生理中はホルモンバランスの急激な変化によるダルさや眠気などの症状が現れやすく、生理痛や腰痛などに悩まされやすいもの。
生理中の悩みのタネ「腰痛」の原因と対処法について解説します。
【目次】
・【生理 腰痛】になる理由
・【生理 腰痛】緩和する方法は?
・【生理 腰痛】薬は何を飲めばいい?
・【生理 腰痛】ピルを使った後は少なくなるの?
【生理 腰痛】になる理由
「腰痛」は生理中に生じる悩みの代表格
ズキズキとした痛みだけでなく、腰回りがダルなって何をするにもやる気が起きない…なんてこともあるでしょう。
生理中に腰痛が生じるのは、生理が引き起こされる仕組みが関係しています。
生理は、妊娠に向けて増殖・成熟を繰り返した子宮内膜が剥がれ落ちて血液とともに排出されるものです。生理開始日から次の生理が始まる前日までの期間は「月経周期」と呼ばれ、通常は約一か月のスパンで巡ります。
月経周期を整えているのは女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンであり、妊娠の機会へ向けて卵子の成熟・排卵、子宮内膜の増殖を行うのです。そして着床が生じない場合は、生理が引き起こされてさらに次の妊娠の機会に備えて月経周期が巡ります。
生理痛の正体は?
剥がれ落ちた子宮内膜は、子宮が収縮することによって子宮口から膣へ送り出されます。
この「子宮が収縮する」ときの痛みが、生理痛の正体です。
子宮を収縮させるにはプロスタグランジンという物質が盛んに産生されるようになります。プロスタグランジンは、それ自体が痛みを引き起こす物質であり、同時に血管を拡張させる作用もあるため周辺の神経に刺激を与えて痛みを助長することがあります。
腰痛を引き起こす原因は?
プロスタグランジンは子宮のみではなく腰にまでその作用が波及することがあり、生理痛の辛い腰痛を引き起こすと考えられています。
【生理 腰痛】緩和する方法は?
生理中の腰痛は、子宮収縮に伴って産生されるプロスタグランジンという物質によって引き起こされるものです。
しかし、その痛みの程度には個人差があり、より多くのプロスタグランジンが産生されている人ほど生理痛や腰痛も強くなると考えられます。
そこで、生理中の腰痛を少しでも改善するには以下のような対策がおススメです。生理中は様々な体調不良が生じるものですが、無理のない範囲で行ってみましょう。
生理中の腰痛改善のためにできること
腰やお腹を温める
子宮は筋肉でできた器官です。このため、子宮を含む骨盤周りの血行が悪くなると、子宮の収縮力が鈍くなって多くのプロスタグランジンが産生される原因となります。
生理中は子宮収縮を促すためにも下腹部や腰回りを冷やさないよう注意し、必要であれば腹巻やカイロなどを使用してみましょう。
ストレッチをする
生理中は様々な不調が現れやすいため寝込んだり休みがちになりますが、生理中こそ身体を動かして全身の血行を良くすることが大切です。
無理なくできる運動としておススメなのはストレッチです。入浴後や就寝前のスキマ時間に無理のない範囲でストレッチすると血行がよくなるだけでなく、腰回りの筋肉もほぐれて怠さを軽減することができます。
ゆっくり湯船につかる
全身の血行を良くして、リラックス効果も期待できる入浴は生理中の腰痛を緩和してくれることがあります。
生理中は経血が気になってシャワーだけにする、という女性も多いでしょう。しかし、生理中であっても清潔なお湯であれば問題なく入浴することができます。
お好みのアロマや入浴剤を使用して、リラックスしながら腰痛対策を行いましょう。
【生理 腰痛】薬は何を飲めばいい?
上記でご紹介したような対処法を講じても生理中の腰痛が緩和しない場合は、我慢しないで薬を飲みのもよいでしょう。
毎月やってくる生理は辛い症状を伴いますが、上手く付き合っていかなければなりません。辛い症状を無理に我慢すると、気分の落ち込みやイライラなど精神的に大きな影響を及ぼしますので注意しましょう。
生理中の腰痛に効果的な市販薬
頭痛薬などとして販売されているロキソニン®やイブ®などのような一般的な痛み止めは、生理中の腰痛にも効果的です。
これらの痛み止めは、生理中の腰痛を引き起こすプロスタグランジンの産生を抑制する作用があります。このため、生理痛や腰痛にも十分な効果が期待できるのです。
漢方なら?
また、効果には大きな個人差がありますが、副作用が少なく安心して服用できる漢方薬にも生理痛の腰痛によいとされるものがあります。
血行の悪化や冷えなどを改善してイライラした気分を落ち着かせる「桂枝茯苓丸」、血行の悪化や貧血などを改善してホルモンバランスを整える「当帰芍薬散」、痛みを緩和する生薬が配合された「桃核承気湯」などがおススメです。
ドラッグストアや薬局などで手軽に購入できますので、試してみるのもよいでしょう。
【生理 少ない】ピルを使った後は少なくなるの?
確実な避妊のために経口避妊薬「ピル」を服用する女性が増えていますが、実は避妊効果のある薬として広く出回っている「ピル」は生理の辛い症状を緩和させる治療にも使用されることがあります。
特に、生理の量を減らす効果があるため、生理量が多く慢性的な貧血に陥っている人に広く使用されています。
そもそも、「ピル」とは、少量のエストロゲンとプロゲステロンが合わさった薬です。これの服用を続けることで、脳の下垂体から排卵を促す性腺刺激ホルモンの分泌を抑制する作用が生じます。
「ピル」の服用によって少量のエストロゲンとプロゲステロンは体内に入り込みますが、卵巣を刺激するホルモンの分泌が阻害されることで卵巣からの正常なエストロゲンとプロゲステロンの分泌が生じないため、排卵や子宮内膜の増殖・成熟が行われなくなるためです。
このため、ピルを服用すると子宮内膜が薄くなるため、結果として生理の量も減少し、生理に伴う様々な不快症状を改善する効果が期待されるのです。
成田亜希子先生
一般内科医。プライベートでは二児の母。
保健所勤務経験もあり、医療行政や母子保健、感染症に詳しい。
国立医療科学院などでの研修も積む。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会所属。