜奈先生:医師とはカーテンで遮られていますが、見えないのが不安に思われる方もいるかと思います。カーテンは開けられますので、遠慮なくおっしゃってくださいね。痛みに弱い方、初めてで心配な方も、言って頂けると、考慮してゆっくり声をかけながら進めていきます。
3.子宮腟部(頸部)細胞診(子宮頸がん検診)
クスコという器具を入れて子宮の入り口や腟内を視診します。次に子宮腟部(子宮の入り口の部分)を綿棒やブラシで優しくなで、細胞を採取します。ここまでで1分かかりません。頸がん検診のみの場合は、このパートのみ行われ、1分程度で終了です。
怜奈先生:クスコはひんやりしていてびっくりするかもしれませんが、お声掛けするので安心してください。大きさは様々あります。ブラシは痛そうに見えるかもしれませんが、感覚は綿棒と変わりなく、よりたくさんの粘膜細胞がキャッチできるので、使ってます。子宮腟部には皮膚をつまんだときに感じるような痛みの神経はないので、強い鋭い痛みは感じないんです。触られているような感じとか,あっても鈍痛を感じる程度です。
4.経腟超音波検査
プローブという細長い器具を挿入して、腟内から子宮や卵巣を画像でチェックします。力を抜いていれば痛くありません。なんだか押されてるなーという違和感はあります。ここまで受けて2分程度。
怜奈先生:前回、受けたことがある場合は、いつ、何と言われたか覚えておいてくださいね。それか、前回の結果があれば持ってきてもらえるといいです。最近太ったなーって思ってた人が、超音波検査で大きな子宮筋腫や卵巣腫瘍が見つかったりすることもあるので、超音波検査はおすすめですよ。触診のみだとプロの私たちでも、小さい腫瘍は見逃してしまうこともあります。
5.結果報告
医師から結果の説明があります。子宮頸がん検診の細胞診結果は1~2週間後に再度来院して結果を聞くか、郵送されることもあります。
お話をきくと、検診を受けたことに満足して、結果を聞きに来ない人がとても多いんだとか。結果を聞かないのであれば、検査していないのと変わりません。必ず結果は確認してくださいね。
以上、婦人科検診の実際でした。受けるまでは億劫ですが、案ずるより産むが易し。あっという間で拍子抜けかも? 何より結果を知ると一安心です。ぜひ、受診しましょう!
今回お話を伺った先生
産婦人科医/高橋怜奈(たかはしれな)医師
2009年 東邦大学医学部卒業。日本産婦人科学会専門医。
初出:しごとなでしこ
加藤杏奈 産業医・労働衛生コンサルタント
産業医科大学医学部医学科卒業。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。専門は産業医学、予防医学、メンタルヘルス。産業衛生専門医。現在、某化粧品メーカーの産業医として勤務している。