体内の変化を知るためのおりもの
■おりものの正体は…?
おりものの正体が何か知っていますか?
「下り物」という表現のとおり、女性の性器から下りてくるものであり、具体的には子宮から分泌される子宮頚管粘膜や、膣から分泌される膣分泌液などが含まれています。
おりものは子宮を悪い菌から守ったり、受精を助けたりと、それぞれ女性のからだを守る重要な役割を果たしているのです。おりものの量や色は個人差があり、また、時期や年齢によっても変化するため、どの状態が正常か、見極めるのがとても困難です。
しかし一方で、体内の変化を知る重要な手がかりにもなります。
下記を参考に、おりものが示すからだのサインに気付いてみましょう。
■やっぱり気になる「ニオイ」の原因は?
まず考えられることは、デリケートゾーンが清潔でない、ということです。
入浴の際、きれいに洗うよう心がけましょう。また、タンポンやコンドームが膣内に入ったままになっていた、というケースも見受けられます。長時間放置していると、異臭のもととなるため、取り出すことを心がけましょう。
一方で病気が原因である場合に多く疑われるのが、細菌性膣炎です。これは体調不良などがもとで、自力で膣を清潔に保てなくなることが大きな要因です。
■いつもより量が多いのは排卵のサイン
これまでに普段より量が多いな、と感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。
おりものの量は、周期によって変化しており、排卵のときにはおりものの量が増加します。
排卵日を予測する際に、ひとつの手掛かりとしてみましょう。
■色が茶色い? 白い?
下り物の色が普段と違うのは、からだの不調のサインかもしれません。それぞれの色が、どのようなことを表しているのかを見ていきましょう。
《茶色い場合》
まず考えられる時期として、「生理前後」があります。生理前は本格的に生理が始まる前の少量の経血経血が混ざっている可能性が、生理後は子宮の中に残ってしまっていた経血が混ざって排出されている可能性が考えられます。
この場合は安心して良いケースですが、注意しなければならないケースもあります。子宮の入り口に悪性の腫瘍が発生する子宮頸がんや、良性のポリープができる子宮頚管ポリープのサインかもしれません。
どちらの病気も早期発見がカギとなります。普段の生活で気付ける機会が少ないため、もし生理前後にかかわらず茶色いおりものが続くようでしたら、一度病院へ相談に行くことをお勧めします。
《白い場合》
普段と比べて白く濁ったおりものが出る場合には、「カンジダ膣炎」に注意が必要です。
膣内ではカンジダ菌が増殖しやすく、体調不良やストレスなどが原因で繁殖が起こり、膣炎をおこしやすくなるといわれています。
パートナーに感染してしまう恐れもあるため、治療と再発防止を心がけましょう。
いかがでしたか? もしかしたら当てはまるかも! と思った方、気になるな、これまでと違う状態が長く続いているな、と不安な方は一度病院で相談してみることをお勧めします。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。
東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。
監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。